2015年12月02日

山田風太郎の小説を手放す

いろんな心境の変化があって、今本を読んでる場合ではないのです。実は。
そして、先日、最大の手放しをしました。

あれほど熱心に集めた山田風太郎の小説を全部手放したのです。
なぜかといいますと、彼の小説にはあまりにも深い悲しみがこもっていて、わたしはこの洒脱なストーリーを堪能しながら人間の悲しみを知ることとなりました。そしてその悲しみがあまりにも深くなってしまったので、これは手放した方がいいと思い、小説を手放しました。

小説は手放しましたが、随筆とノンフィクションは残してあります。これらの分野は悲しみをもたらした事物に対しての冷徹な観察と記録が作家の手によって現わされている稀有な存在だからです。

思えば、彼の著作を集めだしたとき、ちょうどアマゾンのギフト券を大量に獲得できる機会が同時に起こり、購入代に困ることがなかったという奇跡がありました。
山田風太郎も作家となってからは収入に困ることはなかったようです。
不思議なことに、ほぼ収集が完了するとともに、ギフト券の獲得できる機会も終了しました。

世の中にはちょっと考えると因果関係の見えないことがあります。
それは大きなこともありましょうが、日常生活に小さく小さく、キラキラと素敵な宝石のように存在しているようです。

最後に、わたしが思い切って収集の口火を切った著作を紹介しておきます。
山田風太郎明治小説全集 全14巻セット
山田風太郎明治小説全集 全14巻セット山田 風太郎

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2013年09月05日

山田風太郎新発見作品集

山田風太郎が戦中に書いた習作と、未完の未発表作品などあわせて7篇を収録した作品集。
若い彼の習作に、「乳房」と「紫陽花の君」という短篇がある。この2篇は女性をテーマにしているのだが、「乳房」においてフロイトを持ち出していて、それにならうと、この2篇はさしずめ山風の「エディプス・コンプレックス」を扱ったものといえるかもしれない。
解説にあるように、彼の母は美しい人だったようだ。思春期にそのような母を失ってしまった山風にとって、母への憧憬著しいこと、これは理解でき、しかもこの2篇はすこぶる美しい。
母を失う前にすでに父を失っていた著者にとって、倒すべき父はすでになく、ただ美しい追憶と憧憬が残ったのだろう。
破天荒な作品を多く残した山風だが、不思議に作品中の女性像が薄汚れた感じがしないのは、そういう背景があるのかな、と思った。

あと未完の「日本合衆国」はかなりユーモアと皮肉が利いてて面白い。47のアイデアをそろえるのはさすがに山風でも至難の業ではあったらしく、2つのアイデアだけで中断されている。いつごろ書かれたのか、高度成長時代かな?でも、今でも十分通用する中身だ。それは山風が達観しているというより、日本はちっとも変っていないということなのだろうなあ。
山田風太郎新発見作品集
山田風太郎新発見作品集山田 風太郎 有本 倶子

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タグ:人間
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2013年07月28日

悪霊の群 山田風太郎/高木彬光

いや、わたし、ミステリーってあまり読まないし、高木さんの小説も読んだことがないので。
と、言い訳しながらですまん。最初山風の文章っぽくも作品の雰囲気と少し違うので、なんとなく戸惑っていたのだが、読みすすんでいくうちに、山風の心理的ミステリーと違う複雑な筋立てに、ほう、これは結構面白いかもと思いはじめ、中ほどではすっかり小説世界になじむことができたのでますはよかった。
解説によれば、プロットが高木彬光で文章が山風ということで、ああなるほどなと思った。
書かれた舞台は昭和二十五年。もう今から見れば歴史の中に入ってしまった戦後日本である。
そして、こんな言葉があったのだけど、これはなんか山風らしい言葉だな、と思った。

「(前略)…今度の戦争であばきだされた日本人の国民性じゃが、日本人は精密な予定、与えられた計画が順調にすすんでいるあいだはおそろしく強いが、いったんその予定、計画がちょっとでも狂うと、茫然自失、自暴自棄になる。そして、ただめちゃめちゃに玉砕じゃ…」

なんか、今の時代でもあてはまりそうな言葉。こんだけ災害の多い土地なのに予定に緻密な国民性ってなんだか不思議な気がするんだが、でもそうだよね。平穏無事なときくらいきちんとやりましょうよ、どうせ何か一発起こればおしまいだから、みたいなところがあるのかね?
悪霊の群
悪霊の群山田 風太郎 高木 彬光

