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2009年03月31日

ホフマン短篇集 E.T.A.ホフマン

池内紀氏が選んで訳した6篇の短篇集。収められてるのは「クレスペル顧問官」「G町のジェズイット教会」「ファールンの鉱山」「砂男」「廃屋」「隅の窓」。
燃え上がるようなあこがれの女性への恋、あるいは芸術や仕事の情熱、これらが葛藤となり、話の核となる若者を狂わしてしまう。狂おしいほどの情熱を持てる彼らの結末が悲劇に終わったとして、果たして彼らは本当に不幸だといえるのだろうか。
情熱もなく、ただ習慣的に人生を送り、退屈しきっている人物とどちらが不幸だろうか、とつい考えてしまう。
ホフマンのこうした小説を読んでると実に狂気は自己に対する呪いと賛美の両面を持ち合わせている、とつくづく思う。
「隅の窓」は他のとは少し違っていて、病床で動きのとれない従兄と私と文中で書かれてる人物が二人して市場の人間観察を行なっている作品だ。私が見たままを語り、従兄がその人物の背景を想像するのであるが、ホフマンの飛翔する想像力と、冷徹な現実を見る目がこの2人に表されてるようで興味深い。そして、これが実際、ホフマン自身も動けなくなり、口述筆記での最後の作品だということを知ると、一種感慨深いものがあるのである。
ホフマン短篇集 (岩波文庫)
ホフマン短篇集 (岩波文庫)E.T.A. Hoffmann 池内 紀

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タグ:幻想
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2009年03月29日

暗黒事件(上)(下) バルザック

権力とはそもそもなんであろうか?
奇怪な策略で数奇な事件に巻き込まれる人物たちの行く末を読み進めてゆくと、そんな疑問が出てくる。しかし、権力者といえども永遠に今の地位にとどまっていられるかというとそうではないことは、フランスの歴史が証明しているだろう。
この変遷する権力の中を沈まずに泳ぎ続けることは至難ではあるが、実際にいたのだから、人間いろんな人物がいるものである。
さて、本題。
この作品はナポレオンに抵抗している伯爵家らと、称号をもらった振興勢力との争いである。ことは幾度もひっくり返り、ミステリーとしての面白さと、フランス帝政時代の闇はこんなにも深いのか、と一種慄然としてしまう。
現在の日本は一応民主主義ではあるけれども、権力者がいるという点、この小説の時代である帝政時代と一緒である。
下巻にこんな言葉が出てきた。
「看板は変わっても中身の酒はおんなしだ」
体制が変わっても同じようなことをいう検察官のことをさしているのであるが、これはまた別の国の別の時代のことを選んでもそうといえるのではないだろうか?
役人はいつも似通っている。
本質を突いていれば、どういう国でどういう時代であろうとも自分のとりまく社会の相似とを見出すことができる。
というか、なかなか人類は変われない、といったほうがいいのかな?
だから昔の別の小説も面白く読めるのだろう。
暗黒事件 (上) (岩波文庫)
暗黒事件 (上) (岩波文庫)水野 亮

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star驚愕の《ナポレオン帝政秘史》
star歴史を操る神との邂逅

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タグ:歴史
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2009年03月26日

幻談・観画談 他三篇 幸田露伴

渋い、渋すぎます。
この本は晩年の作品を収録しているのだが、高名な噺家が語るような味わい深い文章が楽しめる『幻談』と『観画談』
幻談は江戸時代釣へ出かけた人がであう怪を、観画談は、わびしい寺に泊まった神経衰弱の苦学生の話をそれぞれ描いているのだが、
例えば雨に降り込められた苦学生が寺で寝床に入って眠れないときの描写
― 世界という者は広大なものだと日頃は思っていたが、今はどうだ、世界はただこれ
ザアッ
というものに過ぎないと思ったり、まだ思い反して、このザアッというのが即ちこれ世界なのだナと思ったりしている中に ―

といったように、雨降りのやるせなさが切々と心に響いてくる。
内容よりはこういう語り口が魅力的な作家なのだなあ、と思った次第。

他の3編は中国のある骨董品に纏わる話を書いた『骨董』及び、摩訶不思議な術について書いた『魔法修行者』という薀蓄めいた話に、『蘆声』という教訓話のような短篇小説。
ところで蘆声は大人は身勝手で結構自分の都合だけを考えてるということがよくわかる小説だな、と思った。(笑)
モデルがいるのかどうかは知らないけれど。
幻談・観画談 他三篇 (岩波文庫)
幻談・観画談 他三篇 (岩波文庫)幸田 露伴

