TOP > 2010年03月
2010年03月30日

荒涼館(全4冊) チャールズ・ディケンズ

ディケンズは本質的にミステリー向けの資質があるのだろう。この『荒涼館』を読むとそう思えて仕方がない。
まるでステロタイプの人物造形、細部までの伏線、意外な展開など、ミステリーでなくてなんであろう。
ということで、筒井康隆さんがミステリーは謎の提示とその解決という最低限の面白さは保証されてるとどこかでいってるように、この作品もまず最低限の面白さは保証されてるといってよい。
さらに、著者の得意とするユーモアや皮肉とヒューマニティあふれる文章、及び人間ドラマが展開するので、一粒で2度美味しいということになろうかと思う。
もちろん、その人間ドラマを冗長だと感じる向きもあるかもしれない。ただ、例えばこの作品でいえば、イギリスの当時の司法の諷刺ぶりはかなり読み応えがある。結末で私は、「なんちゅう皮肉な終わり方させるんだ」と心の中で叫んでしまったもの。
ということで、基本的にミステリーであるからくわしくは書かないけれども、「オリバー・ツイスト」よりは格段に面白いし、「大いなる遺産」よりも人間ドラマのスケールも大きくて読み応えあり。
残念なことに今は古書でしか買えない。売れなかったのかなあ。
荒涼館 全4巻セット
荒涼館 全4巻セット
筑摩書房
売り上げランキング : 613081

おすすめ平均 star
starディケンズの最高傑作
starディケンズ作品の中では一番

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by てけすた at 20:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月25日

忍法聖千姫 山田風太郎

ちくま文庫山田風太郎忍法帖短篇全集9『忍法聖千姫』の覚書。
「忍法聖千姫」…坂崎出羽守の家来だという3人が千姫に目どおりを願って押しかける。彼らは主人の望みを彼女に伝えにきたのだが、そこで彼らは千姫の爪を食して大変なパワーを授かる。そして彼らは千姫の護衛になるのだが。
「忍法ガラシヤの棺」…ヴィンセンシオ神父がガラシヤに呼ばれる。彼女は神父に自分の心の内を打ち明けるが、それは2つに引き裂かれた思いであった。思案する神父とガラシヤの前に何者かが。
「忍法とりかえばや」伊賀の頭領の婿候補になった四人の男。だがそのうちの一人茨木丈馬はなぜか朝国甲太夫の跡継ぎに任命される。頭領の娘に懸想してた丈馬は不服であったが、甲太夫が死にその妻と結婚したあと忍法とりかえばやを授けられた。そして。
「忍法幻羅吊り」…客をとらない遊女小式部はその客あしらいの才と遊女たちに施す術でそのことを許されていた。彼女はある日、一人の遊女に恋しい男を来させる方法を試してみないかと持ちかけるのだが。
「忍法穴ひとつ」…柳生に宮本武蔵の末孫が婿の候補に上がってるいう。伊賀の江袋平九郎はその阻止を命ぜられた。それが首尾よく運んだのちは頭領の孫娘をくれるというのであるが。
「忍法瞳録」…服部半蔵報告書によれば、志摩藩に忍びがいて、瞳録の術を使うという。その術を巡る伊賀と志摩藩忍び十鬼一族の攻防。
「忍法阿呆宮」…扇谷源三郎はその職務のために仕事のあとは女性たちと過ごさなければならなくらいだった。伽羅はそのことについて強烈な皮肉を述べる。その一言が彼にあることを発案させるのだった。

巻末エッセイに「首斬り浅右衛門」を収録。これは自身が山田浅右衛門の子孫だという文章だが、もちろん冗談。しかし、この文章を読んで本当の子孫が問い合わせてきたらしくて、困惑したそうだ。
9巻 忍法聖千姫 山田風太郎忍法帖短編全集 (全12巻) (ちくま文庫)
9巻 忍法聖千姫 山田風太郎忍法帖短編全集 (全12巻) (ちくま文庫)日下 三蔵

筑摩書房 2004-12-09
売り上げランキング : 466517

おすすめ平均 star
star倒錯と妖美の世界

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:忍法帖
posted by てけすた at 13:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月24日

カンディード ヴォルテール

モリエールに続きまたしてもにやりにやりしながら読んでしまった。
表題を含めて全部で6篇の短篇が収められている。

「ミクロメガス」シリウス星人であるミクロメガスが故郷で追放にあい、長旅をして太陽系へやってくる。そこで土星人と出会い、一緒に地球へやってくるのだが。このシリウス星人がとてつもない大きさで背の高さ300kmあるというのだから恐れ入る。土星人も彼に比べると一寸法師だが、それでも1kmあるから地球の生物がいかに小さいかということが示されている。彼らは地球人と哲学的会話(物質とは魂とは)を始めるが、地球人たちの分裂しかつ不完全な論理に憐れみとおかしさを感じるところにヴォルテールの言論人に対する諷刺が見て取れる。

