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2009年08月30日

ガラスの仮面 44巻

今回は前巻から1年以内に出ましたね。ちょっとうっかりしていてチェックしておらず、ひとさまから情報を得てあわてて読みました。
まあ、読んだといっても話はあいかわらず遅々としてすすまず、人間関係の事柄に終始してます。で、個人的にいろいろ妄想したのでそのことを書こうと思います。

私のトンデモ妄想その一:ハミルさんと亜弓さん、結婚するんじゃね?
亜弓さんを被写体として追っかけてるハミルさんですが、結構率直なことを述べてくれます。亜弓さんはどうみても日本人と結婚するようなタマには見えませんから、もしカップル話が持ち上がってくるとするならこの組み合わせかな、と。

私のトンデモ妄想その二:実はマヤと亜弓さんが魂の双子じゃね?
少々ネタバレになりますが、亜弓さんが災難にあったとき、マヤのバッグの紐が切れました!もうそれを見ただけで私の頭に天啓がきたのです。この2人が魂の双子なんだ!
そして、これがドラゴンボールなら間違いなくフュージョンする展開になるはず。

私のトンデモ妄想その三:ラスボスは紫織さんだよね。
文字通りそう考えました。
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タグ:漫画
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2009年08月29日

地下室の手記 ドストエフスキー

この小説は、主人公がほとんど引きこもり状態で自身の考えてること、それから何年か前に起こった不快な出来事を手記として残そうとする形式をとっている。その彼のひねくれ度加減や自意識過剰とプライドの高さからくる並外れた承認欲求が手記全体から迫ってくる。
第1部「地下室」は自己紹介と自身の考えていること。これは一見わかりにくいのだが、要するに人には自己の利益をあえて求めないという権利もあって、婉曲だが、自分はその権利を行使しているのであって、今の浮かばれない境遇はその結果なのだと暗に言ってるようなのである。ここに彼の天邪鬼度がかなり高いことがうかがい知れる。しかも、このひねくれた性格こそは知性の高さを示すものだと考えてる節がある。
彼の言ってることはまるで道化のようである。道化は従来の価値観を壊す存在であって、改革のヒーローとなる可能性を秘めているのではあるが、あまりにも天邪鬼が過ぎて非難の矛先は自分にも向かい、無気力とならざるを得ないところが悲しい。
第2部「ぼた雪に寄せて」では彼が昔蒙った屈辱が書かれているのだが、自分より優れたものに対する憎しみとその相手と和解して仲良くなりたいという心理、しかし自分は優位に立ちたいというわがまま、こういった自意識及びプライドの高さが彼を傍からみれば鼻持ちならない、扱いにくい人と映る。
このタイプの人間を著者は前書きで「つい最近過ぎ去った一つの典型」と紹介しているのだが、どうしてどうして、このタイプは今でも見かけるではないか。そして、もっといえば、自己顕示欲を持つ限り、この主人公は一つの典型として心に生きてるかもしれないのだ。
とはいっても、感想を述べるとやはり主人公の行動は錯乱してるとしかいいようがない。ひとりで毅然として生きてゆく覚悟が彼には出来てない。結局のところあれだけ見下してる他人の承認がよくも悪くもなければ生きてゆけないという弱さ。実を言うとこの他人の評価に引きずられるというのは社会生活を営む以上誰でももつ弱さではあるので彼の考えることもちょっとだけは同情できるのではある。もしかしたら自分も知らないうちにこんな行動をとってるかもしれないし。
とはいってもこういう人がそばにいると疲れる。本で読んでるぶんには面白いんだが。
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star地下室…
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タグ:文学
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2009年08月28日

旅人国定龍次(上)(下) 山田風太郎

国定忠治の子、龍次は大前田の栄五郎の下で育つ。役人を斬ったためにわらじを履くことになり、渡世人の修行と称して諸国を巡ることになるが、時は折りしも幕末。渡世人たちの夜の世界と、表社会の動乱に龍次は関わってゆくことになるのだが。