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star短編のお手本、燻し銀の咄家。
star名品・・・水墨画の怪談

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タグ:明治文学
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2009年03月24日

山田風太郎2冊

【明治バベルの塔―万朝報暗号戦】
時は明治も下って30年代から40年代にかけてのこと。この時代はそれなりに世相も落ち着いて血腥さは他の明治小説よりは薄い。
読者層を掘り起こすために賞金をアナグラムによるクイズで出した『明治バベルの塔』。監獄へ送られた人物を漱石の「坊ちゃん」の文体を真似て書いた『牢屋の坊ちゃん』。最新式の火葬場を使ってもらおうと売り込みする『いろは大王の火葬場』。幸徳秋水をいろんな視点から書いた『四分割秋水伝』。それに著者の『後口上』が収められている。
実在の人物と虚構とを組み合わせる妙の面白いことよ。
それも徹底的に娯楽に徹するためになにか噂話にも似た不謹慎な部分を使うのだから面白くないはずがない。
幸徳秋水という名は学生の頃読んだ本に出てきていて社会主義に殉じたというイメージがおぼろげにあったが、『明治バベルの塔』や『四分割秋水伝』を読んで少し親近感が沸いてきた。
明治バベルの塔―万朝報暗号戦 (文春文庫)
明治バベルの塔―万朝報暗号戦 (文春文庫)山田 風太郎

文藝春秋 1992-08
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star面白さにただただ吃驚

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【甲賀忍法帖】
徳川3代目を決めるために宿敵同士である伊賀甲賀それぞれ10名で争わせるという設定の忍法帖。
史実を変えることはできないから、もうこれで決着は見えてしまうようなものなのであるが、そうそう予測できる決着とはならない。ロミオとジュリエットに喩えられるところがあるのだが、この2人を中心に読むとかなり悲劇的ではあるのである。にもかかわらず無常無情感に若干滑稽感。
山田風太郎の忍法はとてもばかばかしいのだが、なぜ面白く読んでしまうのだろう。
よく、野生動物番組では動物たちがもつ驚くべき能力が披露され、それを面白くみるのだが、忍法帖もあれに似た面白さなのかも、と思うのであった。
甲賀忍法帖―山田風太郎忍法帖〈1〉 (講談社文庫)
甲賀忍法帖―山田風太郎忍法帖〈1〉 (講談社文庫)山田 風太郎

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star「忍者集団vs忍者集団」の闘いを極めた忍法帖の最高傑作
star設定がなんとも絶妙で
star本書、本ヴァージョンの特色とは。

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タグ:忍法帖 明治
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2009年03月23日

2009.3.22放送分『天地人』

ゆがんだ愛で見続けているといっても過言ではない大河ドラマ『天地人』
昨日もまた突っ込みどころ満載だったなあ。
兵糧が尽きかけてるというのに家で酒を飲んで、挙句の果てに嫉妬から夫婦喧嘩を始める直江信綱とか、およそ調略とは程遠い兼続の出たとこ勝負な使者ぶりとか、

なんでそうなるの?―(c)コント55号

とかテレビの前でぶつくさいいつつ視聴。
このドラマって、兼続は女性によく助けられてるよね。
もしかして、この路線でゆくのだとすれば、兼続、お船と結婚、お船が彼をサポートして対外的に直江兼続は知将になりました、って流れにするのだろうか?
それはそれであまりにも主人公を舐めた話じゃないかという人も出てきそうな気がする。
いやいや、彼は自力で成長して立派な武将になるのだよね?きっと。

ところで来週は武田方へ忍び込むみたいだが、また訳のわからん理屈をふりまわしてでたとこ勝負になるのだろうか?
またまた気になるのう。
すっかり、NHKの釣りにかかってしまったようである。
タグ:大河ドラマ
posted by てけすた at 13:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 芸能、テレビ、映画| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年03月22日