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タグ:ミステリー
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2013年04月10日

明治かげろう俥 山田風太郎

小学館文庫時代小説選集3に収録された作品は、明治小説などの時代ものを書いていた時期ではなくて、まだミステリーを書いてた初期の頃に書かれた明治時代の短篇を集めたもの。
こうして読んでみると、初期に書かれたといっても後に書かれる明治小説とそれほど遜色がないことに驚く。山田風太郎は若い頃から小説家としては完成されてた部類にはいるのだなあという感を改めてもった。

さて、本文庫には6編収録されているが、一番長い『明治かげろう俥』は一夜にして英雄になった庶民の運命を描いていて面白い。初めて読んだときはなんでこの車夫たちはこんなにも愚かなのだろうと思ったのだが、再読してみると、人間の弱さというものがひしひしと感じられて、もうこの車夫たちを愚かだとさげすむことはできなかった。
山田風太郎は人間の愚かさや弱さをその小説の中に盛り込んでゆくことが多いが、この小説はそれがひときわ感じられるのは、主人公が私には身近に感じられたせいもあるからだろうか。
だからこそ、最初はその愚かさに腹立たしい気持ちがしたし、今回再読して確かに愚かには違いないのだが、そこでももがき生きつづける人間の業になにやら心が打たれるのである。
ええ、私は向畑治三郎のことをいっております。それからお葉のことも少し入ってるかな。
だいたい、私は『居眠り磐音』でも武左衛門に惻隠の情を覚えてならんのだ。治三郎も武左衛門と重なってやっぱり惻隠の情が湧いてしまうのである。

あらすじは以前の記事に書いてます。
http://tekesuta.seesaa.net/article/120179783.html

明治かげろう俥: 時代短篇選集 3 (小学館文庫)
明治かげろう俥: 時代短篇選集 3 (小学館文庫)山田 風太郎

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タグ:明治
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2013年03月09日

斬奸状は馬車に乗って 山田風太郎

この選集2も既読のものばかりだったが、購入してしまったでござる。そして改めて読んでみると前には気がつかなかったり、そのときには思わなかったようなよさを発見できる。
「大谷刑部は幕末に死ぬ」もその一つ。
前読んだときにはあまり印象に残らなかったように思うんだが、今回は違った。
山風の凄いところはたとえば社会の無頼が変な洗脳を受けて政治の中でさんざ利用されるという構図を見事に描き出してるところだ。それもありきたりの社会派小説でなく、珍妙ともいえる設定でやってしまうのだから。この場合、珍妙とは任侠に思想をくっつけたところ。そこにはおかしみがあるのだが、どうしても今だとどういう流派にしろ庶民が立ち上がってごちゃごちゃ活動する姿がたぶってしまう。いや、彼らはしごく真面目であるし、茶化そうなどというつもりは毛頭ない、が、山風のこんな小説を読んでしまうと、どこかにそれを操ってる頭目がいて、などと考え、所詮庶民は使い捨て、なんだろうなあ、などと思い、どうか彼らが報われるように、と祈らずにはいられなくなるのである。
大谷刑部も報われなかった。もちろん本人は自分は捨石だと覚悟していることではあったのだが、やっぱりなんだかなあ、と思ってしまうのである。

報われないといえば「笊ノ目万兵衛門外へ」もそうだ。ほんと読んでてやりきれなくなってくる。山風は浅間山荘事件における警官の話からヒントを得たそうであるが、こういった話で考えてしまうのは人が完璧に正義を為すということの難しさである。

他に表題作「斬奸状は馬車に乗って」「獣人の獄」「切腹禁止令」「陰萎将軍伝」「明治暗黒星」など。
斬奸状は馬車に乗って: 時代短篇選集 2 (小学館文庫)
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タグ:歴史伝奇
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2013年02月17日

幕末妖人伝 山田風太郎

今回収められている短篇は一応今まで読んだことがあるのばかりなので、買おうかどうか迷ったのだが、3シリーズ発売予定の3巻目に明治小説人物事典なるものが載せられるので、じゃあそろえたほうがよいだろうと思って購入した。
でも、買ってよかったよ。なんといっても昔同じタイトルででた本のように連作モノをきちんと集めたところがよい。バラで読んでもそりゃ、山風のことだから面白いよ。しかしこうやってまとめて読むと、幕末のカオスっぷりが人を描くことによって伝わってくるんだな。これはバラで読むのでは得られない読後感だと思う。というわけで日下さんいい仕事しておりますなあ。

