2009年10月31日

山田風太郎賞が創設されるようだ

角川書店が山田風太郎賞を創設するみたい。
毎日のサイトに記事が出ている。
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20091030mog00m200059000c.html
角川書店は30日、新人から中堅までの作家を対象にした文学賞「山田風太郎賞」を創設すると発表した。ジャンルを問わず「その年に発表されたもっとも面白いと思われる作品を選出する」とし、第1回は10年11月に授賞式を開く予定。

「山田風太郎賞」は、山田さんの独創的な作品群、大衆性、ノンジャンル性、反骨精神などの姿勢への敬意をもとに、新人から中堅までの作家が対象で、ミステリー、時代、SFなどジャンルは不問。赤川次郎さんや京極夏彦さん、桐野夏生さん、重松清さん、筒井康隆さんらが選考委員を務める。筒井さんは「山田風太郎。なんと刺激的な名前だろう。その名を冠した文学賞の選考委員たちにとっても、その候補となる人たちにとっても、この名は大いなる刺激となるであろう」とコメントしている。


これはめでたいことだ。
角川書店は昔大量に山田風太郎の本を出していたけれども、今は文庫本もすぐ手にいれられるものはほんのわずかだ。
どうだ、角川さん、これを機会に、山風の本をまた出してみないかね?
だいぶ復刊してるとはいえ、まだまだ手に入れられないものがあるし。
posted by てけすた at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (その他雑談) | 更新情報をチェックする

2009年10月29日

twitterはじめました

すごくいまさらだが、twitterはじめました。
でも、孤独にやっていこうと思います。
なにがやりたいかというと、twitterで、独り言をばかみたくつぶやこうと思ってるのです。
ブログパーツもつけました。
ということで、ほとんど邪道な使い方で始動します。
posted by てけすた at 13:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ネット 雑談 | 更新情報をチェックする

2009年10月28日

銀河忍法帖 山田風太郎

大久保長安の考案した戦車を家康が謁見している、その席上には伊賀者も一緒にいたのだが、何者か見知らぬものが紛れ込んでいた。服部半蔵は長安の身の上を案じ、5人の手練をつけようとするが、長安は受けない。それもそのはずで、長安には5人の妾がいて、彼女たちは長安が考案した最新兵器を持っていたからである。しかし、佐渡へ帰ってから、長安一行を攻撃する男がいた。彼は六文銭の鉄と呼ばれているが。
長安が出てくるせいか忍法というより、最新兵器を使っての戦いが多く、少しばかりエキゾチックではある。長安は一見悪役みたいに描かれているけれども、結末を見ると、一概にどうこういえるように単純には収まっていないところは流石である。忍法帖はまだ全部読んでいないのだが、今まで読んだものはどれもこれも一筋縄でいかないような結末なので、どうしても最後が気になって読んでしまう。
銀河忍法帖―山田風太郎傑作忍法帖 (KODANSHA NOVELS SPECIAL)
銀河忍法帖―山田風太郎傑作忍法帖 (KODANSHA NOVELS SPECIAL)
講談社 1996-05
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おすすめ平均 star
star魅力ある場面設定とショッキングな結末

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ラベル:忍法帖
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2009年10月27日

燃えよ剣(上)(下) 司馬遼太郎

人は己を知り、その才の求めるところを十分に表現したときに、傑出した人物といわれるようになる。
作者が「喧嘩師」と作中でしばしば呼んだ、主人公土方歳三は幕末という時代で、その才をいかんなく発揮した。ただひたすら喧嘩に勝つことだけを考える彼は政治的にはほとんどなんの考えももたなかったように描かれている。
本当のところはよくわからないが、そのような人物像として描かれた彼はこの小説の中で鬼神のようであり、読む人によっては非常に魅力ある人物として映るかもしれないな、と思う。
義兄弟の近藤勇が凄まじい上昇志向で幕末を駆け抜けていったのとは対照的にひたすら自分の才能を表現すること、その対比が鮮やかであった。
そうして、土方歳三の人間像がすっかり描いた後で、史実をなぞったように出来事を中心に描写される戊辰戦争では、土方の動きを少し描くだけで、彼の鬼神ぶりが手にとるようにわかる。この部分が一番面白かった。
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
新潮社 1972-05
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おすすめ平均 star
star入り口としてとても良かった。
starフィクション作品
star滅び行くものの美を感じます