ブッデンブローク家の人々 トーマス・マン

著者の家系がモデルだというこの作品は絶頂期から始まり、衰退して解体するまでの物語が書かれている。
それはまた、絶頂期のブッデンブローク家に生まれて貴族意識がすっかり身についた誇り高き女性、トーニーの波乱万丈な半生とも重なる。
なぜ、彼らの家が衰退していったのか?商売が時代と合わなくなってきてたのかもしれないし、子孫が何不自由のない生活で、だんだん生命力が低下していったのかもしれない。現に、トーニーたちの兄弟はお世辞にもたくましいとはいえず、兄トーマスの子、ハノーに至っては繊細な音楽少年で若くして亡くなってしまうのだ。
たくましさという観点からいえば、トーニーが兄弟の中で一番たくましいかもしれない。
栄枯盛衰、世は無常。そんな中でブッデンブローク家に己の価値を見出し、なんとか役に立ちたいといつも願っていたこの女性の姿が印象的であった。
それにしても、この作品が20代の若者によって書かれたということは驚嘆すべきことである。
河出世界文学全集 (18) ブッデンブローグ家の人々
河出世界文学全集 (18) ブッデンブローグ家の人々川村 二郎

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タグ:大河
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2009年03月20日

楽天ブログに来た迷惑メッセージ

楽天ブログにはメッセージを送信できる機能がついてるが、たまに迷惑メッセージがやってくる。
内容はスパムメールにありがちな大人関係でなくて金儲け関係が多いが、今日きたのは今回はタイトルをつけるとしたら「ある無能マネージャーの歎願」であった。(笑)

今長篇読んでてしばらく更新できそうにないので、ひまネタで今日きた迷惑メッセージを転記してみる。
発信者は“小林さん”です。

突然のメールすいません。某有名タレントのマネージャーです。
本人の希望であなたとどうしてもお話したいと‥。最近テレビや取材、雑誌の特集などで忙しく、私から見ても精神的に疲れてるようで・・
お恥ずかしい話、私では本人をケアできなくて…
実は一緒に本人が求める方を探していたんです。
あなたに何か感じる所があったらしく、メールしておいてくれ、と言われました。
http://******************(怪しげなURL)
ここに登録をしてもらってもいいですか?本人からメールをさせます。
私はマネージャーとしてどうにか支えたいと思い、
事務所に内緒で要望に答えてあげようと思ったのですが、
結局は事務所にばれてしまいました。
今、私が出来ることはこれぐらいしかないのです。
このプチメに返信くださっても返せない場合が多いと思います・・・
決して甘くない世界です、ご理解願います。
もちろん、これは私と本人からの一方的なあなたへのお願いになりますので、
色々なご事情で連絡を取って頂くことがご無理であれば仕方ありません。
もし可能でしたら本人を助けてください。
突然の長文で失礼致しました。
よろしくお願い致します。


楽天には主婦が多いというイメージだからこんな芸能人がらみの内容なのかね?
まあ、スパムっちゅう奴はいろんなことを考えるものだ。
posted by てけすた at 13:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ネット 楽天関係| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年03月17日

警視庁草紙(上)(下) 山田風太郎

明治初期の警視庁と、元江戸奉行所関係者との奇妙な対決を描いた連作短篇集。
元同心の千羽兵四郎は瓦解以来ヒモの生活をしていたが、とある密室の死体の謎がらみで、当事者をかばい立てしたのをきっかけに、元江戸南町奉行の駒井相模守や元岡っ引かん八らと共に警視庁の強引なやり口を覆してゆく。
当時の実在上の人物や事件をパズルのように組み合わせて伝奇的小説に仕立ててるのは他の明治小説もそうなのであるが、この作品はその組み合わせ方が緻密である上に、双方の親玉が川路大警視に駒井相模守と一筋縄でゆかない人物なので、彼らの知恵比べが読みどころだ。
とはいってもただ面白おかしく描いているわけではなく、どことなく無常観が漂い、昨日の敵は今日の、あるいは逆もまた然り、さらに当時富国強兵のために無理がかかる様子も淡々とした調子で書かれており、明治という時代にはあまり興味がなかったのに、少し勉強してみようかな、と思った。
警視庁草紙〈上〉 (河出文庫―山田風太郎コレクション)
警視庁草紙〈上〉 (河出文庫―山田風太郎コレクション)山田 風太郎

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star伝奇物語の雄が明治時代に挑戦
starこれより面白い本はそうあるまい
star警視庁草紙

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警視庁草紙〈下〉 (河出文庫―山田風太郎コレクション)
警視庁草紙〈下〉 (河出文庫―山田風太郎コレクション)山田 風太郎