ここに収録された作品は以下のとおり。
「からすがね検校」「ヤマトフの逃亡」「おれは不知火」「首の座」「東京南町奉行」「新撰組の道化師」「伝馬町から今晩は」の7作。
「東京南町奉行」は何回読んでもいいわ。なんといってもあの人物ですからね。明治時代に登場するとほんとに妖しすぎる。
「伝馬町から今晩は」も好き。とくに疫病神と化した主人公が、昔の知人を頼りに「今晩は」と登場するところは妖気が漂うと当時にちょっと滑稽でもある。
他の作品ももちろん面白い。「おれは不知火」なんて、著者も本文中に書いてるが、誰が「妖人」なんだかわかりゃしない。ええ、佐久間象山のことです。それとこの短篇、前に読んだときは知識がなくて気がつかなかったけど、山本覚馬がちょっと顔出ししているのを今回見つけた。

いずれにしろ、前に読んだことがあるものばかりとはいえ、それらの本は今や品切れ状態で書店で手に入らなくなってるものばかりだから、小学館さん万歳だ。2冊目以降も楽しみでござる。
幕末妖人伝: 時代短篇選集1 (小学館文庫)
幕末妖人伝: 時代短篇選集1 (小学館文庫)山田 風太郎 日下 三蔵

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タグ:歴史伝奇
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2012年08月03日

神変不知火城 山田風太郎少年小説コレクション2

山田風太郎少年小説コレクション2は、「青春探偵団」シリーズの取りこぼしたものと、推理クイズ、そして時代小説長編2作が盛り込まれている。山風の作品はどれも面白いのだが、好みとしては歴史ものに偏ってるだけに、この時代小説2編は大変よかった。

「地雷火童子」は真田幸村の大胆不敵な挑戦を成就すべく、少年大助と、月絵、そして主人公小源太が大活躍の冒険活劇。痛快で一気読了。
そして、この本一番の呼び物はやっぱり表題になった「神変不知火城」でしょう。
山風の作品では有名どころの、森宗意軒に天草四郎、由比正雪らが出てきて大乱戦。おまけにあっとびっくりあんな人物やこんな人物まで、いったい山風は何をしようというのでしょう(笑)と、忍法帖好きならまずたまらない展開になっている。鉄板の面白さ。
いや、自分、幼いころはあまり本読まなかったけれども、こういう少年小説を読んでいたらきっと本中毒になっていただろうと思うくらいの面白さだった。
山田風太郎はだいたい読みつくしてきただけに、ここにきて新しい伝奇ものを読めるとはなんたる幸せ。
他にも「七分間の天国」もいつもはリーダーシップの小太郎が事件に巻き込まれてしまうなど、少し違った展開で新鮮。
「推理クイズ」の「毒虫党御用心」にはあっと思わされた。自分頭固いなあ(苦笑)
挿絵も素敵だし、巻末の「評判作家訪問」も愉しく読んだ。
神変不知火城―山田風太郎少年小説コレクション〈2〉
神変不知火城―山田風太郎少年小説コレクション〈2〉山田 風太郎 日下 三蔵

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タグ:少年小説
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2012年06月29日

夜光珠の怪盗 山田風太郎少年小説コレクション1

子供のころ、いわゆる「少年小説」というのはあまり読んでなくて、せいぜいがルパンくらいなものであったし、後年少し本を読むようになっても、ミステリ関係はあまり読んでこなかった。そのため今回出版されたこの本が、ミステリ的にどうとかこうとかいう比較はできないので、思ったことを書くとしよう。

自分がもういい年なのを忘れて、思わず読みふけってしまった。とにかく面白い。
これが山風だから面白く感じるのか、面白いのが山風なのかもうそんなことはどっちでも良い。少年小説ということで主人公は少年少女なのだが、彼らの機転が実にいいのだなあ。
これが大人が主人公だとまたちょっと違ってくるのかもしれないが、少年たちだと素直にはらはらどきどきさせられるというのはどういう仕掛けになってるんでしょうか?
もちろん、ちょっと現実的でないようなやりとりはあったりするのだが、ミステリにはそういうものがつきもので、実はそういう部分がちょっと自分とは合わなかったりするんだが、山風の場合には意外な展開が多くて、その現実的でない部分を超越する筋のよさがあって、この少年小説も例外ではない。

