2010年08月28日

妖精の女王 エドマンド・スペンサー

妖精の女王の幻をみてその人を捜し求める若きアーサー王子と、妖精の国の騎士たちそれぞれの冒険物語。
読む前はアーサーと妖精の女王が主人公として出てくるものだと思って期待していたのだが、なんと、アーサーは主人公ではなかった。
この物語は第1巻の竜退治、2巻の悪女征伐、3巻の恋人さがし、4巻の友情物語、5巻正義と審判の話、6巻中傷と悪意の獣を退治する話、7巻神々の物語と、大まかにはこんな感じに分かれているのだが、その各巻に妖精の国の騎士など、それぞれ主人公がいて、アーサーは女王を探しがてら主人公たちが危機に陥ったときに助けにくる役どころだったのである。まあ、早くいえばアーサー外伝といった感じか。
おのおの主人公たちは美徳の寓意としてあらわれる。赤十字の騎士が神聖だったり、サー・ガイアンが節制だったりという具合に。もちろん、それは注釈を読まないとわかりにくいのであるが、仮に読まなくでも話はよくある冒険物語のように痛快に進み、悪は悪として征伐され、アーサーの活躍ぶりなどが堪能できて、何もストレスがなく物語を楽しめる。もちろん注釈を読めばそれぞれに出てくる人物が何をあらわしているかということも解説してくれる。
ところでこの注釈であるが、そういったファンタジー的要素の陰に、当時の政治状況が織り込まれていることも解説している。ある怪物がカトリックの何々を現しているとか、この人物はスペインを現しているとか、カトリックと大いに揉めたこの時代のことがちらちらとわかるのである。またスペンサーはアイルランドで任官していたので、当時のアイルランドで起こる反乱などについてもこの中に寓話として織り込んでいたりもする。
宗主国イギリスとしては反乱する植民地の住人は悪に見えるため、この物語の中でも悪役として描かれているのであるが、なんとなく複雑な気分にはなるな。
ファンタジーの美しさの裏に隠された現実の醜さ。
妖精の女王
妖精の女王エドマンド スペンサー Edmund Spenser

筑摩書房 1994-01
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おすすめ平均 star
star英国ルネッサンスを彩る一大寓意叙事詩!

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ラベル:叙事詩
posted by てけすた at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2010年08月26日

呪いのOSかもしらん

先ほどtwitterでつぶやいたのだが、うちのPCではこの頃あるトラブルが起こるようになった。
それが、自分のところへログインしようとすると、
Windows サービスに接続出来ませんでした。
System Event Notification Service サービスに接続できませんでした。
このため、標準ユーザーはこのシステムにログオンできません。
管理者ユーザーはシステムイベントログを参照して、このサービスが応答しなかった原因を確認できます。

という表示がでて入れなくなってしまうこと。管理者用のところだけはログインできるが、インターネットを含めたネットワークが使えなくなり、ファイルを開くくらいしかできなくなってしまうという恐るべきトラブル。
最初に起こったのは忘れもしない7月終りのことであった。そのときは再起動してみたり、線がきちんと繋がってるか確認したり大汗かいて、もう直らない、どうしよう、って頭抱えたのだが、共有者がそのときやってきて、システム復元をしてみたら?というのでやってみたところ直ったのでほっとしたのであった。
それからまた2回ほどそんな状態になって、そのつどシステム復元をしていたが、こんなことばかりやってられないと
「system event notification service サービスに接続できませんでした」
で検索してみたら、あるわあるわ。びっくりです。
一応直し方を載せているサイトがあったので、そこをメモしておいたが、参考までにurlを載せておくと
http://ice-cube.blog.so-net.ne.jp/2009-04-07
もう、ならないで欲しいことを祈るが、またトラブルが起こったときはこの方法を試してみようと思う。

それにしてもだ、検索結果の上位をいくつか覗いて見たが、再起動で直る人もいればリカバリーまでやったひとまでいろいろ。しかもみんな原因が不明なんだよね。何かしらダウンロードや更新プログラムが怪しいという感じはもってるらしいのだけど、肝心のマイクロソフトにこの情報がないのはなぜだ?
それに、どうもこのトラブル、なぜかVistaばかりのような気がするんだよね。なーんだか貧乏クジかい?ビスタ君は。