他の5編はモチーフが似ている。各短篇の概要を述べると、
「この世は成り行きまかせ(バブーク)」は天使にペルセポリスを罰するかどうか決めるためにかの都市を見てこいといわれたバブークの話。
「ザディークまたは運命」は高潔な青年の翻弄される人生。
「メムノン」は賢者になろうと決意した青年がであった不幸の話。
「スカルマンタドの旅物語」は各地で不幸な目にあった男の手記。
「カンディード」は無垢な青年カンディードの艱難辛苦の話。
なのであるが、どれも高潔だったり素直だったり、要するに悪の概念に染まってない青年が、世の中の悪に散々苦しめられていくというモチーフなのである。そしてその文章は実在する人物への当てこすりだったり、社会への諷刺だったり、寓意が込められていたりするのだが、イギリス風の皮肉さで語られてるところがあるので、結構笑えてしまうのである。
訳注や解説によれば、ヴォルテールはずいぶんと激情家であり、論敵もたくさんあったらしいし、彼自身も追放の目にあうなど、随分と遍歴している。これらの体験をもとに、書き進められていったようだ。また、彼はライプニツの最善説を信奉していたが、以上の人生の結果、そのことに疑問を持つようになり、その異議申し立てがこれらの短篇にも現れてきているのだろうと思う。
確かにあまりにも酷い現実を目の当たりにして「カンディード」のパングロス先生のように全てが一つの目的のために作られている以上、必然的に最善の目的のためにある、なんていわれても腹立たしいだけだったりするからな。
で、「カンディード」でヴォルテールは最善説に対して、一つの結論で〆ているが、これは誰しも肯うところだろうと思う。
そんなわけで、小説内の出来事はかなり悲劇的なんだが、感傷を嫌うヴォルテールがこれをかなりドライで滑稽に書き上げたという点で名作だと思う。
してみると、私は結構フランスのこういう読み物がすきなのかもしれんな。
カンディード 他五篇 (岩波文庫)
カンディード 他五篇 (岩波文庫)植田 祐次

岩波書店 2005-02
売り上げランキング : 29204

おすすめ平均 star
star農耕の精神の大切さを教えてくれる小説
star黄金郷
star「こ、これが、た、戦い…。」

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:諷刺
posted by てけすた at 12:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月22日

横しぐれ 丸谷才一 ほかに『乙女の日本史』

『横しぐれ』丸谷才一
父親が昔黒川先生と四国へ出かけたとき、道後で一人の乞食坊主と出会う。その話のときに聞いた「横しぐれ」という言葉に感嘆した主人公だが、ふとその言葉の縁からその坊主が種田山頭火ではないか思い始め、当時のことを調べ始めた。
この山頭火を巡っての文学的推理の過程がすこぶる面白い。手に入れることのできる資料から山頭火の行動や心理を推測してるのであるが、門外漢の私でも興味が出てくるくらい面白かった。
『輝く日の宮』でもそうだが、素人でも面白く文学史的な話を読ませる手腕はさすがだなと思う。
ただ、この小説では山頭火のことは主人公の意識的無意識に関わらず隠れ蓑であって、主人公自身が直接向き合うことがためらわれる真実を本当は知りたかったのだ、ということが最後まで読むと見えてくる。
他に短篇「だらだら坂」「中年」「初旅」を収録。「だらだら坂」は語り手の若い頃の武勇伝について、「中年」は四十男の心理をまわりの人間関係から描いたもの。「初旅」は自分のいるところがわからない少年の話と、従兄弟を探しにいく高校生の初めての一人旅の話が交錯する。
横しぐれ (講談社文芸文庫)
横しぐれ (講談社文芸文庫)
講談社 1989-12-26
売り上げランキング : 50860

おすすめ平均 star
star丸谷才一の最高傑作かも 
star「横しぐれ」という言葉が浮かび上がらせる、忘れられていた情景
star丹念に仕掛けの施された文学的たくらみ

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


他にこんな本も読んだ。
『乙女の日本史』
本書でいう「おじさん史観」が権力とカネと女の奪い合いだとするならば乙女目線は人間関係の妙から歴史を見てるといってもいいかもしれない。今の風俗に喩えた見方が多いのだけど、これがまた結構面白いのである。ヤンキーに喩えられた平安時代の上流階級や、明治前までは意外に女性の地位が高かった(女性の意思が結構通ってるという意味で)こととか、へえ、とおもうエピソードなども盛り込まれている。
孝謙天皇と道鏡は男女関係にあったのか、という疑問が書かれているのだが、坂口安吾も彼らについてはそんな関係になるような性格ではないだろう、と書いているのを読んだことがあったので、ほう、と思った。
乙女の日本史
乙女の日本史滝乃 みわこ