本そのものについて当時の挿絵も一緒に復刻したのは雰囲気を出していて凄く良い。
自分もそういうものに郷愁を感じる年頃になってるといえばそれまでなんだけど、この挿絵で臨場感がさらにアップしているのではないか。
このあと2巻目も来月にでるそうなので、楽しみである。
山田風太郎少年小説コレクション 1
山田風太郎少年小説コレクション 1山田 風太郎 日下 三蔵

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タグ:少年小説
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2011年07月27日

風さん、高木さんの痛快ヨーロッパ紀行 山田風太郎・高木彬光

昭和40年、二人の流行作家がヨーロッパ周遊ツアーに参加。ツアーの目的はオペラ鑑賞だが、さまざまな国を観光した、その様子がこの本には収められている。
高木彬光はだいぶ前に出版されたという「飛びある記」で、その体験をいささか誇張しているのかもしれないが、面白おかしく書き連ねている。
一方、誘われた山田風太郎は、未発表の旅日記で随分と冷静な観察をしており、ヨーロッパの町並みや人々と日本人との比較をしていたり、旅先で出会った人との一場面を記入していたりと、この二人の記録、まあ、発表の有無の違いもあるだろうが、好対照である。
そして、その相乗効果によって参加した旅行を多面的に読むことができて面白いのである。
まさに「体験記」といいたくなるような高木さんの文章は、書いているご本人がドタバタ喜劇の主人公さながらに走りまくり、山田さんの日記は「観察記」みたいにまわりの景色について細かな文章が並び、今まで出版されてる日記と遜色ないほど読み応えがある。
ところで、高木さんの「飛びある記」はやっぱり中年男性向けに書かれたものなんでしょうかね?なにせ男性週刊誌みたいなノリなのでちょっと面食らいました。
風さん、高木さんの痛快ヨーロッパ紀行
風さん、高木さんの痛快ヨーロッパ紀行山田 風太郎 高木 彬光

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タグ:旅行記
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2011年04月12日

人間万事嘘ばっかり 山田風太郎

筑摩書房でだしてる、単行本未収録エッセイを集めた「山田風太郎エッセイ集成」の5冊目。これで完結ということである。
この本では特にテーマはなくて、前の4冊に入れるのに間に合わなかったものも含まれている。
5冊の中ではいろんなことに言及しているので、山田風太郎エッセイの全貌がうかがえる一冊かもしれないと思う。
柿とり器に感心する山風とかほんと面白い。作家というのは何気ないアイデアグッズにも世の中の動きを見出して文章にするから凄いなあと私はそれに感心してしまう。
ところで山風は自分の画才が衰えてしまった、ということを書いているのを前にどこかで読んだことがある。衰えた、といっても昔絵がうまかったというのだから謙遜なんだろうな、と思っていたのだが、この本でその数十年ぶりに書いたという風景画が収録されていた。
…謙遜ではなかった。
いや、私は絵が下手だからこれをみて笑いはしないけど、線のゆがみや筆遣いが絵を習いたての人みたいなのだ。
自画像も収録されていたが、こちらは結構特徴を捉えてなかなかだと思った。
人間万事嘘ばっかり 山田風太郎エッセイ集成
人間万事嘘ばっかり 山田風太郎エッセイ集成山田 風太郎

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タグ:エッセイ
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2011年02月13日

忍者黒白草紙 山田風太郎

鳥居甲斐守実行する廓清の影で手足となって働く伊賀者箒天四郎。その仕事は表立って出来ないことばかりがゆえに、難題が続く。一方、天四郎の友人である塵ノ辻空也は甲斐守の考えが気に入らないので、敵となることを宣言。天四郎の仕事に横槍をいれるのであった。
水野越前守の天保の改革は如何に?