一本木で真っ正直な龍次が各地の渡世人たちとかかわりあってゆく様がドタバタで笑う。あまりにもベタなやくざ的ふるまいをする彼はもちろん、父忠治の一番の崇拝者でもあるかもしれない。そんな父に似てるといわれた日にはどうでも張り切ってしまうのはわかる。
その主人公の魅力と、山風のあの虚実を見事に交錯させた小説世界に幕末の騒がしい世情を想像せずにはいられない。
同じく渡世人が出てくる著者の小説には『武蔵野水滸伝』があるが、そちらは怪しげな術が出てきて集団同士の殺し合いになるという忍法帖シリーズの系統ならば、本小説は史実を踏まえて伝奇的に仕上げた明治小説の系統になるだろう。
まあ、それはそこまでとして、厚井宝塔www
このネーミング、ツボにはまりました。
旅人 国定竜次〈上〉―山田風太郎傑作大全 (広済堂文庫)
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star敢えて云う!これぞ 山風の最高傑作!

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タグ:時代物
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2009年08月27日

スペイン旅行記 カレル・チャペック

チャペックはスペインへ列車で出かける。寝台急行はすばやく通り過ぎて楽しめないらしいが、それでもドイツ・ベルギー・フランスをそれぞれ抜けるときに車内もそれに応じて乗務員の姿が変わるというのは国境を抜ける国際列車の面白いところだ。
しかし、寝台の上段へ上るのに重量挙げやらぶら下がりやらジャンプやらベリーロールやらいろんな技術が列挙されてるんだが、はしごはなかったのだろうか?ちょっと疑問に思った。
さて、スペイン。ここでチャペックはイスラムとアフリカという異文化がこの国をヨーロッパとは違うものになってるという。そしてそのエキゾチックな文化にどうやら陶酔させられたようだ。その酔いっぷりは文章によく現れている。
闘牛は見たのがあまりよくないものだったのか、牛が倒されること、腕の良くない闘牛士がブーイングを受けることに敏感だった。しかし、闘牛の様子を描いたスケッチが躍動感に溢れて見ごたえがある。
もう80年も前のことだから、彼がみたスペインが現在も同じなのかどうかはわからない。
しかし、当時のスペインがまさにスペイン的である、その魅力をカレルはたっぷり紹介してくれている。
スペイン旅行記―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)
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タグ:旅行記
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2009年08月26日

橘傳来記―山田風太郎初期作品集

山田風太郎が10代の頃に書いた短篇を集めた本である。時は昭和12年から18年にかけて。時節柄というせいもあるかもしれないし、習作という面もあったであろう、その作品はどれも生真面目である。後年の作風から見ると全く別人のような観があるが、いくつかの作品ではその結末の独特さに後年の作品の面影を見ることができる。作家になってからの作品を期待することはこの本ではできないけれども、10代とは思えない描写の的確さや観察眼に、天才山風の図を見る思いがする。
栴檀は双葉よりかんばし。
『石の下』は教科書にでも載っていそうな内容。表題『橘傳来記』は故郷但馬の有名な伝承話を題材にしているが、凡百の作家よりよっぽどうまい。
橘傳来記―山田風太郎初期作品集
橘傳来記―山田風太郎初期作品集
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2009年08月25日

