いつもながらのことではあるが著者の観察眼の鋭さには敬服する。「未来からの手紙」は1930年代に書かれたものであるにもかかわらず、その国の気質みたいなものが浮かび上がっていて、今でも通用する部分が多い。
日本の、さまざまな権力は民衆を起源とすることが認められていて、その権力は神のようなものであるが、しかしミカドは国民の代表者だから国民はミカドの中に自分自身と自分の持つ神のような力をみるのだ、といった指摘は、結構今も変わらないものなんじゃないかと思ったりもする。
「言葉の批評」ではいくつか印象に残る文章があった。
“「誰かに真実を話す」といえばふつう、その人を罵ることを意味してる”とか
“われわれが人生で「自分の役割を演じて」いたら、現在のわれわれにはよくあることだが、これほど愚かで、道徳的にぶざまな者ではなかったかもしれない”等等。
それとは別に、役人というのはどこの国でも一緒だな、と笑った文章があるので引用しておこう。
【文化】の項目から。
“どうして!われわれ役人は詩や思想のためにほんのわずかなことしかしなかったというのか?そうだ、さしあたっての決定を示そう―遅滞なく設置すべきものは、1、詩と思想のための大学、2、詩と思想の収集と保存のための研究所、3、詩と思想についての所轄省のアンケート、4、―他にまだ必要か?―……”
未来からの手紙―チャペック・エッセイ集 (平凡社ライブラリー (159))
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