おまけ、tweet転記
ラベル:Vista
posted by てけすた at 14:09| Comment(0) | TrackBack(0) | PC周辺 | 更新情報をチェックする

2010年08月23日

病牀六尺 /仰臥漫録 正岡子規

以前読んだ『墨汁一滴』が結構面白かったので子規の他の本も読んでみた。

『病牀六尺』
新聞「日本」に掲載された『墨汁一滴』の続き。物事への限りない好奇心はそのままに、前のものより歌や句の話は少なくなってそのかわり画についての話が多く出てくる。子規は句でも月並調をよく思わなかったように、画でも少し変わった趣のあるものを好んだらしい。組み合わせの変わったものとか描き方の変わったものとかを賞賛していた。
ところで『病牀六尺』はさらに死に近づいてきての随筆だけに終りのほうになると流石に読んでていたましいくらいになる。拷問の話と自分の身体のことを引き合わせて語る数行の文章はちょっと平静な気持ちでは読めない。いままで少しのユーモアで己の病を描いてきた子規は百二十四で書くその
「人間の苦痛は余程極度へまで想像せられるが、しかしそんなに極度にまで想像した苦痛が自分の此身の上に来るとは一寸想像せられぬ事である」
という文章の慄然とすることよ。
病牀六尺 (岩波文庫)
病牀六尺 (岩波文庫)正岡 子規

岩波書店 1984-07
売り上げランキング : 19512

おすすめ平均 star
star末期がん患者に希望を与える書
star病人に読んでほしい
star美しい文章とちょっとの自己中がいい味出してる

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『仰臥漫録』
『墨汁一滴』『病牀六尺』が新聞連載なのでいわば表向きの文章なのに対して、こちらは日記ともいうべき個人的な雑記である。主な内容は日々の食事と病状、訪問者のこと、及び個人的雑感。
いや、私ちょっと驚いたのは子規の食欲旺盛なところ。普通の食事に菓子パンやお菓子、果物をもりもり食べてるので、メニューだけみるとこの人病気なのかしらん、と思うくらいである。はっきりいうとこのメニューが一番印象的かも。
また重病なので仕方ないが、看病する家人(主に妹)への不満がつのったりして、そのあたりの心情もありありと吐露している。子規の病の篤さからしてその吐露は実際より割り引いて考える必要はあるかもしれない。なにせ不満を述べる一方で律が病に倒れることを酷く恐れたりもしているのだから。
それにしても重病人だとなかなか本人の心情を聞くことができないが、これはそういう意味で稀有な日記かもしれないな。
仰臥漫録 (岩波文庫)
仰臥漫録 (岩波文庫)正岡 子規

岩波書店 1989-05
売り上げランキング : 40212

おすすめ平均 star
star松山で元気だった子規と漱石の思い出
star糸瓜棚からのぞく青い空・・・
star生きるということ!!

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ラベル:日記 随筆
posted by てけすた at 13:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 明治 | 更新情報をチェックする

2010年08月20日

絶対製造工場 カレル・チャペック

おおっ、メジャーデビューしたな。
木魂社から出ている『絶対子工場』を以前読んでこれ欲しいと思っていたのである。しかるにその本はドイツ語からの重訳であるので買うかどうか迷っていたのも事実。
それが、先日平凡社ライブラリーより飯島周先生によるチェコ語からの直接翻訳で出版されたのはうれしい限り。早速購入して読んでしまった。
あらすじは以前書いた拙記事(2007.5.20『絶対子工場』)にあるので省略するとして、二度読んでみると以前は見落としていたものに気が付いたりする。戦争の部分では当時のヨーロッパの政治的文化的状況を知っているときっともっと面白いのだろうということすら前に読んだときには気が付かなかった、っていうかそこすっとばして読んでたかもしらんし。

あとがきや解説を読むと、この作品は随分と酷評を受けたらしい。
確かにこの作品は長篇としてはあまりにも断片的な構成で進んでゆく。もともと新聞用の小品として書き出したものだったが、途中中断したのち、続きを書くようにせっつかれて責めふさぎのように書き進んでいったとのことである。なので、構成としては1つの出来事に対する継続的な新聞記事のような様子にも見える。