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燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
新潮社 1972-06
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おすすめ平均 star
star漢の美学は一粒で二度美味なり
starやはり名作
star懐かしさを感じさせてくれる作品です。

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ラベル:幕末
posted by てけすた at 13:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説 | 更新情報をチェックする

2009年10月24日

同日同刻 山田風太郎

運命の日、同じ日、同じ時刻に何が起こっていたのか?
太平洋戦争開戦の昭和16年12月8日及び、終戦へ至る昭和20年8月1日~15日の15日間について資料を引用しながら、その日を再現していったノンフィクション。
大抵のノンフィクションはどうしても単一の視点からの描写になりがちであるが、『同日同刻』では日本はおろか、アメリカ、ロシアのことについても触れられている。これにより、真珠湾攻撃に成功した同じ日、ドイツ軍は寒波でモスクワから撤退を開始した、ということが不気味に語られたりして、まさしくドラマチックなのである。
敗戦へ至る15日間はまさに激動であった。あの2度の被爆、「それは雲の上に屹立した山に、巨大な自由の神像が腕を空にあげて人間の新しい自由の誕生を象徴しているかのようであった」とアメリカ人が書いたことに対し、著者は「アメリカ人のいう「人間の自由の誕生」の神像の足下に20万人の日本人の屍体が積まれた」と綴っている。つくづく戦争とは相手を人間として見なさなくなるものだ、とため息が出る。
それにしても、この資料の組み合わせの妙というか、ヘタをすると単なる一覧表になってしまう可能性もあるのに、これを組み立て、小説みたいに纏め上げてるのは流石である。
同日同刻―太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日 (ちくま文庫)
同日同刻―太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日 (ちくま文庫)
筑摩書房 2006-08
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おすすめ平均 star
star<故国再生の想い>で太平洋戦争を俯瞰する証言の書
star重い、非常に重い、それでいて冷静な記録
star作家の実力

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ラベル:戦争
posted by てけすた at 20:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎 | 更新情報をチェックする

2009年10月22日

レ・ミゼラブル(全4巻) ヴィクトル・ユーゴー

子ども向けに抄訳の出ている作品というのはそれなりの理由があるものだな、と思ったのは、この作品19世紀前半のパリの様子を主に社会問題から詳しく描写していて、大人になってる私も結構時間がかかったから。子どもでは恐らく読み通すのは難儀なことに違いない。だからといって、この作品のジャン・ヴァルジャンの物語は大人になってから読むにはちょっと感受性が鈍くなりすぎるのではないかという感がある。もちろん、私も感銘を受けたし、ちっとも遅いことはないのだが、子どもの頃に読んでおけば世の中には不条理なことがたくさんあるのだということを早くから知ることができて、それに対する構えも早くからできようというものだ。

人間は全てを知ることができない。それは社会のこともそうであり、他人のこともそうである。だから、法律と言う決まりごとをつくり、自分はどんな場所に属しているのかということを服装で示し、過去に行なったことから未来を想像する。
それはかなりやりやすい方法であるから、大多数の人間はそれに頼る。
しかし、過去のことを知るにしても、中途半端な知り方では判断を誤る。然るに、初めに戻るが、人間は全てを知ることができない。ジャン・ヴァルジャンの悲劇はそこから始まっているのだった。
これが他人に対する自分の起こす問題である。
ジャン・ヴァルジャンの悲劇を今度は彼自身から眺めると、恐ろしいまでに自己へ正直であることを求められる。それは自分自身過度ともいえる誤解に巻き込まれ悲惨な目にあったからであり、それにも関わらず、自分を救ってくれた人がいるからであって、彼は常に引き裂かれる。そして、他人を犠牲にすることを拒み、あくまで自分に不利なことを隠さずに生きることを自分から自分へ要求されるのだ。
私は、ここに書かれている様々な社会問題よりも、ジャン・ヴァルジャン自身の良心との葛藤にかなり感銘を受けた。そして、その確率は低いかもしれないが、ミリエル司教のように、どんな人間でも情けをかけることによって、人が真っ当になり、社会問題がそれにつれて減ってゆけばいい、と夢想すらした。それは甘い考えかもしれない。実際、この話では救い様のない悪党どももたくさん描かれているのである。しかし、それも社会の暗黒面から生じたものであって、社会は誰が作ってるかといえば、究極は自分ひとりひとりである。だからそのような暗黒面があるということは自分にもその責任の一端がある。だがそれは自分ひとりだけの責任ではないということもまたいえる。
ユーゴーはその解決策として民主化に期待をかけていた。
今日、民主化した国でもユーゴーの描いた社会問題がなくならないのはなぜだろう。
それはひとりひとりにジャン・ヴァルジャンの戦いが活かされていないからのように思える。
自分の良心に正直になること。これをやり抜いた彼はまさしく英雄である。
レ・ミゼラブル 全4冊 (岩波文庫)
レ・ミゼラブル 全4冊 (岩波文庫)豊島 与志雄

