2016年01月27日

統合失調症をたどる 中井久夫(監修・解説)

患者さんたちが、中井先生の本を読み、それについての感想や自らの体験を語る。それがまとめられたのが本書になる。

中井久夫の著作を読むと、統合失調症に対するイメージがかなり変わる。文学に造詣の深い先生であることが要因の一つにはあげられるだろうが、それ以上に、この先生はスキゾ体質に親和性があって、患者さんの体験することをなんとなく表現できるのではないかと思う。単なる知識だけでこんなに共感のこもった表現ができるだろうか?とわたしなんかは思うのだ。

本書はラグーナ出版というところから出されているが、この出版社はもともと精神科病院のデイケアで出されていた患者さんの投稿をまとめた本を、本格的に仕事にするために、設立されたのだそうだ。そして現在患者さんがこの出版社で仕事をしているという。

一読して、患者さんたちが中井先生の言葉に共感し、それまでとは違う病気への認識を持ち始めたことが彼らの言葉から推測できる。
患者さんの言葉といえば生きることのつらさや生活の困難さを語ったものが多いのだが、この中の患者さんたちは、読書会での言葉ということもあり、どちらかというと精神修養に近い認識で自らの病気を語っているようだ。それは彼らが病者として呪われてしまったのではなく、彼ら自身がより完全な人間であろうとした、そして無理しすぎた、そんなイメージが浮かび上がってくる。

本書はまた、中井先生の著作のエッセンスが載せてあり、かなり読みやすいので、中井久夫著作への入り口ともなる本ではないかな、と思う。
統合失調症をたどる (中井久夫と考える患者シリーズ 1)
統合失調症をたどる (中井久夫と考える患者シリーズ 1)中井 久夫 考える患者たち

ラグーナ出版 2015-11-11
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posted by てけすた at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説以外の著書 | 更新情報をチェックする

2016年01月09日

読了本年間まとめ【2015年】

読書メーターで年間まとめできるツールがあったので、2015年分をまとめてみた。
2015年の読書メーター
読んだ本の数:27冊
読んだページ数:7833ページ
ナイス数:287ナイス