この小説では絶対というものが人々の宗教心に作用してそれぞれの宗教観を刺激し、やがて戦争へと発展するが、別に宗教だけが悲劇を起こすとは限らない。ラストの酒場のシーンではありとあらゆる主張、信念などにも共通したことであり、私とあなたが違う真理を持っていたとしても、人は人をそれゆえに憎むことなく、信じあって折り合いをつけてゆくのだ、という会話が交わされている。今までの華々しい発明や戦争の章を受けて、本当に主張したいのはこの酒場での会話に現れていると思うのである。
チャペックは小説の中で、
人は無限の神のほんの一部を自分のものにして、神全体を所有していると考えている。そして別の部分をもっている人に対して腹を立てている。なぜなら、自分は真理全体を所有していることが大切で、もし他の人の別の真理を許すならば、自分も神の真理の中のみじめな数メートル分しかもってないことを認めなければならないからな、
というような意味のことを登場人物たちに会話させている。そして、これが特に政治と宗教ではひどいと。
ほんとに、なぜなんでしょうねえ。
絶対製造工場 (平凡社ライブラリー)
絶対製造工場 (平凡社ライブラリー)カレル・チャペック 飯島 周

平凡社 2010-08-11
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ラベル:近未来 SF
posted by てけすた at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2010年08月17日

星新一2冊 『殿さまの日』『明治・父・アメリカ』

『殿さまの日』
星新一の時代小説が最近復刊されて興味を持ったので図書館で探したら、復刊されたのとは違うがこの本を見つけた。
全部で12篇。表題の『殿さまの日』はある殿さまの一日をかいているのだが、その殿の固有名詞はなく、ただ殿さまとだけ書かれている。そして幕藩体制においての無難な行動や考え方などが殿さまの思考を通して描かれていて、ちょっとびっくり。およそ泥臭い時代物ではなく、ショートショートみたいに個人性が排除されたような御伽話のよう。他の作品は流石に固有名詞つきだが、全体にスマートで時代物らしくない。それでいて中身はきっちり時代小説なのだからおそれいった。
殿さまの日 (新潮文庫)
殿さまの日 (新潮文庫)星 新一

新潮社 1983-10
売り上げランキング : 131300

おすすめ平均 star
star時代劇でありながら、現代劇の味わいあり。
star江戸時代の平和な日々って。
starいまだに金字塔

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『明治・父・アメリカ』
星新一の父、一(はじめ)の生い立ちから若き日アメリカへ渡ったときのことを文献を頼りに著者が描く、一種の立身物語。
今、立身と書いたが、果たして出世といえるかどうかは微妙。歴史上の人物と交流があって、アメリカで結構有名人物になるが、地位や富を手にいれてるわけではないからだ。
とはいえ、読んでいくと彼の並外れた誠実さや粘り強さが浮き彫りにされていて結構心打つものがあった。
ところで、どうでもいいんだが、この中に野口英世が出てくる。私は彼がいじめられた言葉「てんぼう」の意味がよくわからなかったのだが、この本で漢字で「手ん棒」と書いてあってようやく意味がつかめたというお粗末さまでした。
明治・父・アメリカ (新潮文庫)
明治・父・アメリカ (新潮文庫)星 新一

新潮社 1978-08
売り上げランキング : 90637

おすすめ平均 star
starこうなりたいと思う
starさわやかな作品♪
star自分の力で伐り拓く

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ラベル:時代小説
posted by てけすた at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説 | 更新情報をチェックする

2010年08月14日

金閣寺 三島由紀夫

どもりであるがゆえに外の世界とうまく関われないと思っている若き学僧がその屈折した心理で金閣寺に対し愛憎一体の思いを抱く。学僧のそれまでの半生と、いかにして金閣寺へひきつけられていったのかということが、三島由紀夫の精緻な文章で表現されていくのは見事としかいいようがない。
しかしながら、まあこれはあくまで小説なのでこんなこというと難癖なのだが、これだけ表現できるのにそこまで屈折したんかいな?というくらいどこか作り物めいているのである。昔『仮面の告白』を読んだときに感じた主人公への演技的な表現、ああいったものと共通のものを感じてしまったのだな。手記ではなく小説だからある程度まとまりがあるのは当然とはいえ、三島由紀夫の場合はそれがどうも極端に整いすぎてる感が否めない。
いやもちろんそれが駄目とかそういう話ではない。どこか作り物めいた主人公の告白が却って劣等感そのものよりは柏木のような偽悪的ふるまいを連想してしまうということだ。そのために金閣寺放火の動機はなおさらわかりにくくなり、ここに書かれていることは主人公にとって本心なのか韜晦なのか判断がつきにくい。韜晦ではないかもしれないが、本人も隠したがっている何かとか他人にこう見られたいと思ってる何かが前面に出ているのでは?とつい穿った見方をしてしまう。
とはいえこれでは話が進まないからこの告白を本人自然の状態だとして、主人公と金閣寺の関係は全くの恋愛状態。しかも片思いということで説明できる。戦中、空襲による金閣寺滅びの可能性に自己の卑小さと共通項を見出してうっとりする主人公や、禅の考案と主人公の心の状態を比較するくだりなどは若者の観念的な部分がよく描写されていているなと思った。
金閣寺 (新潮文庫)
金閣寺 (新潮文庫)三島 由紀夫