岩波書店 1995-07
売り上げランキング : 18573

おすすめ平均 star
star名作名訳
star教訓とか
star登場人物の全ての生い立ちに感動

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ラベル:フランス文学
posted by てけすた at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2009年10月13日

わが推理小説零年 山田風太郎

ミステリー論いろいろ、自作品のこと、交流のあった作家のこと、最後に全集の月報文を収録したエッセイ集である。
従って、ミステリー論はともかく、他の文章に関しては一般向けというよりは山田風太郎のファン向けといったほうがいいかもしれない。
とはいえ、物事に対する鋭い見解はこの本でも散見できるので、一概にそういいきってしまうのももったいないことではある。
私が「おっ」と思ったのは面白い小説の面白いの意味について述べたところ。作家がジャーナリズムへ沈没し、ジャーナリズムは経営者に支配されてることを言及するのだが、ここで著者は
売れるものとは読者が面白いと思うもののことであるが、読者は創作家ではないからその基準は過去にあったものの範囲をまぬがれない。ゆえにジャーナリズムとは時代の尖端をきっているもののごとく見えて本質的には保守主義者である。

という。これを打ち破り真に新しい面白さを展開することが作家の念願でなくてはならない、とするところに作家山田風太郎の良心を見る思いがするのだ。
だって、そうでしょう。面白いからといって繰り返し同じ事をやってる堕落したテレビ番組とか、2番せんじの出版物とか、もううんざりするような例は枚挙にいとまない。
ところで、私がこの本を買ったのは山風の本というのもさることながら、筒井康隆氏のことを書いた文章が載ってるというのもあったのだった。
それは「新宿祭」の解説文と「最高級有機質肥料」のことについて語ったものである。
山田風太郎を読み出してから私は「山田風太郎と筒井康隆って発想がよく似てるよなあ」と思っていたのだが、ご本人もそのことは感じていたようである。
わが推理小説零年―山田風太郎エッセイ集成
わが推理小説零年―山田風太郎エッセイ集成日下 三蔵

筑摩書房 2007-07
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おすすめ平均 star
star流石は日下三蔵の編集。風太郎ファンにはおすすめの好エッセイ集
star日下三蔵さん、ありがとう
star山田風太郎、迸る才気

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ラベル:随筆
posted by てけすた at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎 | 更新情報をチェックする

2009年10月12日

三銃士(上)(下) アレクサンドル・デュマ

超有名、テレビでも人形劇を放映しようとしている「三銃士」。いままで読んだことがなかったので、この機会にミーハー的ノリで読み始める。
アトスの重厚さ、ポルトスのご愛嬌、アラミスの繊細さは大好きだし、ミレディの悪女ぶりもかなり楽しめる。エンターテイメントとしてはまず文句なく一流の話なのは私も認める。
しかし、話が一流であることと、自分が楽しんだかとなるとまた違うのが人間の不思議なところで、結論からいえば私は話の凄さに比べてあまり楽しめたわけではないのだった。
なぜか。
それは、ダルタニャンがどうも好きになれなかったからである。
勇気も才気もあり、三銃士からも認められ、数々の武勇をたてる主人公で本来ならば痛快さを楽しむところだろう?ところが読み進めていって私が思ったのは
「この男すかしてる。」
もちろん、ダルタニャンは気取ってるつもりなど毛頭ないだろうし、見た目も気取ってるようにはみえない。すかしてるっていえば三銃士のほうが大人なだけよっぽどすかしてるんだが、それは一応自覚したうえでの伊達だと思うのだ。しかしながら、ダルタニャンは若くで有能なせいか、それが無自覚に現れてるような気がするんだよね。どうもそれが鼻についていかん。ほんとミレディに一度こっぴどく恥かかされれば良かったのに、と何度思ったことか。
まあそれを除けば面白かったです。特にアトスがかっこよかった。
三銃士〈上〉 (岩波文庫)
三銃士〈上〉 (岩波文庫)
岩波書店 1970-01
売り上げランキング : 7459