チェコスロヴァキアめぐり カレル・チャペック

ちくま文庫では旅行記コレクションとなっているが、この本はどちらかというと、国内見聞から社会批評をしている感が強い。大まかには3種類に分けられる。一つは故郷を中心としたチェコの地方のあれこれ。それからプラハの都市批評、最後にスロヴァキアの自然、それから巻末にはチャペック自身が書いた自己紹介文が掲載されている。
地方の地名や土地の芸術家の名前がよくわからず、頭を悩ませる面もあったが、プラハの都市批評では優れた社会批評文が読める。この文章が書かれた1920年代から30年代にかけては、貧困によるスラムの形成ということに大きな関心を寄せていたようだ。その非人間的な住まいを見るに付けてもっと充実した生活を人々が送れるような対策をいろいろ考えなければならないとしている。この問題はもしかすると格差社会となりつつある日本にも他人事では済まされなくなってくるかもしれない、と感じた。
ところでチャペックの紹介文であるが、ここに「最大の弱点は十分に熟慮する能力に欠けている…わたしの思考は同時に表現なのです」というくだりがある。謙遜しているが、長所として置き換えれば極めて敏捷に反応してそれを表現できる能力が備わってるといっていいだろう。膨大な執筆活動は退屈しないためだといってはいるが、ジャーナリストとしてはまさに天賦の才能ではあるな。
チェコスロヴァキアめぐり―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)
チェコスロヴァキアめぐり―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)Karel Capek

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タグ:旅行記
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2009年08月23日

アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス

図書館で本を借りるときは目当ての本のほかにあと何冊か借りるのであるが、最近はあまりにも知られすぎてこれから読むのは気が引けるような昔のベストセラーなどをちょっと借りてみようか、という気持ちになる。それだけ本に対する衒いがなくなってきたのか。まあ気になる本はどんな世間の評判に関わらず、目を通しておきたいという気持ちのほうが勝ってきたのかもしれん。人生はいつ終わるかわからんし。
ということでこの本も以前ベストセラーになって、映画化されたし、いつぞやはテレビドラマにもなった作品なのでタイトルだけは知っていた。精神薄弱の青年の話、ということだがそれ以上のことは知らない。で、読んでみたが、なるほど、非常に感銘を受ける内容ではあった。精神薄弱であった時代の幸せは天才になるともう味わうことができない。それは子どもから大人への過程とそっくりである。彼の心の歩みはそのまま人生の歩みそのものだ。
願わくば当たり前に生活できてる人が自分をチャーリィだと感じると共に、他の人の中にあるチャーリィへの思いやりに満ちていたかどうかも思い起こして欲しい。
もし、自分がチャーリィそっくりだとそれだけで終わってしまったならば、それは天才になった彼の過ちと同じことなのだから。
アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)Daniel Keyes

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star泣けはしなかったけど
star自分が唯一二回読んだ本です。
star感動作ならぬ差別小説

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タグ:現代寓話
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2009年08月21日

赤と黒(上)(下) スタンダール

平民であるジュリアン・ソレルはその才気を生かして出世しようと思っていた。ナポレオンに傾倒していたので、軍人を目指していたのだが、世は王政復古の時期でそれもかないそうにない。聖書の暗誦やラテン語の教養を教会で身につけていた彼に地元の貴族の子への家庭教師の仕事が舞い込んできた。それを足がかりに、彼はなりあがろうとするのだが。

ようやく読みました『赤と黒』。なんだ、面白いじゃないか。
中学生のときに挫折して以来、ずっと難しいとどこかで思い込んでいたからな。馬齢を重ねていてもなんらかの進歩というものはあるものだ。
恋愛小説として読んだ場合、その心理的な駆け引きがとてもスリルがあって面白い。平民ジュリアン・ソレルにとってみれば、身分の違う女性との恋は野心を満たすための戦いだとも思っていた節があるが、そう思いながらも根が率直な彼は始終打算的に振舞うことなどできはしなかった。
唯一、マチルドの気を引くために別の婦人との恋を画策したときがあったが、そのときはテンプレの恋文を婦人に出すなど、ばかげていて当時の娯楽としての恋愛はこんな風な感じだったのだろうか、と可笑しく思った。またこの擬似恋愛に限らず、なにもかもが虚飾的なパリで偽善を嫌う彼が、自尊心の高すぎる、感受性の強い彼が見たものはそのまま当時の社会の諷刺となっていたであろう。そのあたりは社会小説としての顔をもつ。
まあ、こういう内容は凡庸な中学生だと理解できなくても当たり前かもしれん。
しかし、ジュリアン・ソレル、発表された当時はメリメにこんな性格の人間はあり得ない、とか言われたそうだが(上巻はしがきより)私はある種のリアリティをもつ性格だと思った。それは彼の行動には矛盾は多いけれどもその心はちゃんと説明されているので、納得がいく。
なにより、自分がバカにされたり、だまされることへの嫌悪感、こういう性格はプライドの高い若者にはよく見られることだしな。