新潮社 2003-05
売り上げランキング : 4435

おすすめ平均 star
star時を経て再読しても色褪せない三島文学
starあまりに好きすぎて壊したくなることって、あるよね
starワタシも何かを吃っしているから共感できるのかもしれません

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ラベル:文学
posted by てけすた at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説 | 更新情報をチェックする

2010年08月13日

アーサー王の死 サー・トマス・マロリー

ブルフィンチの『中世騎士物語』に触発されて、まずはアーサー王の死を読んでみようと図書館で検索するとちくま文庫が引っかかったので、これを取り寄せて読み始めたのだが、残念なことに、これは抄訳だったのである。本来のものは全部で21巻507章もある大著だったのだ。
ちくま文庫に収録されてるのはそのうちのほんの一部、巻でいうと、5、11、12、18、19、20、21巻だけ。つまり、アーサー王の誕生と国を統治して、ローマを追っ払うところと、ラーンスロットと王妃がらみの話、そしてそこから発生するラーンスロットとの戦いとその死の部分だけが収録されてるのである。
正直これはがっかりした。聖杯伝説とかまるっきり抜けてるもの。なので、全容を知りたい人はむしろブルフィンチの中世騎士物語を読んだほうがいい。
それでも収録されてる部分は当たり前のことだが、ブルフィンチの著より詳しく書かれているので、ラーンスロットと王妃がらみの話からアーサーが死ぬまでのところは面白く読めた。
どうも、アーサーが王になってからは冒険ができずらいためにラーンスロットが英雄としてアーサーの代りに活躍しているように見える。アーサーとラーンスロットと王妃の三角関係はなかなかに見物。それにしても王妃の性格がいまひとつつかめん。
まあ、それはとにかく、中間がごっそり抜けてるので話としてはわけがわからんし、こういう省略のしかたはいかがなものか、と思ってしまう。
アーサー王の死 (ちくま文庫―中世文学集)
アーサー王の死 (ちくま文庫―中世文学集)トマス・マロリー William Caxton ウィリアム・キャクストン 厨川 圭子 厨川 文夫

筑摩書房 1986-09
売り上げランキング : 163479

おすすめ平均 star
star聖杯とエクスカリバー
star西の傑作古典
starせっかくのアーサー王伝説の集大成の和訳だが、省略が多いのが残念

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今はちくまで完訳版も出してるようだ。全5巻。また探してみなくちゃ。
アーサー王物語〈1〉
アーサー王物語〈1〉トマス マロリー オーブリー ビアズリー

筑摩書房 2004-11
売り上げランキング : 181719

おすすめ平均 star
starアーサー王物語1,2
starリアリティあるファンタジー
starとうとう通して読める

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ラベル:伝説
posted by てけすた at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2010年08月10日