一応忍法帖のくくりになっているのだが、忍法帖として読むならば、これははっきりいって物足りないし、あまり面白いとも思えない。
あの、戦国時代から徳川黎明期にかけての時代が書かれた忍法帖のきらびやかさはなく、まあ、つまり忍者が落ちぶれて、一介の下士になった時代だからこれは仕方ないことなのかもしれない。
ところが、これが視点を変えて、処罰の鬼鳥居甲斐守の恐るべき妖人ぶりに目をつけるとちょっとした伝奇的小説になって結構面白いのである。
甲斐守の陰謀は実に凝っている。その凝った陰謀の片棒を担ぐ箒天四郎。
権力者の狂気が噴出したような甲斐守の仕事ぶりがなんとも凄い。

この本、角川文庫で昭和時代に出版されたのが最後で、なかなか手に入りづらくなっている。
まあ、忍法帖というより、明治ものへの橋渡しとして幕末あたりの歴史ものがいくつかあったよね。どっちつかずであまり注目されてない分野だけど、この分野に近いのではないかと思う。で、この分野の小説、地味だけどなかなか味わい深いものがあるんだよね。「魔軍の通過」にしろ、「修羅維新牢」にしろ。
文春ネスコなんかは、飛騨忍法帖を出してるようだが、あれより私はこちらのほうがずっと面白いと思う。あ、飛騨も幕末だったな、そういえば。
忍者黒白草紙 (1981年) (角川文庫)
忍者黒白草紙 (1981年) (角川文庫)山田 風太郎

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タグ:忍法帖
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2011年02月02日

山田風太郎 育児日記

山田風太郎が日記に子どもたちのことを記した部分をのちに1冊の日記帳にまとめて、嫁ぐお嬢さんへ渡したという本である。
プライベートなことなので、もしかしたらファンでないと興味が持てないかもしれないが、少なくとも、人に読んでもらうためにまとめた日記なので、プライベートな中にも山風一流の人間観察と筆致が単なる育児日記に終わっていないという印象を私は受けた。
たとえば、この文章などは随分と美しいな、なんて思った。1959年2月1日の最後の数行。
午後、知樹をつれて野を散歩。うす蒼い空に高く飛行機雲が残っている。知樹トコトコと転ばずついてくるが、犬が吼えるとそっちにゆき、カラスが空を飛ぶといつまでも上を見、棒があるとこれを拾ってふりまわし、気がちることおびただしい。枯野曠茫。

のんびり散歩する山風と、知樹さんの腕白ぶり、そして冬の光景が目に浮かんでくるようである。
そして、山風と佳織さんのマセた珍妙な会話や、あとがきでお嬢さんの佳織さんも書いていたが、いたずらを見つかったときの知樹さんの顔に「悪の愉しみ」と「悪の悲しみ」を見る場面など、子どもの中に人間の心理を見出す様子が印象深い。

しかし、赤ん坊の顔をみて、「木々高太郎みたいに」っていうのが出てくるので、一体木々さんってどんな顔をしているのかと検索してしまった。
こんな方です。赤ん坊みたいでしょうかね?
http://azalea-4.blog.so-net.ne.jp/2007-11-23
山田風太郎育児日記
山田風太郎育児日記山田 風太郎

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タグ:日記
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2011年01月13日

白波五人帖 いたてん百里 山田風太郎

江戸の大泥棒日本左衛門とその四天王を描いた連作短篇『白波五人帖』と撫衆と呼ばれる山の民であるお狩さまと元武田の武士関半兵衛が主人公の連作短篇『いだてん百里』の2作合本。
歌舞伎の白浪五人男を見たことがないのでそれと比べての感想はかけないんだが、知らなくてもこの5人の大泥棒たちの末路を描いたこの『白波五人帖』は痛切な筋書きと哀愁漂う彼らの生い立ちもまんべんなく出てきて胸を衝かれる。日本左衛門が自首してきたわけや、弁天小僧の心意気や、南郷力丸の情熱、赤星十三郎の悲恋、そして忠信利平の盗賊にあるまじき真っ当さなど、ここでは彼らを捉えようとする公儀側の人間の非道さが浮かび上がってくるという皮肉な展開。
自己評価は最高ではないものの、私はこの作品が好きである。
もうひとつの『いだてん百里』は山の民が里の人間、おもに権力側の人間の都合によって、陰惨な出来事に巻き込まれてゆくという話。主人公の2人は恐るべき身体能力を持っていて、その能力を生かして、自らに襲い掛かってくる災いに立ち向かってゆく。
5篇のうち地雷火百里の巻ではミステリー出身の山風が大胆なアイデアで唸らせる。人物背景だけをしっかりと描いてこれだけ独立させてもいいくらいの出来。

しかし、この本品切れ中なんだよねえ。忍法帖や明治ものなどにカテゴライズされてないので注目を浴びにくいがいつぞやのマイナー忍法帖よりは面白いと思うんだよ。
白波五人帖・いだてん百里―山田風太郎妖異小説コレクション (徳間文庫)
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2010年12月26日