赤と黒〈上〉 (岩波文庫)
赤と黒〈上〉 (岩波文庫)桑原 武夫

岩波書店 1958-01
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おすすめ平均 star
star恋愛大河ドラマ
star孤高のヒーロー ジュリアン・ソレル
star大人の文学

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赤と黒 下  岩波文庫 赤 526-4
赤と黒 下    岩波文庫 赤 526-4Stendhal

岩波書店 1958-01
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おすすめ平均 star
star陰鬱な激情をリアルに描ききる作品

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タグ:恋愛
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2009年08月18日

北欧の旅 カレル・チャペック

デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国を巡る旅行記。白夜と森とフィヨルドに魅せられたのか、その描写とスケッチがかなり豊富である。
真昼はなくて、ただ永遠の曙か黄昏があって、その様子はまるで時間が止まったようだという、北極圏の白夜の描写にはなるほど、うまいなあ、と思った。幻想的な白夜にぴったりである。さらに個性的なフィヨルドの地形や森の様子を述べた部分も読んでいて楽しい。
しかしながら、チャペックの本領発揮はやはり人間観察にある。えらく物まねのうまいサーミ人はまだ序の口で、一番受けたのは同じ船に乗り合わせたどこぞのアメリカの教団の人々に関する描写である。とにかくうるさいし、数にものいわせてその場の雰囲気を彼らの独壇場にしてしまうのにはチャペックも不満を表し、強烈な毒舌をもってこの人々を描写している。ついでに、その後別の船でノルウェーのボーイスカウト団とも一緒になったのだが、やはり彼らもうるさくて、チャペックのカンに触ったのか、次の日、数が少なくなった彼らを「甲板から落ちたのだろう」と切り捨てていたのには笑った。
いや、気持ちはわかりますわ。
イラストもとてもかわいらしい。
北欧の自然を見てみたくなった。
北欧の旅―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)
北欧の旅―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)Karel Capek

筑摩書房 2009-01-07
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タグ:旅行記
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2009年08月16日

明暗 夏目漱石

津田は手術をするために入院することになったが、妻は叔父から誘われた芝居へと出かけてしまう。妻にそこはかとなく無力感を感じる津田。一方妻も夫の愛を得るために自分に無理をしている。ところで彼らをとりまく人間関係はなんともしがらみの多くて気苦労が耐えないように思える人ばかりだ。勤め先の上司の夫人、津田の妹、叔父、果ては無心している弱みがあるために親との関係もしっくりいかない。
読んでいて、この小説では人との関係が寄り掛かりで繋がるものだとつくづく思った。そこで、寄り掛かりたい人間にはなるべく弱みを見せずにいようと頑張るのだが、ふとしたいさかいでその頑張りが破綻することがある。夫の愛を得たいお延、なにかと兄夫婦に世話を焼きたい妹。
勤め先をしくじらないよう、上司の夫人のご機嫌を伺う津田。ほんとに、やりきれない。それだけにこの浮世のしがらみはある種共感をもって読むことも可能なのであるし、このしがらみをよくぞここまで書いたものだと、感心する。
だが、個人的な好みでいうと、こういう類の小説はかなり疲れる。なにを好んで、こんなごたごたして、みんなが遠慮しいしい、しかも誰かの目をうかがいながら生活する、そんな話をあえて読まなければならんのか、という思いに囚われるのだ。
素晴らしい小説だとは思うが、2度は読まないだろうなあ。
明暗 (新潮文庫)
明暗 (新潮文庫)
新潮社 1987-06
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star明治人の人間関係描写が秀逸
star明暗の意味
starソリストだらけの協奏曲