おすすめ平均 star
star名訳だと思います
star楽しい冒険小説
starデュマの傑作

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三銃士〈下〉 (岩波文庫)
三銃士〈下〉 (岩波文庫)
岩波書店 1970-01
売り上げランキング : 7755

おすすめ平均 star
star名訳だと思います
star楽しい冒険小説
starデュマの傑作

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ラベル:ロマン
posted by てけすた at 13:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2009年10月09日

パルムの僧院(上)(下) スタンダール

専制君主というのはなにやら不条理に思える政治体制ではあるが、こと小説に関してはこの政治形態の社会を描くととても面白くなる。もちろん、専制君主を賛美した小説ではなく、それを徹底的に諷刺し、カリカチュアしたものに関してだ。
まあ、これは私自身の好みのせいもあろう。とにかく体制を揺さぶるとかぶっ壊す、とかいうのが面白く読めてしまい、ちょっと前のどこぞの総理大臣のことをとやかく言えた義理ではない。
で、パルムの僧院。
これはパルム公国という小さな国で起こった陰謀事件のことを書いた小説だ。上巻はのちにパルムで絶大な権力を握るサンセヴェリーナ公爵夫人と彼女がほとんど恋人のように思う甥っ子ファブリスの生い立ち、及びパルムに住むようになるいきさつが描かれている。この部分はちょっと読みにくく、なかなか頭に入らなかったのであるが、下巻になり、さまざまな陰謀が渦巻き一人ひとりが緊張しながら身を処さなくならねばならなくなると、がぜん面白くなる。普通に描いてもこのあたりはスリリングであろうが、スタンダールはこのあたりかなり戯画化して、専制君主の諷刺をしているものだから、喜劇めいた文章となり痛快さまで伴ってくる。この痛快さというのはもちろん、登場人物ではなくて、作者の文そのものについてだ。
しかし、私はこうやって諷刺された専制君主を笑ってますが、今の政治家にだって、もしかしたらこんなことをするかもしれないと思うわけですよ。なんといっても、同じ人間ですからね。
パルムの僧院 (上) (新潮文庫)
パルムの僧院 (上) (新潮文庫)大岡 昇平

新潮社 1984-01
売り上げランキング : 23581

おすすめ平均 star
star自由と牢獄
starここではないどこか...すべての幻想主義者にこの書を捧ぐ
star大人の恋

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パルムの僧院〈下〉 (新潮文庫)
パルムの僧院〈下〉 (新潮文庫)Standhal

新潮社 1951-03
売り上げランキング : 24157

おすすめ平均 star
star情熱
starスタンダールの代表作
star無題

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ラベル:風刺
posted by てけすた at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2009年10月07日

ぼく東綺譚 永井荷風

大江匡という小説家が玉の井付近で出会った私娼窟に住むお雪という女性とのひと夏の逢瀬を昭和初期の風景とともに描いた小説。近所に並ぶ店や建物の様子や蚊の多い所から、彼女がいるところがどんな場所なのか、そして彼がなぜ彼女との逢瀬を続けたのか、その理由なども書き、都会化する東京と足並みをそろえるのが大儀な主人公の姿が浮き彫りになる。
その思いは作者も一緒なのであろう。作後贅言では復興してゆく東京の風俗をなぞらえながら、その違和感をかくすことなくしたためている。なんということのない、風景と会話のなかに、失われた昔の風俗への憧憬が見え隠れするからこの小説に情緒を与えてるのではなかろうかと思う。
作後贅言で印象的な著者の文章を引用する。
しかし、今の世の中のことは、これまでの道徳や何かで律するわけには行かない。何もかも精力発展の一現象だと思えば、暗殺も姦淫も、何があろうとさほど眉を顰めるにも及ばないでしょう。精力の発展といったのは欲望を追求する熱情という意味なんです。スポーツの流行、ダンスの流行、旅行登山の流行、競馬そのたバクエキ(博打のこと)の流行、みんな欲望の発展する現象だ。この現象には現代固有の特徴があります。それは個人めいめいに、他人よりも自分の方が優れているという事を人にも思わせ、また自分でもそう信じたいと思っている―その心持です。優越を感じたいと思っている欲望です。明治時代に成長したわたくしにはこの心持がない。あったところで非常にすくないのです。これが大正時代に成長した現代人と、われわれとの違うところですよ。