山田風太郎 疾風迅雷書簡集

山田風太郎が友人に宛てた手紙が発見されたので書簡集として出版したのがこの本。前半は小西哲夫氏と北井豊氏に宛てたもので、昭和14〜16年に書かれたもの。卒業を待たずして軍に入った小西氏へ、山田風太郎が学校生活と、その後の自身の受験生活について書いている。
後半は吉田靖彦氏に宛てたもので昭和18〜20年のもの。このあたりは「戦中派虫けら日記」「戦中派不戦日記」と時期が重なっており日記を補完する形として読めるようになっていて面白い。
小西氏が「雷太郎」だということはこの本で始めて知った。いや、いままで読んだ中のどこかにかかれてたのかもしれないが、まあ、それでこの本のタイトルとして「疾風迅雷」という言葉を使ったのだね。
雷太郎、ということは、山風の青春モノに出てくる、頼大太郎クンのモデルですかね?
アベマツ親王のモトネタも出てきて吹いたw
山田風太郎の小説や日記を読んでないと、この書簡集はわかりにくいかもしれないが、読んでいればこれほど面白いものもない。
山田風太郎疾風迅雷書簡集―昭和14年~昭和20年
山田風太郎疾風迅雷書簡集―昭和14年~昭和20年山田 風太郎 有本 倶子

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タグ:書簡集
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2010年12月02日

列外の奇才 山田風太郎 角川書店編集部

この本、Amazonで予約受付を見たときに買うかどうか迷った。というのも紹介文にはほとんど内容の手がかりになるようなことが書いてなくて、角川のサイトも然り。
単なる著名人たちの寄稿集ならとくに要らないなあ、と思っていたので、結局発売日をまって近くの書店で中身を確認してから購入したのだった。
こういったある人物の評伝みたいなもののまとめた本というのは中身をある程度確認できないと本当に買うかどうか迷ってしまう。
そこで、迷っている人がいるかどうか知らないが、同じような人がいることを考えておおまかなコンテンツを書いておこう。

●寄稿、あるいは他の媒体からの転載という形で載せられてる執筆者たちの名前を掲載順にあげる。(敬省略)
沢木幸太郎、北村薫、桐野夏生、関川夏央、馳星周、縄田一男、内田樹、坂東真砂子、山本兼一、斎藤環、宇月原晴明、千野帽子、米澤穂信、橋本治、森村誠一、京極夏彦、筒井康隆、安彦良和。
●山田風太郎全集の月報から転載された同時代作家たちの文
角田喜久雄、江戸川乱歩、阿佐田哲也、野坂昭如、横溝正史、小松左京、都筑道夫。
●日下三蔵による、山田風太郎の年譜。
●写真若干。
●未収録作品3篇。
●岡本喜八監督の未発表脚本
『死言状』『幻燈辻馬車』
●山田風太郎記念館案内と、著書リスト。

大まかにはこんな感じである。
未収録作品が読めるのもうれしいが、一番読み応えがあったのはやはり岡本喜八監督の脚本であろう。『幻燈辻馬車』は自由民権運動のいざこざを舞台にしているとはいえ、原作とは少し趣が異なって家族愛を中心に描かれているところが胸に迫ってきて、この映画が撮られなかったのは本当に残念なことだと思った。
未収録作品の『袈裟ぎり写真』、ショートショートのような逆転オチだが、後味は小気味よくてこの作品が3篇の中では一番好きだ。
列外の奇才 山田風太郎
列外の奇才 山田風太郎角川書店編集部

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-11-23
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2010年11月03日