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タグ:人間模様
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2009年08月14日

戦中派山田風太郎の日記2冊

明日は終戦記念日。丁度時節に合わせて、山田風太郎の日記を2冊読む。
昭和17年から19年までの日記を収録した「戦中派虫けら日記」と昭和20年の日記を収録した「戦中派不戦日記」である。
『虫けら〜』のほうは上京して初めて日記をつけ始めた20歳の山田青年の、将来に向けた不安、身寄りのない孤独、それと、戦時中のなにやら薄暗い雰囲気がシンクロしたような日記である。日々乏しくなる物資と苦しくなる生活、その中に日本の勝利を信じる一青年の文章は、その主観的内容にもかかわらず、後の作家を思わせるような透徹した視線を感じる。この傾向は『不戦〜』にも現れているが、こちらは前者の重い雰囲気の代わりに、一種熱を帯びた祖国への礼賛が、あるいはいよいよ本格的となった空襲で焼け出され、右往左往する様子、あるいは終戦後の政府や日本人全体に感じる憤り、そういう劇的な条件がそろって、当時の様子をよく伝えてくれる。
こんな切羽詰った状況でも、驚いたことに著者はなにがしかの本をいつも読んでいる。空襲に遭い、持ち物を焼け出されて、郷里へ着る物などを調達しにいくときですら、どう持ち歩いてたのか、列車の中で本を読んでいたりしてるのである。そういえば、この日記もよく焼け出されなかったものだと感心する。お陰で、この貴重な記録を後年読者は読むことができるのだ。
山田誠也という人物を生き残らせた天の配剤には感謝としかいいようがない。そのくらい、この日記は読み応えがあった。
戦中派虫けら日記―滅失への青春 (ちくま文庫)
戦中派虫けら日記―滅失への青春 (ちくま文庫)
筑摩書房 1998-06
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おすすめ平均 star
star虫けら
star真の日記文学
star戦争中の日本人を知りたい人たちへ

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新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)
新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)
講談社 2002-12
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star作品としての日記
star嘘のない日記
star昭和20年の日本が生き生きと浮かび上がる記録。後の山田風太郎、当時24歳

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タグ:日記
posted by てけすた at 13:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年08月11日

マークスの山(上)(下)講談社文庫 高村薫

カテゴリーとしてはミステリーに分類されているという本作品だが、それよりはもっと強固な組織と個人の齟齬を描いた社会派小説の感がある。
昭和51年に南アルプスで起きた殺人事件が16年後東京の殺人事件へと繋がっていく。実は一連の事件は組織からの圧力で捜査がゆがめられ、現場はしばしば苦悩する。その現場にいる主人公合田雄一郎警部補を初めとする七係の刑事たちの奮闘振りとミステリアスな隠蔽工作が激しくぶつかりあってる部分に読み応えがある。
実をいえば、この小説特に読む予定もなかったのだが、福澤一族のことを書いた最新刊の小説に彼らが出てくるというので勉強を兼ねて、ではと読み出したのがきっかけだった。
インターネットを見てまわると、警察モノに比べて、福澤一族の話はとっつきにくいという評判があるけれども、どうしてどうして、一族の話というのは警察モノの延長線上にあると思って差し支えない。そこにあるのはいつも社会あるいは組織と個人の齟齬である。組織に翻弄される個人。
ただ、事件の解決が伴う警察モノでは謎解きという最低限の面白さがあるので、組織と個人の関係が見えなくても読めてしまう部分というのはあるのだと思う。
ごちゃごちゃと書いたが率直にいって面白かった。ホモソーシャルチックな元義兄との関係もご愛嬌。
マークスの山(上) 講談社文庫
マークスの山(上) 講談社文庫
講談社 2003-01-25
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star引き込まれます。
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マークスの山(下) 講談社文庫
マークスの山(下) 講談社文庫
講談社 2003-01-25
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おすすめ平均 star
star上巻は最高。下巻は最低
star
star読み終えた後にすぐまた読み返したくなる