東京書籍 2009-07-25
売り上げランキング : 16255

おすすめ平均 star
star歴史はひとつでも、絶対でもない
starまじめにふざけた歴史雑学書
star遊び心にあふれた逆説本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:文学 歴史
posted by てけすた at 13:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月21日

いやいやながら医者にされ モリエール

いやあ、笑ってしまった。
6年ほど医者の家で働いていた木こりが奥さんの策略で医者にされてしまい患者の家に出かけるはめになるのだが、その木こりのいんちきさ加減がなんとも可笑しい。
医者に関する不満というのは古今東西あまり変わらないみたいで、医者に関しては失敗しても報酬がもらえるとか、理論ばかりもてあそんでるとか、なんだか今でも通用してしまうような諷刺ぶりである。
ページ数にして80ほど、上演時間にすると1時間ちょっとという短い戯曲なので、手ごろに楽しめる。
モリエール、面白いな。
いやいやながら医者にされ (岩波文庫 赤 512-5)
いやいやながら医者にされ (岩波文庫 赤 512-5)鈴木 力衛

岩波書店 1962-01
売り上げランキング : 238157

おすすめ平均 star
starモリエール時代の医者について

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:戯曲 喜劇
posted by てけすた at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月20日

賢者の石 コリン・ウィルソン

主人公が不老長寿のことを研究していくうちに、意識を拡大することによる超人への道を発見した。そのなかの一つに物質から過去を透視できる能力がある。彼はその能力ではるか彼方の過去を読み取ろうとするのだが、ここに恐るべき障害が出てきて、彼の命は危険にさらされる。
本のあらすじで興味を惹かれたとして必ずしも自分にとって興味があるかとなるとこれは難しい問題だ。
最初のページに書いてあるあらすじを読んで、これは絶対読まなくちゃと意気込んでたのだが、終わってみれば、自分がイメージしていたのとちょっと違った。前半の、価値体験による人間の生命力の増大、というあたりまではなかなか面白かったのだけど、後半の謎の障害との闘いがあまり興味が湧かなかったのだ。もちろん小説は自分の考え付かないような発想のものを読む喜びはあるのだけど、自分のあまり興味のない方向だとこれはちょっと違ったな、となるのも仕方ない。
本書はラブクラフトの書く小説からそのアイデアは生み出されたものであるが、ラブクラフトの小説というのは怪奇小説なのだね。自然、本書もホラーチックになってしまう。
私はホラー小説にあまり興味が持てないのでどうにも困ってしまったのだった。
そのラブクラフトの本も読んでないので、ク・リトル・リトル神話のこともよくわからんし。
感想になってませんね。申し訳ない。ホラー好きならきっと面白いのではないかと思う。
賢者の石 (創元推理文庫 641-1)
賢者の石 (創元推理文庫 641-1)中村 保男

東京創元社 1971-06
売り上げランキング : 208020

おすすめ平均 star
star肉体と意志の関わりについての考察
star期待はずれ
starSF作

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:SF
posted by てけすた at 13:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月19日

泣き虫ハァちゃん 河合隼雄

著者の子ども時代をモチーフに描かれた物語。
6人兄弟の5番目のハァちゃんと家族の交流、学校生活、などのことが連作短篇の形で進行する。
読んでいて、河合先生のカウンセリングを見るような(といっても実際のカウンセリングのことなど知らないくせに)思いだった。
それはハァちゃんが思い込んでいる信念でハァちゃん自身が苦しくなったときに、両親や家族がそれを打ち砕いて楽になるような言葉を掛けてあげてることだ。
実際のカウンセリングがこのようになるのかはわからないけれども、どんぐりころころを歌っていたハァちゃんが、歌詞の意味を考えてどんぐりが家に帰ることができなかったのではないかと胸がつぶれる思いになったとき、お兄ちゃんが「どんぐりさんはおうちへ帰らんでもええんやで」「どんぐりさんは、そこで芽を出してどんぐりの木になるんや」といったときのハァちゃんの驚き。ここに発想の転換を促すカウンセリングの極意を見るような気がするのだ。もちろん何度もいうようだが、これは私の勝手なイメージで実際のカウンセリングは違うかもしれない。
だが、私が河合先生の著作を好んで読む背景にはこの発想の転換を促すような文章を求める気持ちがあるのだった。
泣き虫ハァちゃん
泣き虫ハァちゃん岡田 知子

新潮社 2007-11
売り上げランキング : 72682

おすすめ平均 star
starきっと春が来ますよね、河合先生…
star子供に帰る、そして繋ぐ
star真実の河合隼雄

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:物語
posted by てけすた at 12:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月18日