修羅維新牢 山田風太郎

明治元年、江戸に入った官軍が何者かによって何人も殺害された。そんなとき、ある旗本の家に押し入ってた3人の官軍がその家の主人に斬られ、首は鼻をそがれた状態で送りつけられる。それに激怒した中村半次郎は、旗本を10人捕まえて、下手人が出てくるまで毎日一人づつ斬ってゆく、という恐るべき復讐に出たのであった。
本作は、そのあらすじの中に捕まった10人の旗本それぞれの人生を連作短篇のように組み入れて、一つの作品に仕上げたもの。
特に冒頭、明治元年の騒ぎと、太平洋戦争の終結を重ね合わせ、その類似性について触れている。山田風太郎の小説を読んでいると、あの戦争が原点になっていて、しばしば歴史上その類似性を指摘している箇所が見受けられる。著者は戦争を体験したがこれが新しいことでもなんでもなく、しばしば歴史に似た様な場面があることを、書かずにはいられなかったのかもしれない。それがあたかも日本人の癖なのであるといわんばかりに。
10人の旗本たちは決して立派な人間とはちょい傍目にみてもいえない。言い換えれば彼らも市井の平凡な人物たちであって、その欠点は誇張されてはいるがよく見受けられるものなのである。しかも、彼らは無作為に選ばれたものであって、この理不尽さは何かで見たことがある、と考えて、ああ、そうだ、あれは筒井康隆の「死にかた」ではなかったかと思い至ったのであった。
「死にかた」では鬼が会社のオフィスに現れて一人づつ殺していくという短篇。殺される前の社員たちの反応がそれぞれ違っていて、その様子が読みどころでもあるのだが、これと同じ発想ではあるまいか。また2人の発想の類似性を見つけてしまったぞ。
まあ、とにかく、理不尽に死んでしまう人のなんと多いことか。
そして、最後、山風は実に皮肉な結末を描く。このあたりも筒井さんの小説でいくつかお目にかかったような内容で、この二人の作家の人間観はなんとも恐るべきものがある。

ちくま文庫ででました。(2011.4.10追記)
修羅維新牢 山田風太郎幕末小説集(全4巻) 1回配本 (ちくま文庫 や 22-30)
修羅維新牢 山田風太郎幕末小説集(全4巻) 1回配本 (ちくま文庫 や 22-30)山田 風太郎

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修羅維新牢―山田風太郎傑作大全〈3〉 (広済堂文庫)
修羅維新牢―山田風太郎傑作大全〈3〉 (広済堂文庫)山田 風太郎

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タグ:明治
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2010年10月14日

風山房風呂焚き唄 山田風太郎

筑摩書房の山田風太郎エッセイ集成4冊目。
この本では旅のこと、食のこと、読書のことをテーマにした文を集めている。
旅や食の話といえども、そこには山田風太郎独特の見方が反映されていて、例えば戦中派らしく団体旅行の傍若無人さと太平洋戦争を重ね合わせてみたり、イタリアびとの間の抜けた顔を見ながら戦争に負けたもの同士の親近感を感じたりとか、人間の滑稽さを自分を引き合いにだして面白おかしく語るその手法など、読んでいて楽しい。
食についても、こだわりの洒落た食について語るのではなく、あくまでも食を視点とした人間観察が主体。
読書についてのエッセイはそれほどページはないが、『世阿弥』の一文はなかなか面白い。こういう謡曲めいた出来事に遭遇すると不思議な感に打たれるなあ、なんて思ったりした。
これすごい、というようなエッセイがあるわけではないのだが、『秀吉はいつ知ったか』のエッセイ集より、山田風太郎が身近に感じられてこちらのほうが私は好きである。
風山房風呂焚き唄―山田風太郎エッセイ集成
風山房風呂焚き唄―山田風太郎エッセイ集成山田 風太郎

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タグ:エッセイ
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2010年10月01日

山田風太郎3冊

山田風太郎3冊読んだのを簡単に。

『自来也忍法帖』
自来也の正体がわかるようでわからなさそうな微妙なところがなんともいえない。山風にしては珍しい勧善懲悪モノになるのかな。
虚無的な方が好きな向きにはつまらなく感じるかもしれないが、忍法のセクシャル度は結構高いほうではある。
自来也(児雷也)の話を知らないのは残念だ。自分はもっといろんなものを読まないと山風の小説の面白さの半分も堪能できんぞ。
自来也忍法帖
自来也忍法帖山田 風太郎

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starエロ忍法炸裂!
star歌舞伎級の面白さ
star珍しい勧善懲悪モノ

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『天狗岬殺人事件』
出版芸術社から出ていた未収録短篇集を角川が文庫にしたもの。解題において日下さんが「落穂ひろい」という表現を使っているが、ほんとに落穂とは思えないくらいの出来。
伊皿子未香シリーズも極めていけば一冊の本になりそうだし、「贋金づくり」もなんとも人を食ったような掌編。
天狗岬殺人事件 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
天狗岬殺人事件  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)山田 風太郎

