TOP > 2010年12月
2010年12月30日

管仲(上)(下) 宮城谷昌光

『韓非子』を読んでいたら、管仲という人の名前が目に付いた。中身からすると非常に有能な家臣だったらしいようなのでなんとなく印象に残る。そういえばこの名前の小説、図書館で見てるよなあ、と思って行ってみるとありましたよ。宮城谷昌光の小説。気になっていたんだけど、中国の歴史ってよくわからないから読んでもわからないのではないかと後回しにしておったのだ。
諸子百家も少し知ったことだし、ではではこの辺で読んでみましょうかととりかかった。

いや、面白いわ。
話は若き鮑叔が周都へ留学してきた場面から始まる。住居の世話をしたのが管仲であり、その頃かれは家庭内のごたごたや不運などでそんなことをしながら暮らしていたわけだが、鮑叔が管仲の才を見抜いてやがて親しく交わるという展開になっている。
上巻は管仲の苦労と、友情として彼を支える鮑叔の爽やかな青春物語みたいであり、下巻はいよいよ政治を舞台にした2人の運命が描かれる。政治的成功を手に入れるまでの管仲をメインにしたかったということなのか、韓非子で読んだような斉における管仲の政治手腕は後半のほとんど終わりごろにしか書かれていないけれども、小説としては政治的に表に現れるまでの管仲の生き方を書くほうがドラマチックである。2人の公子が争って斉に入ろうとする場面などどきどきしてしまった。
それと、主人公は管仲だけど鮑叔の存在感が大きい。前半はどちらかというと彼が主人公みたいな形で話が進むしな。
それはそうと、管仲が公子糾に召忽と2人で仕えたとき、召忽に遠慮してうまく教育しにくかったというあたりは、韓非子で読んだ御者が2人いては車をうまく走らせない、というような逸話を思い起こさせるな。あ、公子を車あつかいしてはいかんか。

管仲〈上〉 (文春文庫)
管仲〈上〉 (文春文庫)宮城谷 昌光

文藝春秋 2006-07
売り上げランキング : 54046


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


管仲〈下〉 (文春文庫)
管仲〈下〉 (文春文庫)宮城谷 昌光

文藝春秋 2006-07
売り上げランキング : 23371


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by てけすた at 12:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月26日

山田風太郎 疾風迅雷書簡集

山田風太郎が友人に宛てた手紙が発見されたので書簡集として出版したのがこの本。前半は小西哲夫氏と北井豊氏に宛てたもので、昭和14〜16年に書かれたもの。卒業を待たずして軍に入った小西氏へ、山田風太郎が学校生活と、その後の自身の受験生活について書いている。
後半は吉田靖彦氏に宛てたもので昭和18〜20年のもの。このあたりは「戦中派虫けら日記」「戦中派不戦日記」と時期が重なっており日記を補完する形として読めるようになっていて面白い。
小西氏が「雷太郎」だということはこの本で始めて知った。いや、いままで読んだ中のどこかにかかれてたのかもしれないが、まあ、それでこの本のタイトルとして「疾風迅雷」という言葉を使ったのだね。
雷太郎、ということは、山風の青春モノに出てくる、頼大太郎クンのモデルですかね?
アベマツ親王のモトネタも出てきて吹いたw
山田風太郎の小説や日記を読んでないと、この書簡集はわかりにくいかもしれないが、読んでいればこれほど面白いものもない。
山田風太郎疾風迅雷書簡集―昭和14年~昭和20年
山田風太郎疾風迅雷書簡集―昭和14年~昭和20年山田 風太郎 有本 倶子

神戸新聞総合出版センター 2004-11
売り上げランキング : 193715


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:書簡集
posted by てけすた at 12:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月25日