池波正太郎、山田風太郎

『剣法一羽流』池波正太郎
時代物4篇現代物3篇で構成された初期短篇集。
「そろばん虎之助」そろばんの得意な虎之助の勤める藩に起こった事件とは
「闇討ち十五郎」刺客の十五郎が頼まれた殺しとその顛末
「冬の青空」現代物。喧嘩っ早い圭吉が出会った人物
「小泉忠男の手」現代物。歯科医忠男の苦悩と秘密
「土俵の人」ベテラン力士の土俵にかける意気込みと許婚である旅館の女将のこと
「仇討ち街道」侠客、牢人、仇討ちのために旅をしているものそれぞれ因縁
「剣法一羽流」諸岡一羽斎とその弟子たちの秘伝書をめぐる顛末
悲しい結末のものもあるが、概ね人情味にあふれた短篇が続いてストレスなく読むことができた。この感じが娯楽小説としてはいいんだよなあ。
藤枝梅安ものを読んでからこの人の作品は老後の楽しみとしてとってあるが、またまたその老後が楽しみになってきた。
新装版 剣法一羽流 (講談社文庫)
新装版 剣法一羽流 (講談社文庫)
講談社 2007-09-14
売り上げランキング : 395055

おすすめ平均 star
star何ともつまらない

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


『御用侠』山田風太郎
著者のランクづけでは非常に低い「E」ランクで、確かに忍法帖のような荒唐無稽さもないし、キャラクターがとても魅力的とか、際立った特質はないのだが、善悪の相対性と権力の腐敗について描かれておりなかなか興味深い。
たとえ正義を貫こうとしても、あまりにも酷いと恥ずかし瓢兵衛のような気持ちになってくる人が多くなるのではあるまいか、と思うんだが、どうだろう?彼の気持ちがわからない人ばかりだと絶望的だが。まあ、屁のカッパこと勝太のように白黒はっきりさせることができれば瓢平衛もなんぼか恥ずかしくなくなるんだろうが、そうはいかないのが世の中でございます。
御用侠 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)
御用侠 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)
小学館 2000-10
売り上げランキング : 439587

おすすめ平均 star
starコアなファン向け

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:時代物
posted by てけすた at 13:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月16日

読書術 エミール・ファゲ

読むのにえらく骨が折れた。なんというかひどく訳がこなれてないのだが、もしかすると原文そのものもこんな風に読みにくいのか、とも思ったりする。
そんなわけで非常にゆっくりとしか読み進むことができなかったのであるが、このゆっくり読む、というのはこの本の最初に言われてたことだったりする。そしてそれ以外にただ一つの読書術はないと言い切るのである。
ファゲはゆっくりした読書に耐えられぬ書物は読んではならぬ書物だという。
なるほど、ゆっくり読んでも読み応えがある本こそ密度の高い本であり、スカスカな中身の本などとうていゆっくり読むことなどに耐えられないよね。
まあ、これは個人的感想。
本文は前半に書物の種類別の読み方、後半に読書そのものの事柄を論じている。
読むという行為は思想か小説かによって違ってくる。思想は著者との格闘であり、小説は著者の作る世界へと身をゆだねることなのだ。
しかしどちらにしても著者の考えを注意深く探し出してゆくことには変わりない。
興味深いのは後半にある「読書の敵」とか「批評の読書」などの章である。ここで展開されてるのは正常な読書を妨げる自分自身の心の弱さについてや、新鮮な読書を行なうために批評の効用などが上げられていて、特に自分が本を読み終わるまで批評は読まない、読み返すときは視点を新鮮にするために、なんらかの批評を読んだあとにしたほうがよい、というくだりは、なるほど、と共感を覚える。
とにかくこの本で論じられてるのはあくまでも快楽としての読書技術についてである。自己向上やビジネスのための読書術であれば他の指南書を読んだほうがよろしい。
なにしろ、私がバカなんだろうが、読むのに時間がかかりますからね。
読書術 (中公文庫)
読書術 (中公文庫)´Emile Faguet

中央公論新社 2004-05
売り上げランキング : 238256

おすすめ平均 star
star読書の敵は読書論

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:読書
posted by てけすた at 13:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月15日