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タグ:人間劇
posted by てけすた at 11:58 | Comment(2) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年08月09日

ロビンソン・クルーソー(上)(下) ダニエル・デフォー

児童書でお馴染みあの無人島譚のロビンソン・クルーソーであるが、有名な部分は実はこの岩波文庫の部分でいえば上巻の部分だけであり、下巻は続編「ロビンソン・クルーソーのその後の冒険」ということで島から帰って再び航海にでる主人公の手記としてまた独立した話になっている。解説によればこのほかにこの2つの話の注釈書ともいうべきものがあるらしいのだが、それは訳されてはいないようだ。

さて、そういうわけで上巻と下巻は別の話であって、私個人としては上巻は面白く読めたが、下巻はロビンソンのキリスト教的価値観の独善さが前面に出ていたのでどうも違和感を感じて読んでしまった。
上巻では無人島に漂着して、絶望と戦いながら、信仰を新たにし、それに基づいて節度ある生活を送る様が生き生きと描かれている。どちらかといえば島に順応するよりは建築や農耕などで島を開拓してゆく、文明人としてのロビンソンが前面に押し出され、これが人生における寓話だと著者が説明したのもうなづける。解説によれば、こういった中産階級的労働と信仰の生活というのは清教徒の理想とするところであったという。
ところが、ロビンソンが幸運にも島から脱出できて、その後再び島を訪れることになる下巻ではその信仰という部分が独善的価値観に堕してしまってるような気がするのだ。それはロビンソンが立ち去った後にまだ島に残っている住民を植民と見立てて島を自分の財産としてしまう、ヨーロッパのプチ植民地を思わせる展開であり、アジアにおける異教徒への干渉、野蛮と決め付ける偏狭さ、こういったものが私としてはどうにも違和感を感じるのである。こういっては私も決め付けすぎるのかもしれないが、ロビンソンの独善さはそのまま当時の諸外国に対するヨーロッパの独善さ偏狭さを示してるような気がしたのであった。
ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)
ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)Daniel Defoe

岩波書店 1967-01
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star人間の存在意義を考えさせられた
star貿易商となり破産と再興を繰り返したデフォー自身がモデルとなった清教徒的人生指南書
starクルーソーは絶海の孤島でリッチだった?

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ロビンソン・クルーソー 下  岩波文庫 赤 208-2
ロビンソン・クルーソー 下    岩波文庫 赤 208-2Daniel Defoe

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starまた別の冒険話しが。
star啓蒙書として読むなら良いかも。冒険度は薄い。
starいまいち

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タグ:冒険
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2009年08月06日

ぼんくら 日暮らし (井筒平四郎シリーズ) 宮部みゆき

以前図書館で「日暮らし」を借りてきたところ、読み始めてこれはなにかの続編だと気が付き、読むのを止めて最初の話の方を借りてきた。それが「ぼんくら」である。

【ぼんくら】
鉄瓶長屋の煮物屋へよく油を売ってる同心井筒平四郎。この鉄瓶長屋で殺人事件が起こり、差配人がいなくなってしまう。あとから佐吉という若い差配人がやってきたのだが、一生懸命なのにも関わらずうまくゆかない。平四郎はこの鉄瓶長屋の不可解な出来事をそれとなく探り出しはじめるが…

【日暮らし】
鉄瓶長屋のことが一件落着した、その後の登場人物たちの話。今回も佐吉にまた不幸な出来事が襲い掛かる。長屋ですっかり知己となった平四郎は佐吉のために奔走する。