孔子 井上靖

前に読んだ『論語物語』で孔子という人に興味を持つ。
なぜか論語にはあまり興味ないところがアレなんですけどね^_^;
ということで図書館でこの本を見かけたので井上靖の書く人間孔子はどんなものだろうと思って借りてきたんだが、予想していた中身とは少し違っていた。
もちろん、孔子のことが主なのだけど、孔子に付き従って下働きをしていた語り手と、孔子を研究している人の集まりにおいて、その言行を語り合うという形式になっているので、どちらかといえば、論語や孔子のことをある程度知ってる人が、この集まりに来たような面持ちで自分の考えとつき合わせてゆく読み方をするんだろうな、という風に感じたのである。
とはいえ、一見さんが読んでもよくわからないようなことは書いていないし、そんな自分でも興味を惹かれたのは戦国時代、国をなくした語り手のその思いと戦乱の世を放浪して教えを説こうとしていた孔子とその弟子たちの姿が語り手を通して描かれるところで、戦乱の世を生きる人間が生きるということについてどう考えるのか、その辺り面白く読むことができる。
自分の住んでいた場所がある日他国に蹂躙されてそのまま別の国になってしまう、そんなことはつい半世紀ほど前にも日本人で体験した人がいる。国を失うということまではないにしろ、自分のふるさとが自分のふるさとでなくなること、これは一体どういうことなんだろうと思いを馳せながら読了した。
孔子 (新潮文庫)
孔子 (新潮文庫)井上 靖

新潮社 1995-11
売り上げランキング : 89333


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:諸子百家
posted by てけすた at 12:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月22日

韓非子(上)(下) (中公文庫)

その非情さにおいてマキャベリの君主論よりも厳しいというのをどこかで見かけたのでそのうち読んでみようと思っていたが、ようやく読むことができた。
法とはコンパスや定規のようなものであり、基準である。家をつくったり車輪を作ったりするときにもコンパスや定規なしではうまくできないように、国も法がなければうまく収めることができない、という考え方である。
そして、人とは本来ほうっておけば欲望のままに行動するので、仁義を元にした政治は不確かなものであるからやはり法は必要、ということを述べている。
このあたり、確かにそうだと思わせるようなものがある。仁義とは賞罰の基準なしに、情けをかけることであるから、不正がはびこるという言い分、もっともなものだと思うのである。
しかしながら、この説は大変合理的なのではあるが、人間とは不合理な生き物である。まず、君主からして的確に賞罰を行えるかどうかと言うとこれは怪しい。そうならないために君主のとるべき態度を事細かに指南しているのではあるが、臣下や民衆の考えていること的確に見抜くこと、これは指南された方法によったとしても確実ではない。だから確実な賞罰というのは難しいのだと思う。
それに、よしんば確実な賞罰を行なったとしても、民衆が必ずしもそれを的確と思うかどうかは別。下手をすれば暴動が起こるかもしれない。
とはいえそんなことを言い出したらどんな方法でも不確実ではあるからな。別に韓非子だけが悪いというのではない。
それに、外交重視より内政重視で国力を増強したほうがいいという説は私も同意見である。
できれば、政治に携わる人は韓非子の非情さだけを取り上げるのではなく、人間は不合理な生き物だから強制だけでいうことを聞くとは限らないということを忘れないで欲しいものである。
腐敗する重臣たちを痛烈に批判するくだり(孤憤篇など)は結構痛快に読んだ。

韓非子〈上〉 (中公文庫)
韓非子〈上〉 (中公文庫)町田 三郎

中央公論社 1992-07
売り上げランキング : 421698


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


韓非子〈下〉 (中公文庫)
韓非子〈下〉 (中公文庫)町田 三郎

中央公論社 1992-12
売り上げランキング : 540172


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:諸子百家
posted by てけすた at 12:38 | Comment(1) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月20日

歯周病の恐怖

歯周病というのは恐ろしいな。
今年の夏そう診断されて一生懸命歯医者に通い、歯磨きも1日30分4回というハードスケジュールをこなしていた。
その甲斐あって、今月初めには病院通いが終わる予定だったのだ。
しかし、好事魔多しというか、その頃少し体調を崩した。それが原因なんだろうか?せっかくよくなってきた歯茎がまた出血するようになってしまったのであった。
それでも、医者は丁寧に歯磨きを続けていけば大丈夫だからとはいうので、その後も真面目に歯磨きをしているんだが、どういうわけかだんだんひどくなってくような感じがするんだよな。
というのも、それまで出血してなかった部分からも出血するようになるし、今まで出血していたところがなかなか治らないしで、とうとう今日は吐き出す液体に血が混じるまでになってしまった。
一体なんでまたこんなに酷くなっちゃったかなあ。
気になって本も上の空で読んでるような状態。
酷くても治ってくる気配が感じられればそれほど不安にならないのだけど、出血する箇所がどんどん増えてきているところがなんとなく空恐ろしい。
特に不摂生もしておらず、食事も良くなっていた頃と変わらないので原因がさっぱりわからない。