魔天忍法帖 山田風太郎

一応忍法帖という名前がついていて、忍者も出てくるのだけど、これは忍法帖というよりはナンセンスなパラレルワールドものといったほうがよさそうだ。
文政の時代に生きている公儀隠密鶉平太郎が任地から戻ってみると恋人が他の男へ嫁いで行くところだった。かっとなった平太郎はその行列に切りかかりそのまま大丸屋の衣装蔵へ逃げ込む。そこで今の時代に生きている忍者としての自分に絶望し、服部半蔵の生きてた時代をうらやみながら印字を組んでいると、なんとその半蔵が現れて、平太郎を半蔵の時代へつれてってやろうという。平太郎は彼のあとについていつの間にかできていた階段を降り始めるが、途中脚を滑らせて2人とも転落。そしてついた先に炎上する江戸城が見えてきた…
ということで、平太郎は自分の覚えてる歴史とどこか違う歴史の中へきてしまうのである。この歴史たるや三成が秀吉に叛旗を翻したり、信長が草履とりとして登場したりと一見めちゃくちゃなパロディに見えるのだが、ずっと読んでいくとある規則によって、物語が進んでいくことがわかる。このあたりナンセンスに見えてもちゃんとなんらかの秩序が存在してたことに読み終わって驚嘆を覚えた。
とはいえ、忍者たちも徹底的にコケにされてるし、平太郎は凡庸だし、山風の忍法帖忍者のパロディっぽくてばかばかしい。
このばかばかしさを面白いと思うかつまらんと思うかは人それぞれだろう。私は結構楽しんだけど。
本には1965年に出版とかかれてたから、忍法帖シリーズとしては終りに近い頃にあたるのかな。忍法のネタ切れ気味だったのかしら?
魔天忍法帖 新版 (徳間文庫)
魔天忍法帖 新版 (徳間文庫)
徳間書店 2002-11
売り上げランキング : 346548

おすすめ平均 star
starナンセンス小説の傑作として評価したい作品
star以外に面白い
star著者自身も認める大駄作だが

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:忍法帖
posted by てけすた at 13:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月14日

トロイア戦記 クイントゥス

クイントゥスは3世紀ころのギリシャの詩人。この叙事詩は『イーリアス』と『オデュッセイア』の間を補完していて、アマゾンの女王がやってくるところからトロイア戦争終結しアカイア軍が帰るところまでが描かれている。この詩はあちらこちらの断片から作り上げたということもあって、イーリアスのような冗長さがなくて、要点がすっきりとしていて物語として楽しめる。
が、どういうわけかこの本読むのに時間がかかった。なんでなんだろうなあ、と思いながら他の方が、「訳がダメ」という感想をふとある場所で目にして、ああ、そのせいかな、と思った。
原文の流れを生かそうとしているのだろうが、文章を倒置されてるところが随所に見られて読みにくいし、戦士たちの言葉づかいが日本の武士のように書かれていて、こんな言葉を目にした日にはギリシャ神話の雰囲気は消えて、戦国時代の甲冑を着た侍たちがちらついてどうしようもない。
この武士言葉に訳するというのはこの本の訳者ばかりではなくて他にもみかけたことがあり、そのたびに雰囲気がそがれて興ざめしたものだ。
武士もそりゃ一応戦士だけどさ、やっぱ雰囲気は大切よ。
トロイア戦記 (講談社学術文庫)
トロイア戦記 (講談社学術文庫)松田 治

講談社 2000-09-08
売り上げランキング : 204392

おすすめ平均 star
starイリアス以後の物語が克明に
starトロイア!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by てけすた at 12:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月11日

トマシーナ ポール・ギャリコ

自分は自分の思うとおりに物事が進めばそれでよいと思ってる獣医。彼は家畜は人の生活の糧となってるからこれを認めるが、ペットなどなんの役にも立たないと思ってるので、ペットの治療に関しては極めて非情ですぐ安楽死させようとする。
そんな彼には一人娘がいて彼はその子が可愛くてしょうがない。娘にはお気に入りの猫がいて、それが本タイトルになってるトマシーナである。
話は獣医であるマクデューイが歩けなくなったトマシーナを安楽死させてしまうところから悲劇的な展開になる。娘メアリ・ルーが口をきかなくなり、さらに病になって床に伏してしまうのである。
人間の生活にはちょっと見たところ、これがなんの役に立ってるんだろう、と思うようなものやことが多い。マクデューイにとってはペットもそうだし神もそう。合理主義者と称しているが非常に自己中心的である。ところが彼はそのことにまるっきり自覚がないので、彼の仕打ちに悲しむペットの飼い主が後を絶たないのである。
この物語はそんな彼がうけた苦しみとそこからの癒しに焦点が当てられてる。どんなに無駄だと思うものを否定したとしても、それはまぎれもなく存在し、それに影響されるのは他の人と変わらない。彼もまた人間なのだから。
トマシーナ (創元推理文庫)
トマシーナ (創元推理文庫)山田 蘭