墨汁一滴 正岡子規

NHKドラマ「坂の上の雲」で出てくる正岡子規がずいぶんお茶目だ、と思っていた。それで少し気になりだして、機会があれば本でも読んでみようかなと思っていたのだ。といっても俳句のことはさっぱりわからないので、やはり随筆だろうと思い、ちょうど古本屋でこの『墨汁一滴』を見つけたので読んでみたのだ。
うーむ、あのお茶目さは誇張でもなんでもなさそうだ。この随筆は死ぬ1年ほど前に新聞に掲載されたものだけど、ほとんど寝たきりとは思えないくらい闊達な文章なのだ。子規の興味ある平賀元義の歌の紹介から、漢字の誤りの覚書、ほとんど難癖としか思えない歌の批評から、学生時代の面白いエピソードまでその好奇心の旺盛なこと。きっと面白い人だったんだろうなあ、と想像してしまう。寝たきりで疼痛に苦しむも、病床のいろんなものを描写してみたり、病気に関するちょっとした物語を書いてみたりするのだが、その内容も感傷的でないのがいい。あれだけの大病だと感傷的になる余裕もないのだろうということなのかもしれないけれども、閻魔様の物語の中で地蔵様が「十年くらい寿命を延ばしてやりなさい」といったのに対し、子規が滅相なことをいうな、健康ならいいけど、こんな体で十年はやるせない、というくだりを読めば性格的に陽性な部分がかなり大きい人ではあると思うのだ。
なにより私は歌とか俳句とか全くの門外漢なんだけど、子規の批評や解釈がわかりやすくて、こんなふうに読むんだ、と勉強になったこと。例えば、宝引についての一説があるのだけどそれを読んだ後にずらずらならぶ宝引の入った句を眺めてその情景が手に取るようにわかるという体験はいままでにしたことがなかった。俳句が身近に思えた瞬間。
墨汁一滴 (岩波文庫)
墨汁一滴 (岩波文庫)正岡 子規

岩波書店 1984-01
売り上げランキング : 46269

おすすめ平均 star
star正岡子規を身近に感じる
star子規随筆の真髄。死の前年に書かれたと思えぬパワーすら感じる
star病床の視点で

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ラベル:随筆
posted by てけすた at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 明治 | 更新情報をチェックする

2010年08月08日

未来への記憶(上)(下) 河合隼雄 他に星の王子さまなど

『未来への記憶』
河合先生の自伝めいた本で、上巻が幼い時代から教師時代まで、下巻が留学からユング派分析家の資格をとるまでのところまでとなっている。岩波の担当者がインタビューして得られた内容を先生がひとりで語るという形式になおして文章にしているので、かなり読みやすい。
なんといっても面白かったのはやはりユング研究所留学時代の話だろう。私はあまりユング周辺の人々を知ってるわけではないが、それでも名前を聞いたことのある人物が、ぞくぞく出てくるし、おまけにニジンスキー夫人の話まで出てくるのだからたまらない。まあ、一歩まちがえば単なる自慢話にしか見えなくなってしまう恐れもあるのだが、瀬戸内寂聴の『奇縁まんだら』みたいなもんだと思えば興味深くも読める。
それにしても、先生も学生時代は結構挫折の連続だったのだなあ。こういうのを読むと、回り道して多少卒業が遅れたとしても、本人がしっかりしていればなんとかなると随分心強くなる。最近茂木さんとか内田さんとかがネット上で日本の就職活動についてしゃべってるけど、ほんとに、日本は青田買いしすぎだわ。今や年功序列もうまく機能してないというのに、そういうところだけなかなか習慣を変えないもんだな。
未来への記憶〈上〉―自伝の試み (岩波新書)
未来への記憶〈上〉―自伝の試み (岩波新書)河合 隼雄

岩波書店 2001-01
売り上げランキング : 279894

おすすめ平均 star
star省略が多い、可能であれば全集を読むべき
star物語のような自伝です。
starニジンスキーの話

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未来への記憶〈上〉―自伝の試み (岩波新書)
未来への記憶〈上〉―自伝の試み (岩波新書)河合 隼雄

おすすめ平均
stars省略が多い、可能であれば全集を読むべき
stars物語のような自伝です。
starsニジンスキーの話
stars河合隼雄=臨床心理学の歴史

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『星の王子さま』
集英社文庫、池澤夏樹訳で読む。他の訳で読んだことがないのでいずれ読んでみたいと思うが、それにしても面白かった。
実はこの話読むの初めて。若い頃に読んでたらならば、適当に解釈して分ったような気になってたんだろうなあ、なんて思う。まあ、今でもうっかり解釈してしまいそうになるのでそれほど成長したとは思えんけど。
どうでもいいが、バオバブを生やしっぱなしの怠け者は自分だなあ、と自嘲。もう手遅れですわ…
星の王子さま (集英社文庫)
星の王子さま (集英社文庫)アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ Antoine de Saint Exup´ery 池沢 夏樹

集英社 2005-08-26
売り上げランキング : 38943

おすすめ平均 star
star小中生に勧めるにはラストが鬼門
star大人になってから読むとまた違う
starはじめて読んだ

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ラベル:読書メモ
posted by てけすた at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説以外の著書 | 更新情報をチェックする