歯周病は薬でコントロールできるわけでないから大変だ。喘息も大変だとは思ったが、薬がピタリと決まれば生活はそれほど大変じゃなくなる。そういえば虫歯菌も歯周病菌も99.9%除去できる方法が見つかったとかどこかのニュースサイトでみたよなあ。
本当ならばどんなに朗報なことか。
ああ、でも今はなんとか出血が治まってくれるよう磨き続けるしかないんだろうな、トホホ…
タグ:歯周病
posted by てけすた at 20:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 病弱日記(喘息とか)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月14日

人間小唄 町田康

謎の短歌に対してグダグダした解説が冒頭から続いて、たまに面白げなフレーズはあるものの、今までの町田康の破壊力があまり感じられないような文章が続く。しかしながら、読み勧めていくと、それが巷でいうところの人生訓、自己啓発、癒し、そういったものを思いっきりありがちな曲解のもとで話を進めていってるのだ、ということがわかる。極度に誇張された被害者意識、ゆがめられた芸術評価、他人をやり込めるためだけに使われる人生訓。おお、そうなのだ、これは今巷にあふれる道徳基準や価値基準に対するアンチなのである。
その極めつけは、猿本丸児に代表される、大衆のニーズにすりよった「耳触り、目触りのいいもの」に対する主人公の憎悪であり、それらは「感受性の墜落のような劣化」を招くのだという一文だ。
このことが意識されないと、この本、あまり過激な言葉が今までに比べると少ないので町田康のパワーが落ちたと思われるのではないだろうかと危惧する。
だが、それはそれでいいのかもしれない。人生訓や自己啓発に詳しい人というのはこういってはなんだが、どこか胡散臭い。だからそのことが意識されないというのは、皮肉ではなくいうのだが真っ当な人だと思うのである。
人間小唄 (100周年書き下ろし)
人間小唄 (100周年書き下ろし)町田 康

講談社 2010-10-19
売り上げランキング : 18820


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:人間模様
posted by てけすた at 12:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月13日

背教者ユリアヌス(上)(中)(下) 辻邦生

ローマの皇族として生まれたユリアヌスの激動の生涯を描いた大作。キリスト教拡大と皇帝の猜疑心のためにユリアヌスの一族は粛清されるが、幼なかった彼は兄ガルスと共に行き残る。しかしながら幽閉され、執拗に命を狙われる。そんなユリアヌスを支えたのはギリシャの神々であり、哲学なのだった。

その生涯を権力闘争と陰謀に巻き込まれる形ですごしたユリアヌス。人間を恨んでもおかしくはなく、実際そんなことを考えることもあるのだが、それ以上に彼は人間の理性を信じ、ローマという文明がその理性の体現なのであるという信念をもつ。冒頭、ユリアヌスの母が彼を身ごもってるときにたくさんの血腥い死体と、そこに立つアキレウスを夢に見るのだが、前半、学問好きのユリアヌスとアキレウスが結びつかなくて、これはどうなるのだろうと、思ったら、後半になってその意味が理解できた。人間というのは逆境に立つとき、そこを乗り越えるには自分自身の全てを人生に捧げる他ない、ということを読んでいて痛切に感じる。

ローマ帝国のことはよく知らないのだが、背教者とはキリスト教に背いたということらしい。ローマがいつ頃からキリスト教を受け入れたのかというと、ユリアヌスの2代前の皇帝が寛容令を発したところから始まってるらしい。ということはキリスト教が公式にローマに認められるようになってからそれほど経過していないということだ。だからユリアヌスがローマ神教を復活させようと思うのはそれほど奇異には思えない。
ただ、歴史はキリスト教が爆発的に広がることを選んだ。ゆえに後の世で背教者などといわれるようになったことは気の毒な気がしないでもない。
これは私もキリスト教徒ではないがゆえにそう思ってしまうのだろうか?