東京創元社 2004-05-25
売り上げランキング : 28499

おすすめ平均 star
star猫をめぐる人々の再生
star猫を巡る人々の心温まる物語です
star死に至る病からの帰還

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


posted by てけすた at 12:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月10日

妖の忍法帖(忍法双頭の鷲) 山田風太郎

世継ぎ争いに勝った綱吉の時代。根来衆は公儀隠密の座を得んと苦心して2人の若者を優秀な忍者に育て上げた。大老堀田筑前守にお目見えした彼らは政敵酒井雅楽頭の使っていた伊賀者が粛清されるのを見る。しかし伊賀の何人かは逃げ落ちて根来にあだをなすと言い残していったのだった。
さて、筑前守の手のものとして2人は指定された藩の事情を探ることになるのだが。
忍者として仕事を始めたばかりの2人の初々しいまでの忠誠心が好ましい。忍法帖といえば己の技を誇らしげにする非人間的な人物がおもだったりするのだけど、この2人はまるで新入社員のように意気込みに燃えている。そんな2人を打ちのめすのは敵に回って仕事を邪魔する伊賀者ばかりではなかったのだった。
どうも現代社会の会社組織に引き寄せて読んでしまうな。忍法帖そのものが会社人間の戯画という指摘も聞くので、それに引きずられてしまうせいもあるかもしれんが、それ以上に秦漣四郎と吹矢城助がどうもまだ人間らしい感情を残しているせいもあるかもしれない。
他の忍法帖に比べれば奇想性が低く、荒唐無稽さでは劣るのだけど、安心できる忍法帖というか、普通の時代小説に近い部分も残してるので、山風にとっては凡作かもしれないが、私はわりと好きである。
ところで、私の読んだのはカッパノベルス版の「妖の忍法帖」というタイトルのほうだが、角川文庫で出してたのは「忍法双頭の鷲」と改題されている。
Amazonリンクは角川文庫しかないのでそちらを紹介しておく。
忍法双頭の鷲 (1980年) (角川文庫)
忍法双頭の鷲 (1980年) (角川文庫)
角川書店 1980-12
売り上げランキング : 540919


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:忍法帖
posted by てけすた at 12:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月08日

勝海舟語録 氷川清話(付勝海舟伝)

勝海舟を慕う人々が、晩年の彼にいろいろ話を聞いたときのまとめ書きであるが、いやいやこんなに面白い人だったとは知らなかったよ。
話の内容は維新の時の話、関係した人物の話から歴史上の人物の話、さらに人生訓にまでいたる。
この語録を読むと、彼は経験を重んじ、理論や学問は二の次に評価していたようだ。なにしろ「世間は生きてる、理屈は死んでる」という人だから。才気ばかりあって実行が伴わない人々を散々見てきたのだろうなあ、と思う。
さらに、勉強になった箇所といえば物事の大事な部分というのは往々にして見えないということ。人はすぐに見える(結果が出る)ことを求めて大局を理解しようとしないというような内容を彼はしきりに話す。たとえまわりに理解されなくても、自分の信念を貫き通す人物を彼は買うし、とにかく小手先で動くようなことを戒める話が随所に出てきて、根気のある人物を評価する。
とにかく無血開城を成功させ、外交にも手腕を発揮した人物がいうのだから、自分も大人物なるべく根気を養おう、なんていう気になったのだった。
氷川清話 (角川文庫ソフィア)
氷川清話 (角川文庫ソフィア)
角川書店 1972-04
売り上げランキング : 9045

おすすめ平均 star
star激動の時代を生き抜く智恵
star勝の孤独を思う
starスケールの大きさ

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
タグ:伝記
posted by てけすた at 20:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | 本 (国内) 明治| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月07日

柴田錬三郎、フレドリック・ブラウン

2冊簡単な感想

『南国群狼伝』柴田錬三郎
大阪の役後、夜な夜な大名などの婦女が襲われるという事件が起こった。狙われるのは豊臣から寝返った大名たちの身内である。その襲った人物は「影」となのる忍者だった。
「影」というだけあって、この人物は裏で活動するようになってる。表向きは切支丹弾圧に絡む商人の野望と、天草四郎の姿に惚れた宮をめぐる話で面白い。ただ、なんというか伏線かな?とおもって読んでいたものがそれきり最後まででてこなかった、というところがあって気になった。山田風太郎ではそんなことが皆無なので、よけい気になったのかもしれないが。
ところで今アマゾンリンクを貼ろうと検索したら、この話「赤い影法師」という話の続篇だったのね。なるほど、いくつかわからない点があったのだが、それは前の話読まなくちゃわからないよなあ。間抜けだわ。
私が読んだのは春陽文庫で、こちらには「私説大岡政談」も併録。春陽文庫、続とか教えてくれればいいのにw
現在購入できるのを貼っておきます。
南国群狼伝 (ランダムハウス講談社時代小説文庫)
南国群狼伝 (ランダムハウス講談社時代小説文庫)
ランダムハウス講談社 2009-01-09
売り上げランキング : 383446