〓東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)
〓東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)
岩波書店 1991-07
売り上げランキング : 92336

おすすめ平均 star
starわたくしはほとんど活動写真を見に行ったことがない
star古き良き時代の情緒
star静かな感情

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ラベル:人間模様
posted by てけすた at 12:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 明治 | 更新情報をチェックする

2009年10月06日

剣豪伝説 小島英記

チャンバラ小説を読むようになったのはついこの間なので、小説に出てきてもよく名前を知らないことがある。そしてそれ以上にわからないのが、流派のことについてだ。結局そのあたりは流し読みしてたりしたのだが、面白さを減じているんだろうなあ、という思いはあった。
本書は有名な剣豪、小説でよく出てくる剣豪について、史実の資料と先人の書き残した書物、そして歴史小説時代小説を適所に引用しながら、その姿を浮き彫りにするエッセイである。でも、エッセイというにはかなり資料が読み込まれてるので、一種の評論といってもいいかもしれない。とにかくマニアックに資料を引き出してくるので、初心者に毛の生えた程度の時代小説読みとしてはたじたじになるが、かといって資料を整然と並べているのではなく、さりげなくこういう話があるけれども、と軟らかく導入してくるので、おぼろげながらも流派のことや剣豪たちのことが見えてくる。
そして、この本のもう一つの魅力というと、過去の傑作小説の引用がたくさんあるということ。その引用を読んでるだけで、引かれた小説が読みたくなってくるし、読んだ小説に関しても、「そうそう、そういうのあったよね」とちょっと本を通じて著者とチャンバラ小説について対話してるかのような気分になってくる。
時代小説読みのレベルが上がったときにまた再読してみたい本。
剣豪伝説 (ちくま文庫)
剣豪伝説 (ちくま文庫)
筑摩書房 2009-08-10
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ラベル:剣豪
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2009年10月05日

阿部一族他二篇 森鴎外

表題『阿部一族』と『興津弥五右衛門の遺書』は殉死について、『佐橋甚五郎』は徳川に仕えたある精鋭なる若者の話についてである。
このうち、『阿部一族』は殉死がらみで武士の面目についても考えさせられる。この話は弥一右衛門が殉死を認められなかったために周りから命永らえていると軽んじられて自分で後追いをするのであるが、そののちの遺族たちに対する処遇が他の殉死者より一段低くなった。さらに、そのことで長子権兵衛が供養の場で髻を切って、武士を辞めたためにそれがあてつけと受け取られ、結局縛り首になってしまうのである。主君からの心ない扱いに阿部一族は団結して立てこもり反逆するという筋立てなのだが、つくづく武士の面目の立て方というのは難しいものだと思った。
それにしても殉死というのは悪しき慣習だと思っていたが、忠利が病中で思うように、世代交代という面と、今まで権力の中枢にいた人間が否応なしにそねみを買っている場合それに逆らって生きていくよりはいいという刷新の劇的な形であることに改めて感じ入った。そう考えると、鍋島藩主光茂が追い腹禁止令を出したというのは結構大変な決断だったのだな、と思う。
『佐橋甚五郎』は徳川から逐電した怜悧な若者の話、最初朝鮮からの使者に甚五郎が混じっていた、という家康の話から甚五郎のことが語られるのだが、いささか伝奇的でもあり、面白い。
阿部一族―他二編 岩波文庫
阿部一族―他二編    岩波文庫
岩波書店 2007-12-14
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おすすめ平均 star
star深作欣二監督のドラマと共に楽しみたい