これは文庫本にして3冊にもなる長篇だが、そんなことは気にならないくらい一気に読むことができる。
背教者ユリアヌス (上) (中公文庫)
背教者ユリアヌス (上) (中公文庫)辻 邦生

中央公論新社 1974-01
売り上げランキング : 49478


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

背教者ユリアヌス (中) (中公文庫)
背教者ユリアヌス (中) (中公文庫)辻 邦生

中央公論新社 1975-01
売り上げランキング : 36983


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)
背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)辻 邦生

中央公論新社 1975-01
売り上げランキング : 41255


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:歴史小説
posted by てけすた at 13:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月08日

人生をよりよく生きる技術 アンドレ・モーロワ

なんだか自己啓発みたいな本ばかり読んでいるが、アンドレ・モーロワの『UN ART DE VIVRE』(邦題:人生をよりよく生きる技術)は伝記作家だけあって、あのフランクリン自伝にありがちな無味乾燥さというか、なんか言葉が見つからんが、要するにフランクリンは立派だとは思うが、無駄なものがなさ過ぎて窮屈な感じがする、そういうものがモーロワのこの本にはない。
たとえば本1つ読むにしても、モーロワは名作の読者にふさわしくすることである、なんていう言葉がさらりと出てくる。これに続くのは本も宿屋や恋愛と同じで、こちらが出しただけのものしか向こうからもらえないのだ、とくる。そして、読書の技術とは大部分本の中に人生を見、本を通してそれをよりよく理解する技術である。と締めくくられる。このなんとも柔らかな感性。自己を向上するための読書はもちろん推奨されることだが、そんな貪欲な野心で本を読むと疲れてしまうし、なんだかギラギラしててついてゆけないよなあ、なんて思ったりしてたから、ああ、やっぱり文学の人は違う、なんて少し喜んじゃったりしました。

思えば、人生訓の本って企業人の勧める商売繁盛的本でなければ、宗教に救いを見出すような抹香くさい中身とかそんなのばかりを見かける。でなければスピリチュアル。人生そればっかりではないでしょうに、などと思うのは成功してない人間の僻みにしか聞こえないだろうが、モーロワのこの本のような、人間性に根ざしたもの、こういう中身の人生訓があまり見られないのはちょっと寂しい。
しかも、amazonで見たら、もう品切れ本になってるし、こういう中身は流行らないのだろうか?
私は非常にいいと思ったんだが。
人生をよりよく生きる技術 (講談社学術文庫)
人生をよりよく生きる技術 (講談社学術文庫)アンドレ モーロワ 中山 真彦

講談社 1990-08
売り上げランキング : 276670


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:人生
posted by てけすた at 12:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月07日

フランクリン自伝 ベンジャミン・フランクリン

フランクリン自伝は明治の青年たちの愛読書だったというので、読んでみた。
なるほど、フランクリンが貧しい家から手に職をつけながら立身出世していった様子は当時の若者たちをかなり刺激しただろうなあというのがわかる内容だ。
初めのうち息子宛に書かれた青少年時代の出来事は、先祖の話から始まって、大勢の兄弟の中で育ち、兄のところへ年季奉公しながら、出版の技術を身につけて、やがて兄のもとを飛び出して苦労を重ねながら独立していく様子が、自分の勤勉さを前面に押し出した形で描かれている。
そのあと、独立後の自伝については不特定多数の読書人を対象にした筆致で書かれているので多少趣が変わるが、基本的に勤勉さと誠実さをモットーとした生活は変わってはいない。
このような内容なので、道徳本としては非常に良くできた自伝でこれが読み継がれていく理由がわかるような気がした。訳者は解説で『福翁自伝』との類似を挙げているが、フランクリンのほうがずっと立派である。なにせ福澤諭吉は武勇譚(悪い事をしたという意味の)を少し誇らしげに語る部分があったが、フランクリンは「私の過ちの一つであった」と反省の弁を書き綴るのだから。
ということで、自己啓発の分野ではよく取り上げられる本らしいのだが、それ以上に、この本の読みどころといえば、独立戦争前のアメリカの状況がわかるということだろう。
当時、イギリス本土の領主たちとアメリカの住民において、利害がよく対立していたことがフランクリンの奔走を見ているとよくわかる。税収についての法案を作る際に、知事が領主たちの意向を受けた代理人として指名されてた場合が多くて、領主の財産は除外しろといろいろ揉めてたらしいのだ。なるほど、こんなことが積み重なって、独立戦争へと繋がってゆくんだなあと思った。本書は独立戦争の20年ほど前で終わってしまっているのが残念だ。これがもし書き継がれていたならば得がたい資料となっていたことは解説でも述べられている通りである。

岩波文庫で読んだが、2010.12現在、品切れ中のようだ。現在は中公クラシックスがあるみたい。
フランクリン自伝 (岩波文庫)
フランクリン自伝 (岩波文庫)フランクリン 松本 慎一