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


『火星人ゴーホーム』フレドリック・ブラウン
設定とあらすじはネタバレになると思うので割愛するが、この火星人はほんとに嫌な奴らだな。
しかし、ブラウンの秀逸なところ、これは傷つけられるのが必ずしも身体ではないということだ。もっとも、これは異星人ということではなくて、もっと別な比喩に置き換えても面白い。解説ではブラウンの小説を「哲学小説」と呼んだが要は存在とはなんだろうか、ということを小説にしてみたということなんだろう。それは『発狂した宇宙』にも同じことがいえる。
火星人ゴーホーム (ハヤカワ文庫 SF 213)
火星人ゴーホーム (ハヤカワ文庫 SF 213)稲葉 明雄

早川書房 1976-11
売り上げランキング : 200292

おすすめ平均 star
star迷惑な「火星人」がうじゃうじゃ登場。でもテーマは内的宇宙なのか。
star「マック、一番人気の室内ゲームで楽しむかい」
star小憎らしい火星人の悪態を楽しもう

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:SF 伝奇
posted by てけすた at 12:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月05日

武蔵忍法旅 山田風太郎

ちくま文庫山田風太郎忍法帖短篇全集8『武蔵忍法旅』の覚書
「武蔵忍法旅」…傾城屋に通い、自作絵を売りまくる剣客がいた。彼は精を漏らさぬことを戒律としていたらしいが。
「おちゃちゃ忍法腹」…朝鮮出兵の時、遭難して海岸に打ち上げられたおびただしい日本兵の死体の中に朝鮮人がいた。彼の特異な才能をみて石田三成は彼を連れてゆくことにしたが。
「刑部忍法陣」…真田の使い猿飛佐助が大谷刑部の娘を連れてやってきた。大谷刑部と佐助は豊臣の主要人物たちの動向を探るべく出かける。
「近衛忍法暦」…近衛文麿昭和16年にぬらりひょんのことを思い出す。天正13年近衛前久は秀吉の野望に懊悩してどうするべきか悩んでいた。
「彦左衛門忍法盥」…大阪の役から20年以上がすぎた。世は旗本奴の元祖というべき集団が現れていた。彼らは八つ当たりに暴れたり奇行をしたりで、大久保彦左衛門は苦々しく思っていた。
「ガリヴァー忍法島」赤穂藩の参勤中、出島からの行列と一緒になる。堀部安兵衛はそこに一種異様な5人の南蛮人を見たが、その中の一人はまたさらにその中でも異色に見えた。

実在の人名+忍法+漢字という組み合わせのタイトルで統一した第8集は巻末のボーナスとして「忍法小説はなぜ受けるか」というタイトルで著者自身が忍法帖ブームを分析した文章が載せられている。
この文の最後に山風は
“要するに殺人を主題とする推理小説や、荒唐無稽な忍術小説がはやるのは、天下泰平のしるしである。ホノボノとした家庭小説や忠君愛国小説が充満しているような時代は経験からいうとロクな時代ではない”と書いていて、ほんとにそうかもしれない、と思った。
短篇は相変わらずの奇想でどれも面白いが、「近衛忍法暦」は戦中の日本と秀吉が台頭してきた時代を特定の言葉で結びつけたり、「彦左衛門忍法盥」は昭和の世相とリンクさせて戯画化したりと社会諷刺もばっちり。
武蔵忍法旅 山田風太郎忍法帖短編全集 (全12巻) (ちくま文庫)
武蔵忍法旅 山田風太郎忍法帖短編全集 (全12巻) (ちくま文庫)日下 三蔵

筑摩書房 2004-11-11
売り上げランキング : 535577


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:忍法帖
posted by てけすた at 12:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月04日

硝子戸の中 夏目漱石

それほど分量は多くないのだが、飛ばし読みを許さない重みがある。内容は漱石の身辺で見聞きしたことなどについての随想なのだが、この頃、彼は丁度病み上がりということもあり、人生の回想や、死についての随想が多い。漱石の前に現れて語っていったさまざまな人々の話もあり、結局生きるというのはどういうことであるのだろうという想いを深くさせられる。
漱石は書く。
「死は生よりも尊い」
にも関わらず、悩みで傷ついた女性の話を聞きながら、彼女には死を勧めることはできない。なぜなら彼を含め、一般的には生に執着しているから。
“私の父母、私の祖父母、私の曽祖父母、それから準じに遡って…(中略)千年万年の間に馴致された習慣を、私一代で解脱することが出来ないので、私は依然としてこの生に執着しているのである”
と彼はいう。
こうは思っていながらも、この随想の中に出てくる漱石の人への助言は、率直で誠実さにあふれ、その中に死の影などは見出せない。
表に向かっては良識ある人物、だが、自らのうちにはそのことに対し冷ややかに見つめる自分。その相克が人間関係の地獄を抉り出したような小説へと昇華されていったのだろうなと感じる。
実のところ、その小説が私にはなかなかきつくて何度も読んでみようという気にならないのだが、この短い随想集は同じようなことでも、噛み締めて、また読んでみようという気になるのだから不思議だ。
漱石は自分にとっては小説よりもこういった随想の方が合ってるのかもしれない。
硝子戸の中 (新潮文庫)
硝子戸の中 (新潮文庫)
新潮社 1952-07
売り上げランキング : 215059