2010年08月05日

黒い雨 井伏鱒二

毎年この時期になると追悼式の様子がテレビで放映される、ヒロシマナガサキ。
こういってはなんだが、追悼式だけではよくわからないし、かといって今知ろうとはしていない人に向かって原爆の恐ろしさを説いたところで中には押し付けがましいと反発する人だっていないことはない。
結局、どんな悲惨な出来事も時が経つにつれて生生しさは薄れ、どこか観念的になってしまうのも仕方あるまい。
と、まあ、自分自身がそんな感じだったのだが、以前武田百合子さんの富士日記を読んだときに、彼女が井伏鱒二の黒い雨を毎年夏になると読んでいることを知り、いったい何が書かれてあるんだろうと気になっていた。
で、今年も夏が近づいてきたので、読まなきゃ読まなきゃ、と思いつつ、ようやく今読み終わったのである。
小説はいきなり被爆したことは書いていなくて、むしろ原爆投下から数年後の、主人公の姪の縁談話のことから始まる。彼女が被爆についてあるデマが流されて、なかなか縁談がまとまらないので、主人公が彼女が被爆していないという証拠を今度の見合い相手に示すため、姪の日記と自分自身の被爆体験の日記を清書しはじめるのである。そして、読者はその日記によって、被爆状況のことを知るのである。
その日記は怨嗟には程遠く、被爆してからもずっと生活の状況を立て直そうと奮闘している場面と平行して、広島市内の惨状を書き進めている。
ここまでは広島だけでなく、他の空襲された地域も大同小異で戦争のむごさを教えてくれるであろう。
しかしながら、原爆の本当の恐ろしさは、その後生き残った人にまで毒牙を伸ばす、その放射能にある。そして、この小説の一番の読みどころはまさに、その原爆症に冒された人の描写にあるのである。
私は、原爆のことを知らない。しかし、この小説を読んで、今年の夏はいままでの年と違った目で8月6日を迎えるだろう。
黒い雨 (新潮文庫)
黒い雨 (新潮文庫)井伏 鱒二

新潮社 1970-06
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おすすめ平均 star
star買いです。
starなぜ、かの今村昌平が、オノレ流の「黒い雨」を中止せざるを得なかったのかがわかる
star文学の力

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ラベル:戦争
posted by てけすた at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説 | 更新情報をチェックする

2010年08月04日

現代語裏辞典 筒井康隆

『現代語裏辞典』読了。本当はちびりちびり楽しみながら読もうと思っていたのに、ついやめられなくなって他の本を読むのを中断して読んでしまった。
項目12000、あらゆる常識を吹き飛ばす云々というオビのうたい文句は伊達ではない。
もっとも好き嫌いはあるので、これがすべて面白いと思うかどうかは人によって違うだろう。筒井さんの今までの小説で出てきたシュチュエーションなどが書かれていて懐かしく思う項目もあり。
感想はとくにまとまったものもないので、twitterに投稿したコメントを転記しておく。
tekesuta / てけすた
現代語裏辞典、「こ」まで読了。ちびちび読もうと思ってたのにやめられなくなってしまった。他の本が読めないぞ。 at 08/01 13:03


tekesuta / てけすた
【強盗】のネタはちょっとヤバスな雰囲気 @現代語裏辞典 at 08/01 13:08

tekesuta / てけすた
くりからもんもんパラリンピックを想像してしまった【身体障害者】の項目@現代語裏辞典 at 08/02 12:28

tekesuta / てけすた
「へ」まで読了。ボリュームがあるのでなかなか終わらない。【鼻血】【不況】が個人的にツボw@現代語裏辞典 at 08/03 12:54


現代語裏辞典については文藝春秋がTsutsuiYasutakaというアカウントで、担当者がいくつか項目をtweetしていて、たまにご本人降臨。(期間限定)
http://twitter.com/TsutsuiYasutaka
しかし、選ぶ項目がシモネタ多いのでちょっと閉口。買う前はどんだけシモネタなのかと危惧したほどだ。実際は思ったほどではなかったけど、この宣伝はPTAお断りフラグなんでしょうか。
現代語裏辞典
現代語裏辞典筒井 康隆

文藝春秋 2010-07-29
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ラベル:言葉
posted by てけすた at 12:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説以外の著書 | 更新情報をチェックする