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ラベル:歴史小説
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2009年10月04日

失楽園(上)(下) ジョン・ミルトン

解説によれば、ミルトンはガリレオに会ったことがあるという。そのせいなのだろうか、SFスペースオペラ失楽園、とでも言いたくなるような宇宙色の濃い描写にしびれた。
世界に君臨する神に、自身の力を過信する天使ルシファーが反乱軍を率いて対抗する。迎え撃つのは先日神の御子となった後にキリストと呼ばれる者。彼がミカエルを初めとする天使軍団の頭となって、ルシファーたちを地獄へと追放するさまが、まるでファンタジーのように語られるのである。追放されたルシファーはサタン(敵)と呼ばれ、後に異教徒の神々となるものたちと会議を開くのだが、そこで、神が新しく人間とその世界を造ったという情報を得る。苦しい地獄から出て、神に復讐するためにサタンは人間をどうにかして、その世界を乗っ取ろうと、地獄から抜け出すのだが。
とまあ、上巻は天国での戦いと、サタンがエデンにやってきて、人間をどう篭絡せしめるか、ということが主体となって、実に面白い。幸せいっぱいで平和ボケ状態のアダムとちょっと理性が弱くて追従に弱いイーヴに迫るサタンの黒い心がぞくぞくさせる。
しかし、下巻に入ると、これが聖書のダイジェストといった趣になり、苦悩するアダムと後悔し悲嘆に暮れるイーヴのところは読み応えがあるものの、ミカエルが示す、未来の世界は全くの聖書の世界。すでに聖書を読んでいて、あらすじを知ってる場合には多少退屈な文章が続く。まあ、キリスト教徒にとっては下巻こそが読むべきところなんだろうと思うが、異教徒たるわたくしはサタン率いる反乱軍の挙動こそが面白く読めてしまったのであった。
失楽園 上 岩波文庫 赤 206-2
失楽園 上   岩波文庫 赤 206-2John Milton

岩波書店 1981-01
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おすすめ平均 star
starきっかけは・・・
star近代文学と聖書、現代文学と聖書――あるいは、芥川、太宰と町田――
starあらゆる意味でヨーロッパの古典なのですがー

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失楽園 下  岩波文庫 赤 206-3
失楽園 下    岩波文庫 赤 206-3John Milton

岩波書店 1981-01
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ラベル:叙事詩
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2009年10月02日

空海の風景(上)(下) 司馬遼太郎

著者は空海のことを「遠い人」というような表現をしていた。それは時代もさることながら、密教という体系を確立した人物への不可解さもあるように思える。その空海という人物を彼のとりまく環境から浮き彫りにしてみようと試みたのがこの小説だろう。しかし、小説とはいえ、それは通常の物語風ではなく、極めて評伝のかたちに近い。空海の生まれた土地と親類縁者のことについて、留学した長安のこと、帰国後、最澄とのやりとり、そうしたものが、本人の行状より詳しく掘り下げられており、この稿(という書き方を著者は本文でしている)においては空海の人物はおぼろとしているのだけれども、その代わりに当時の国際都市長安の殷賑ぶりや、最澄という人物の生真面目さ加減が深く印象に残った。それは著者も本文で述べてるように、空海に対する想像力を抑制して筆を運んだためかもしれないし、そもそも空海という人物がとらえどころのない性質を持っていたのかもしれない。
空海その人自身のことを読みたいという向きにはちょっと期待はずれな面はあるかもしれないが、空海を取り巻いていた環境、8世紀の日本や中国の様子、さらに当時の仏教情勢について知るにはいい。
空海の風景〈上〉 (中公文庫)
空海の風景〈上〉 (中公文庫)
中央公論社 1994-03
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おすすめ平均 star
star巨人「空海」の実像に迫る
star功罪相半ば…。
star司馬さんのフィールドワークと一次資料の活用に感動します。

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空海の風景〈下〉 (中公文庫)
空海の風景〈下〉 (中公文庫)
中央公論社 1994-03
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star空海とはどんな人であったのか…
star空海そのものより空海を取り巻く風景、特に最澄らを描いた歴史考察
star人間臭い「空海」を再現した著者渾身の1冊です

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ラベル:人物 空海
posted by てけすた at 13:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説 | 更新情報をチェックする