岩波書店 1957-01-07
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


フランクリン自伝 (中公クラシックス)
フランクリン自伝 (中公クラシックス)フランクリン Benjamin Franklin

中央公論新社 2004-12
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:自伝
posted by てけすた at 13:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月04日

飛騨忍法帖 山田風太郎

飛騨幻法をひっさげて江戸の御前試合に参加せんと旅をする乗鞍丞馬の前に現れた、飛騨から5人の追っ手と丞馬を慕う5人の美女。彼らは丞馬の江戸行きを阻止せんとするが、彼はそれを振り切って江戸へ到着する。ところが参加申し込み先で彼はある美しい女性に目が釘付けになってしまうのである。女性断ちをしなければ破れるという飛騨幻法。彼の運命は果たして。

果たして、と書いたが、結果的に彼女の若党として敵討ちを手伝うことになる。
惚れた女性のために、己をかけて仕える丞馬は谷崎潤一郎の「春琴抄」に出てくる佐助に似てなくもないが、あちらはかなりマゾ的であるのに対し、こちらはまるで人に飼われた犬のごとく愚直である。彼らにいろんな困難がつきまとうのはお約束として、冒頭から丞馬が負けたりするので、この話一体どうなるの?なんて思ってしまう。
時代が幕末であり、忍者はすでにアナクロな存在であった。文中にそのことをあからさまには書いていないのだけれども、丞馬の使う術に仰天する人々、鉄砲などの文明の利器の活躍などが出てきて今までの忍法帖とはどこか雰囲気が違う。
また、「開花の忍者」のようなどこか滑稽な感じが見られるわけでもなく、なんとなく主人公が浮いた感じになっているんだよなあ。
とはいえニヒリズムな部分は残っていて、まるで幕府瓦解の挽歌のようなのでもあった。
飛騨忍法帖
飛騨忍法帖山田 風太郎

文藝春秋 2003-04-26
売り上げランキング : 441316


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:忍法帖
posted by てけすた at 12:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月02日

列外の奇才 山田風太郎 角川書店編集部

この本、Amazonで予約受付を見たときに買うかどうか迷った。というのも紹介文にはほとんど内容の手がかりになるようなことが書いてなくて、角川のサイトも然り。
単なる著名人たちの寄稿集ならとくに要らないなあ、と思っていたので、結局発売日をまって近くの書店で中身を確認してから購入したのだった。
こういったある人物の評伝みたいなもののまとめた本というのは中身をある程度確認できないと本当に買うかどうか迷ってしまう。
そこで、迷っている人がいるかどうか知らないが、同じような人がいることを考えておおまかなコンテンツを書いておこう。

●寄稿、あるいは他の媒体からの転載という形で載せられてる執筆者たちの名前を掲載順にあげる。(敬省略)
沢木幸太郎、北村薫、桐野夏生、関川夏央、馳星周、縄田一男、内田樹、坂東真砂子、山本兼一、斎藤環、宇月原晴明、千野帽子、米澤穂信、橋本治、森村誠一、京極夏彦、筒井康隆、安彦良和。
●山田風太郎全集の月報から転載された同時代作家たちの文
角田喜久雄、江戸川乱歩、阿佐田哲也、野坂昭如、横溝正史、小松左京、都筑道夫。
●日下三蔵による、山田風太郎の年譜。
●写真若干。
●未収録作品3篇。
●岡本喜八監督の未発表脚本
『死言状』『幻燈辻馬車』
●山田風太郎記念館案内と、著書リスト。

大まかにはこんな感じである。
未収録作品が読めるのもうれしいが、一番読み応えがあったのはやはり岡本喜八監督の脚本であろう。『幻燈辻馬車』は自由民権運動のいざこざを舞台にしているとはいえ、原作とは少し趣が異なって家族愛を中心に描かれているところが胸に迫ってきて、この映画が撮られなかったのは本当に残念なことだと思った。
未収録作品の『袈裟ぎり写真』、ショートショートのような逆転オチだが、後味は小気味よくてこの作品が3篇の中では一番好きだ。
列外の奇才 山田風太郎
列外の奇才 山田風太郎角川書店編集部

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-11-23
売り上げランキング : 26141


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


posted by てけすた at 12:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
【PR】【Bizoux(ビズー)】公式通販サイト