中小企業診断士の「お仕事」と「正体」がよーくわかる本―本当のところどうなの?本音がわかる!仕事がわかる!中小企業診断士の「お仕事」と「正体」がよーくわかる本―本当のところどうなの?本音がわかる!仕事がわかる!感想
巻末のプライベートお悩みコーナーが面白かった。仕事が忙しいので、交際相手に不満もたれることが結構あるそうだ。あと企業内診断士は会社の人間関係に気をつかう場面も。
読了日:11月20日 著者:西條由貴男
空海空海感想
弘法大師信仰のことがところどころ出てくるが、読んでいて自分も帰依したくなってきた。
読了日:10月10日 著者:髙村薫
法の書法の書感想
ああ、やっぱりラブレー読まなくちゃならんな。と思った。気になってるのにいまだに読んでない自分に喝。
読了日:10月2日 著者:アレイスター・クロウリー
紋切型辞典 (平凡社ライブラリー (268))紋切型辞典 (平凡社ライブラリー (268))感想
“ロード と呼ばれるのは金満家のイギリス人”←今でも変わらんね。
読了日:9月23日 著者:G.フローベール
エリアーデ著作集 第6巻 悪魔と両性具有エリアーデ著作集 第6巻 悪魔と両性具有
読了日:9月5日 著者:ミルチャ・エリアーデ
回想の野口晴哉 ちくま文庫(の-7-3)回想の野口晴哉 ちくま文庫(の-7-3)感想
野口晴哉さんご本人の整体に関する文章は門外漢の私にはわかりにくいところがあるのだが、夫人が野口さんの人となりをこうして語ってくれることにより、その発想がそういう人柄から出てきたものなのか、と少し了承した。 あと、近衛文麿の最期について書かれた文章が生々しい。
読了日:7月29日 著者:野口昭子
自由こそ治療だ―イタリア精神病院解体のレポート自由こそ治療だ―イタリア精神病院解体のレポート感想
単なる反精神医学の立場を取らず、苦悩している人々をいかに支えていくか、という視点がこのイタリアの精神病院解体レポートから読み取れる。左翼よりなので政治的嫌悪感を感じる人がいるかもしれないが。
読了日:7月27日 著者:ジルシュミット
意次ノ妄-居眠り磐音江戸双紙(49) (双葉文庫)意次ノ妄-居眠り磐音江戸双紙(49) (双葉文庫)感想
もうちょっとだけ伸びるそうです。
読了日:7月20日 著者:佐伯泰英
増補 魔女と聖女: 中近世ヨーロッパの光と影 (ちくま学芸文庫)増補 魔女と聖女: 中近世ヨーロッパの光と影 (ちくま学芸文庫)感想
巷間で言われている歴史の常識が改めて資料に当たってみると後世の思い込みや常識でつくられた話というものはあるな。この本でいえば十字軍と貞操帯の話。実は男性だけが遠征したのではなく、女性も遠征していて遠征先に定着したという話があって、こちらが事実だとすれば、植民地政策としての十字軍という考え方ができる。 対照的に、今ある差別が今生まれたのではなくて、昔から形を変えて存在しているものがある。それが表題の「魔女と聖女」のようなイメージの二極化であろう。
読了日:7月18日 著者:池上俊一
レッスンする人―語り下ろし自伝レッスンする人―語り下ろし自伝感想
インタビュアーが竹内さんの屹立するような美しい感覚のことについて、それをどうひらこうかと考えてきて竹内敏晴にはまったということだが、「男に対して結果的に厳しいところがあると思うんだな」とか言っていたので、ええ?そうなの?と思った。ワークショップに参加していた男性が「辛いです」とか竹内さんに言ってた意味はこれなんだろうか?とか小一時間…
読了日:7月12日 著者:竹内敏晴
河合隼雄自伝: 未来への記憶 (新潮文庫)河合隼雄自伝: 未来への記憶 (新潮文庫)感想
私自身、河合先生の考え方で自分はそうでないなあ、と落ち込んだ箇所があって、それは先生が悪いわけではなくて、ただの意見なのだけど、すでに私の中で権威となってしまっているので、そういう権威に弱い自分、というものをまざまざと見せ付けられることになった。尊敬できる人と意見が違うとき、どうするか、という手腕こそ先生から学ばなければならんな。
読了日:6月23日 著者:河合隼雄
忘れ得ぬ人々と谷崎潤一郎 (中公文庫)忘れ得ぬ人々と谷崎潤一郎 (中公文庫)感想
本の面白さと個人の考え方はまた別個のものであるが、最後の最後にニヒル・アナーキズムから愛国心と称する天皇制を拠り所とした心境の変化の一文を読み、渡辺一夫がたしか敗戦日記かなんかで書いてあった師への違和感の表明の意味が腑に落ちた。
読了日:6月21日 著者:辰野隆
贋金つくり (下) (岩波文庫)贋金つくり (下) (岩波文庫)感想
アザイスの塾を舞台の中心に群像劇がくりひろげられる。それぞれが何かしらの観念を背負った登場人物みたいであり、純粋小説とは思考のダンスなのかと思わせる。アルマンのひねた心理がなにか痛々しい。
読了日:6月12日 著者:アンドレ・ジイド
贋金つくり (上) (岩波文庫)贋金つくり (上) (岩波文庫)感想
神視点から始まる通常の地の文がやがて登場人物の日記や手紙に取って代わり、かというと誰の視点だかわからない文章がでてきたりと、視点がめまぐるしく変わる。途中登場人物たちによる小説についての議論がなかなか興味深い。
読了日:6月5日 著者:アンドレ・ジイド
チベット旅行記(下) (講談社学術文庫)チベット旅行記(下) (講談社学術文庫)感想
チベットに入国してからひっそり過ごすかと思いきや、医者として遇されありがたられる。 また、日本人だとばれて出国するときの鮮やかさとか仏の加護が仮にあったとしても、大冒険をやってのける人は胆力が違う。
読了日:5月29日 著者:河口慧海
内なる目覚め―クンダリニーと統合失調症内なる目覚め―クンダリニーと統合失調症感想
自らの精神疾患について、自分の修行している仙道と関連させて、その考えを提示している。受験戦争の無意味さ、古来の修行がよりどころになったことなど、こういう手記を読むと今の社会が抱えている問題を如実に示してくれる。
読了日:5月24日 著者:深山次郎
エドガー・ケイシー文庫012 性と人間の法則〈下〉エドガー・ケイシー文庫012 性と人間の法則〈下〉感想