おすすめ平均 star
star「死は生よりも尊い」
star晩年の漱石の随筆
star仕事も恋愛もひとまず忘れて、ゆったりとした時間の中で読みたい本。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:随想
posted by てけすた at 09:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 明治| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月03日

風来忍法帖 山田風太郎

秀吉が小田原攻めをしている最中のお話。7人の足軽が香具師を相手に博打をしてすってんてんに負けているところから始まる。この話で活躍するのはこの香具師たち7人。
この香具師たちが自分たちが略奪してものにした女たちをすぐどこぞで売ったりするような奴らで、どうしようもない。そんな彼らが麻也姫と出会ってから運命が始まる。
忍法帖は今まで何冊か読んできたが、大抵は忍者同士の非情な戦いがメインであり、またそれがドライな感じで読んでてなぜか爽快さを感じたりするのだが、この忍法帖はちょっと風変わりである。
なんといっても主人公格の香具師たちがマシーンのような忍者の非人間的さからは程遠いのに彼らが行きがかり上忍者修行をしてしまうその可笑しさ、まあ、はっきりいうと前半はなんかラブコメみたいで、後半から忍法帖になるといった感じ。そんなわけで、ドライな忍法帖の爽快さは薄まるが、その代わり人間味溢れるようなバトルに我知らず感動を覚えたりするのであった。
7人の香具師たちは確かに非道い人物ではあるんだけど、読んでるうちに憎めなくなって、格好良くすら思えてくる。
風来忍法帖 (Kodansha novels special―山田風太郎傑作忍法帖)
風来忍法帖 (Kodansha novels special―山田風太郎傑作忍法帖)
講談社 1996-01
売り上げランキング : 775121

おすすめ平均 star
star嵌りました

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


現在は文庫で買うことができる。
風来忍法帖 山田風太郎忍法帖(11) (講談社文庫)
風来忍法帖 山田風太郎忍法帖(11) (講談社文庫)
講談社 1999-07-15
売り上げランキング : 286472

おすすめ平均 star
star何故か心に残る本
starろくでなし達の夢の後……
star虚実の見事な融合

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:忍法帖
posted by てけすた at 12:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月01日

ユング自伝―思い出・夢・思想―(全2巻) アニエラ・ヤッフェ編

この自伝はユングが最後の最後まで書くことに対して肯定と否定の狭間で揺れ動いたという。
というのも、これが彼が対外的になした仕事に関することより、彼の心の中で起こっていた出来事を中心に書かれているからである。このような言い方をするのは失礼なのかもしれないが、その内容は実にオカルト的で神秘的なのでよくも悪くも誤解を招くのではないかと思われるほどだ。
とはいえ、ユングの思想を知ろうとするならば自伝ははずせない。彼の体験がいかに思想に結びついていったのか、ということがわかるからだ。
自伝を読んでいると、そのうちに私自分の生まれた家、先祖、国の歴史、そして人類の歴史へと想いは飛ぶ。自分は歴史の積み重なったその結果なのだろうかと。
もし、それがそうだとしたならば、他人もやはり歴史の積み重なりであり、人間関係とは実に歴史と歴史の出会いなのであるかもしれない。そうなってくると、のんべんだらりと過ごしている一人の人間(まあ自分だけど)がとてつもない重みをもってくるではないか。
こういうところがユングを読むときの面白さなんだよな。
ユング自伝―思い出・夢・思想 (1)
ユング自伝―思い出・夢・思想 (1)河合 隼雄

みすず書房 1972-06
売り上げランキング : 90576

おすすめ平均 star
starユングの心がダイレクトに伝わってくる
star久しぶりに出会えた良書
star値打のある本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ユング自伝―思い出・夢・思想 (2)
ユング自伝―思い出・夢・思想 (2)河合 隼雄

みすず書房 1973-05
売り上げランキング : 117534

おすすめ平均 star
starユングの内的世界
star「体験者」としてのユング
starユングの秘められたる内的世界

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



タグ:心理
posted by てけすた at 12:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの)| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
【PR】【Bizoux(ビズー)】公式通販サイト