河出書房新社 1994-03
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タグ:明治 伝奇
posted by てけすた at 12:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年03月16日

大河ドラマ『天地人』がほとんどヲチの領域になった。

どうも主人公のダメダメぶりに加え、演出のチープぶり、加えて昨日は戦国武将の養子ともあろうものが
「俺は裏切られたんだあぁぁ〜〜〜」
とか子供がいいそうなセリフを吐くなど、もうかなり絶望的状態の大河ドラマ『天地人』
しかし、そんな中で久々に信長が出てきて
「謙信は浄土とやらへいったか」
というセリフ。
あれは皮肉が利いてて、良いのう、と思ったら、
唐突に、俺を止めることができたかもしれないのに、といったようなセリフを吐いたのでずっこけた。
さらにダメ押しで、女に
「鬼になりませ」
とか言われちゃう始末。
信長は鬼とかそんなもの信じてないと思うんですけど。

ここまでダメダメぶりだと、却って次はどうダメなのか気になってつい見てしまう。
そういえば視聴率はいいらしいけど、実はみんな私と同じ理由で見てるんじゃないかと邪推してしまった。
タグ:大河ドラマ
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2009年03月14日

黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ  E.T.A.ホフマン

ホフマンの小説はあまり出版されてないので、今回光文社が新訳古典文庫として出してくれたのは本当にありがたかった。
収められてる作品は表題にある『黄金の壺』『マドモアゼル・ド・スキュデリ』のほかに『ドン・ファン』と『クライスレリアーナ(抄)』の4編。メルヘンと推理小説とオペラの批評的小説に、ある皮肉な音楽家の断片集と趣を異にしているが、どれも多かれ少なかれ現実と霊感の狭間にある芸術家の魂の狂気に触れられている。
『クライスレリアーナ』は音楽嫌いと修業証書だけの掲載でちょっと残念であった。副題は失念したが、有望な若者の手紙とか舞台道具についての皮肉たっぷりな批評なども面白かったので、できれば全部載せて欲しいところだ。

ところで、新訳というのが売りの文庫なので、そのことについても少し感想を書かせていただく。
『黄金の壺』と『ドン・ファン』は改訳、他の2つは訳者にとっては初の翻訳ということをあとがきで知ったのであるが、『黄金の壺』の、です・ます調は児童書を読むような冗長感があって、却って読みにくかった。読むリズムを妨げられるのだ。
メルヘンではあるのだけど、一般人向けの本なのだし、無理やりです・ます調にしなくてもよかったのではあるまいか。
他の作品は普通で読みやすかったので余計に目立ったのかもしれないが。
黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)
黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 大島 かおり

光文社 2009-03-12
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タグ:新訳古典
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2009年03月12日

たった一人の反乱 丸谷才一

このごろ小説を読んでいて気になるのは、自分と社会の齟齬が書かれた部分である。
この小説はまさに、そんな今の自分にぴったりな内容だった。
ちょっとエリートなサラリーマンと20も年下のファッションモデルとの関係から始まるので、一体丸谷才一はなにをしかけてくるのかと思ったら、わけアリな姻戚がやってくるところから、俄然面白くなってきた。その後は大小さまざまの反乱が悲喜劇として盛り込まれ、一気に読ませてくれる。
小さな反乱に心浮き立たせるが社会の体制側にいる主人公を介していろんな反体制を見せてくれる作品。
たった一人の反乱 (講談社文芸文庫)
たった一人の反乱 (講談社文芸文庫)丸谷 才一

講談社 1997-03
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おすすめ平均 star
star理路整然としたドタバタ喜劇
star『裏声』よりもこちら
starマルヤ! と掛け声を。

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タグ:社会生活
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2009年03月11日

虚空の眼 フィリップ・K・ディック

ディックの小説は前に2〜3ほど読んだことがあるが、どれもちょっとニヒルで悲哀を感じる雰囲気のものだった。
しかしながら、この作品はドタバタで喜劇的である。飛ばされた先の奇怪な世界や元の世界へ戻ろうと奮闘する主人公ハミルトンらがとても滑稽に描かれているのだ。
この小説を読んだあとでは自分も真っ当ではなく、どこか狂ってる、いや、ある意味狂ってない人間などいやしないのではないかと思えてくる。
しかしながら、人間がみなある意味狂ってるとはいえ、一番性質が悪いのはそれを自覚してないことなのではないだろうか。
もっといえば、自分が一番正しいと信じること、これが一番危ない。
自分は間違ってると自虐的になる必要はないが、少なくとも自分が正しいとは限らないという自覚は持っておいたほうがよさそうだ。
虚空の眼 (創元推理文庫)
虚空の眼 (創元推理文庫)大滝 啓裕