なんか人生相談読んでるみたいだな。
読了日:5月21日 著者:ハーバート・B.パーヤー
性と人間の法則〈上〉 (エドガー・ケイシー文庫)性と人間の法則〈上〉 (エドガー・ケイシー文庫)感想
性の問題は肉体的なもの以上に心の形成するところの問題という話。
読了日:5月13日 著者:ハーバート・B.パーヤー
世界はゴ冗談世界はゴ冗談感想
大金とピストルもってぶらついてるじいさんのお話のタイトルを本のタイトルにして欲しかった、という意見を見かけて、私も同感。でなければオビの「文学の道化(フール)にして帝王(キング)。」という文言が泣くでしょう(笑)
読了日:5月8日 著者:筒井康隆
クンダリニークンダリニー感想
瞑想からクンダリニー体験を経た人物の手記。うまくいえないのだけど、精神と身体とプラスアルファみたいな要素を感じた。超越体験といえば身体が極限状態になったとか(臨死)精神が極限状態になったとか、そういう感じだったのだけど、著者はごく普通に瞑想を続けただけ。うーん、なにか気になるな。
読了日:5月5日 著者:ゴーピ・クリシュナ
日本の医者 (こころの科学叢書 )日本の医者 (こころの科学叢書 )感想
医学組織の批判的な著書。どこの世界でもこういった腐敗は見られる。文学の素養のある中井先生の「抵抗的医師」のあり方はなかなか参考になる。権力の構造を理解した上でのアドバイスなのでそのまま日常生活にも応用がきく。自分が変わらないための心得。
読了日:4月16日 著者:中井久夫
チベット旅行記(上) (講談社学術文庫)チベット旅行記(上) (講談社学術文庫)感想
チベットへ渡航するまでの旅程、自然の美しさ、人々との丁々発止なやりとりなど、とても面白い。しかし、チベットの法王が8代から12代まで若年にて死亡(毒殺とかされてる)しているとは驚く。今の法王も大変だし、輪廻転生しながらこの役割を担っていくとかいうのは並大抵のことじゃないな。
読了日:3月17日 著者:河口慧海
自発的隷従論 (ちくま学芸文庫)自発的隷従論 (ちくま学芸文庫)感想
たった一人の圧政者にかくも隷属してしまうのはなぜか?ラ・ボエシは圧政者に媚びて利益を得る小圧政者の存在を指摘する。圧政者とその取り巻きの構造がまるでネズミ講のようである。うん、それにしても権力とはかくも人の心をたぶらかす甘い汁みたいなものだな。この論文はその後革命などでよく引き合いに出されたそうだけど、打倒権力といっても結局は覇権争いで同じことなんだよね。
読了日:2月27日 著者:エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ
生きがい喪失の悩み (講談社学術文庫)生きがい喪失の悩み (講談社学術文庫)感想
精神医学が文学についてあれこれ病的な言葉を持ち出して分析することにかなり批判している。たとえ実際作家が病んでいたとしても、「~だから」ではなく、「~にもかかわらず」その文学は書かれたということを言っていたな。フランクルの思想からもっとも遠いと思われる不条理文学ですら、その不条理を共有するということにおいて苦しみを克服するようにさせてやることができると力強く述べている。
読了日:2月9日 著者:ヴィクトール.E・フランクル
大事なものは見えにくい (角川ソフィア文庫)大事なものは見えにくい (角川ソフィア文庫)感想
“筋の通った人生というのは、虚構や思いなしを養土としているということ。”という一文で、タイトル忘れたけど昔、筒井康隆のエッセイで美人美男意識について書いていたのを思い出したな。
読了日:1月23日 著者:鷲田清一
白鶴ノ紅-居眠り磐音江戸双紙(48) (双葉文庫)白鶴ノ紅-居眠り磐音江戸双紙(48) (双葉文庫)感想
急に田丸クンがクローズアップされたのでどうしたことかと思ったが、今時代は武左衛門一家に注目。品川さんとこはどうするのかな。
読了日:1月9日 著者:佐伯泰英
いねむり先生 (集英社文庫)いねむり先生 (集英社文庫)感想
博打と幻覚というジャンルで色川武大と体験を共有するという人はなかなかいないのではないか。もしかして著者か色川武大に興味ある人じゃないと入り込めないかもしれないが、筆致が良い意味で軽いので中身に比してそれほど読みにくいという感じはない。いやむしろ面白かった。
読了日:1月2日 著者:伊集院静

読書メーター

去年は本当に本を読まなかった。
このまとめ、がんがん本を読んでるときなら1つの記事にまとまらなかったかも。
posted by てけすた at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (その他雑談) | 更新情報をチェックする

2016年01月02日

どんだけ好きなのかクライスレリアーナ

あけましておめでとうございます。
本は全然読めてませんが、好きな音楽なんぞ聴いて過ごしております。
最近、またクライスレリアーナを聴いてグットな気分になったので、youtubeでいろんな演奏を探してみると、今の気分にぴったりの演奏をしている方のものを見つけました。

https://youtu.be/rdG_Aj6XOYY

演奏家のことは全然知らないのですけど、調べてみるとリリシストと言われているとか。
ラドゥ・ルプ Wikipedia

シューマン:フモレスケ、子供の情景、クライスレリアーナ
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しかしクライスレリアーナについて書くのこれで3回目だw
クライスレリアーナ シューマン【YouTube】
クライスレリアーナあれこれ
過去の2記事はいずれもホロヴィッツの演奏です。ていうかこれが一番端正な演奏だと思っていて好きだった。
ラベル:音楽
posted by てけすた at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 芸術、音楽など | 更新情報をチェックする