この井筒平四郎という人物、のらくらしていて、あまり闊達にお勤めをするというような御仁ではない。子どもがいなくて妻の甥を養子に迎えようか、という話があるのだが、この甥っこというのが容姿明眸の上に頭がよく働くときている。この弓之助という甥っ子とともに事件を解明してゆく。
神童がかってる弓之助が手伝いというのはアリなのかな、とは思うが平四郎が鋭くずばりずばり解決していくというのもなんだか彼らしくないので、これはこれでいいのだろう。湊屋総右衛門がつかみどころなくて、ちょっと不気味に思えた。
ぼんくら〈上〉 (講談社文庫)
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ぼんくら〈下〉 (講談社文庫)
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タグ:時代物
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2009年08月04日

ガリヴァー旅行記 ジョナサン・スウィフト

児童書でおなじみの作品だが、本来は人間を諷刺した舌鋒鋭い内容というのは以前聞いたことがあった。確かに読んでみると、リリパットの小人国では小さな人間が政治に汲々としている様が諷刺されてるし、ブロブディンナグの巨人のいる国では、悪気のない動作でもそれが繊細なものにとっては耐え難いことがあり、また相手が比べ物にならないくらい大きいと、自分を誇り高く思っていても空しくなるという自己矮小感の描写。ラピュータにおける貴族や学者たちの机上の論理ばかりがもてはやされることについての諷刺、そして、極めつけは最終篇フウイヌム国で描かれた人間存在そのものへの嫌悪感。
なぜ、これほどまでに人間を毛嫌いするのか。
解説によれば、この作品が書かれた時期は丁度、著者はアイルランドがイングランドに搾取されてる様を目の当たりにし、その憤りが頂点に達していた頃だという。
その有様は私にはよくわからないが、フウイヌムにいる臭くて狡猾きわまる動物ヤフーが人間と変わらない姿で描かれていることを思い合わせれば、スウィフトの怒りも想像がついてくる。
そして、これら描かれた世界はどれも今の世の中からはなくなっていない。その中には笑い飛ばせるものもあるが、そうでない部分もあって、そういう部分に舌鋒鋭く迫る場面は残念ながら私も自分を棚に上げてつい共感してしまうのであった。
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タグ:諷刺
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2009年08月02日

オリバー・ツイスト(上)(下) チャールズ・ディケンズ

救貧院で孤児として過ごしたオリバーの波乱万丈な物語。19世紀初頭のイギリス社会が舞台である。当時のイギリスは世界の中で勢いのある国ではあったが、この小説に出てくるように貧富の差が激しかったのだろう。
ここに、孤児オリバーを通して、当時のイギリス社会が鋭く描かれているのではなかろうか。それは偽善に満ちた人間がいるということや、底辺の暮らしを余儀なくされる人間がしばし犯罪に手を染める、というだけではなく、もてるものはどこまでも力を行使するといった点でもそうである。
少しネタバレになるかもしれないが、書いてしまうと、オリバーの苦難も彼がある出自であるために、最後は報われてハッピーエンドとなるわけだが、そこへいたる経緯は完全に勧善懲悪であって、ステロタイプな人物がたくさん出てくる。
わかりやすい展開で、こういう物語を否定するものではない。私も水戸黄門は好きだし。
ただ、オリバーを仲間に引き入れた子どもたち、ナンシー、など彼らのことを考えると手放しによかったとは思えないのも事実。まあ、犯罪者がのうのうと暮らしているような社会は大変だけど、結局報われるのは上流階級者ばかりなんでしょうか、という思いは残るのであった。
それとも、この結論そのものが、ディケンズの風刺と考えてもいいのだろうか?
まあ、実は高貴な生まれ、という展開は世界共通、みんなの好きな話題だし、娯楽小説だと思えばそれほど気になることではないのだが。
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タグ:階級社会
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