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『幻妖桐の葉おとし』
「乞食八万騎」を読みたくて古本屋で購入。今で言う差別用語がたくさんでてくる小説ではあるけれども、この体制側から貶められた階層が活躍する話はなんとも皮肉の効いた結末であって手を打って喜びそうになったし、と同時にじわっと涙が出てきそうになった。
他5篇は既読。
幻妖桐の葉おとし―山田風太郎奇想コレクション (ハルキ文庫)
幻妖桐の葉おとし―山田風太郎奇想コレクション (ハルキ文庫)山田 風太郎

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2010年07月27日

人間風眼帖 山田風太郎 

待ちに待った『人間風眼帖』だ。
昨日届いたので今読んでた本もそっちのけで早速読み始めた。
起こしたノートが2冊あったところから二部構成になっている。
本の前半が「太平洋戦争風眼帖」。これは主に太平洋戦争からみた日本人論となっている。
後半はタイトル「人間風眼帖」であり、これには文章の項目に「悪」やら「女」やら「死」などの見出しがついていて、それに対する著者の思うところ、を書いているが、これも日本人について論じたところが多い。
昭和中期は今ほど言論に対してやかましくなかったところがあるのだろうか、今読むとぎょっとするような記述も見受けられる。あるいは日記なので、そのようなことを斟酌しないで書いたということもあるだろうが、例えば、「天皇一族について…最高の遺伝と教育の結晶であるはずなのに…(以下略」といった皮肉めいたものなど、もし素人がブログでうっかり書いたらそそっかしい人たちによって炎上してしまうかもしれん文章とか、まあ、面白いんですけどね。
ところで、これを読んでいくうちに、どこかで読んだような記憶があるような感じにとらわれたのだが、それもそのはずで、あとがきで、このノートは日記から抜粋したのをまとめたものだ、ということが書かれていたのだ。つまり、私は小学館で出版されていた山田風太郎の日記を全部読んでるのだが、その日記から抜粋されたものもあるので、読んだ記憶が出てきたのであった。また、小説でも一部読んだ記憶のある文章を見かけたが、このノートからとってきたものだろうか?
そう考えると、この本はある意味山田風太郎が常日頃考えてたもののエッセンスといってよいかもしれない。
人間と日本人に対する辛辣な見方が小説に生かされてあのような面白い作品が生まれたのか、と思うと感無量。
人間風眼帖―昭和21年‐昭和49年
人間風眼帖―昭和21年‐昭和49年山田 風太郎 有本 倶子

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タグ:作家の目
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2010年07月17日

切腹禁止令 山田風太郎

廣済堂文庫山田風太郎傑作大全11
このシリーズは現在も出版されてるものと品切れのままになってるものがあるが、今回の『切腹禁止令』は残念ながら品切れ中である。
時代小説がもてはやされるのに、これはいかにも惜しいことだと思う。
では格短篇の覚書

『殿様』『一、二、三!』の二篇は地獄太夫にて既読
『三剣鬼』…幕末に人斬りと恐れられた人物とその人物たちとねんごろになったあるもと芸者の話。
『嗚呼益羅男』…男根占いから別のビジネスを考え出した男の話
『妖剣林田左文』…香月藩の殿と家老が意地の張り合いから死亡してしまう。その原因となった側妾のお秀の方を亡き者にしようとしたときに、林田左文は彼女をかばうのだが。
『南無殺生三万人』…4代将軍のときに盗賊改めとなった中山勘解由は上の意向もあって徹底的な厳罰を行なう。時に挫けそうになったりする彼だが、職務に邁進する彼。
『切腹禁止令』…ちくま文庫の山田風太郎明治小説全集6にて既読だが、ブログに上げてないので覚書しておくと、幕末、小野清五郎は切腹をいくつかみてこんな不合理なことはないと、公議人になってから切腹禁止令を提案する。

改めて書くこともないだろうが、山田風太郎の時代小説はまるっきりの虚構ではなくて過去の文献などにあったものを大胆に脚色してまるで嘘みたいな話が実際の話だったりするところが驚きだったりする。『南無殺生三万人』とか。とはいえ『嗚呼益羅男』は流石に純虚構でしょうなあ。
切腹禁止令―山田風太郎傑作大全〈11〉 (広済堂文庫)
切腹禁止令―山田風太郎傑作大全〈11〉 (広済堂文庫)山田 風太郎

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タグ:時代小説
posted by てけすた at 12:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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