東京創元社 1991-06
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おすすめ平均 star
starブラック・ユーモアに満ちた佳作
star現代にも生きる風刺
starん〜、(+_+)

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タグ:SF
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2009年03月10日

室町お伽草紙 山田風太郎

若き日の秀吉、信長、謙信、信玄、さらに千宗易や松永弾正まで登場して香具耶という足利将軍の姫を巡って争う娯楽小説。
怨念を持つ玉藻という女性が鉄砲と引き換えに香具耶を貰い受けたいという南蛮人の要求をこの戦国大名たちに提案して、足利の姫を奈落の底へ突き落とそうとする。ところが、この香具耶という女性は天真爛漫で好奇心強く、剣を習ってるなど気丈なところもあって、玉藻が魔性の女であれば、こちらは聖女といったところだ。この陰と光の女性2人が大の男たちを翻弄する様には恐れ入った。
玉藻は魔性の女だけど、そうなるには同情すべき理由もあり、香具耶の天真爛漫さも愚かさよりは姫としての気品からくるものであって、どちらも嫌な女性に見えない。
反面男性陣たちのドタバタぶり。
これ、ラブコメディみたいだよね。いや、そういう種類の漫画や本は読んだことがないので、イメージだけでいってるんだが。
装丁とかライトノベル風にしてみると若者にも受け入れられそうだと思うけど、どうなんでしょう?出版元の人。
室町お伽草紙
室町お伽草紙山田 風太郎

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2009年03月09日

イチロー語録

WBCで3月7日の韓国戦勝利の後、イチローのインタビューをテレビで見たのだが、受けてしまった。

―調子は? と質問する記者に対して、イチロー曰く
「調子はどうですか、って言われてダメですって言えないし、いいって言うのもおかしいし、それは察してよって世界だから、なんか、あの、『私のこと好き?』って聞かれてるのに近い感じがしてちょっと嫌だ」

大物ならではのコメントですなあ。
まあ、インタビューするほうももっと頭を使え、って思ったりもしたのですが。



この試合は14対2で日本の勝ち。イチローは3安打。
タグ:野球
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2009年03月07日

岩波少年文庫2冊

ホフマンとチャペック、一般の本では翻訳されてない作品が児童書では結構メジャーだったりする、そんな本を読む。

【長い長いお医者さんの話】カレル・チャペック 絵ヨゼフ・チャペック
童話9篇。
チャペックの童話は現代の職業とファンタジーに出てくるような生き物が融合している。郵便配達の精が出てきたり、お医者さんが魔法使いや妖精の治療をしたり、警察官がヒドラの卵を孵したりしてる。郵便配達の精には配達夫もちょっと驚いたが、お医者さんや警官に至っては職務遂行に忠実でその対象がどんなに珍しいものでも仕事が滞るということがないのは一種のイロニーであろうか。
だが思えば、この世の中というのは毅然とした職業人がいるからこそ秩序が保たれる。彼らが活躍するからこそ、ともすればふわふわ曖昧な雰囲気になりがちなファンタジーにしっかりと輪郭をつけてくれるのである。
それがチャペックの童話の面白さ。
長い長いお医者さんの話 (岩波少年文庫 (002))
長い長いお医者さんの話 (岩波少年文庫 (002))ヨセフ・チャペック Karel Capek 中野 好夫

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starチェコスロバキアは不思議の国!?

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【クルミわりとネズミの王さま】E.T.A.ホフマン
『くるみわり人形』といったほうが通りが良いだろう。
クリスマスのお菓子やおもちゃに囲まれた中にあった、頭の不恰好な人形を3兄弟の末っ子マリーがいたく気に入るのだが、それがクルミわり人形であった。
夜中にマリーが見た人形たちとネズミの戦い、そしてちょっと不気味なところのあるドロッセルマイアーおじさんの不思議なお話。
他人と共有できる外界ではないからといって自分の心の中に見えるものが存在しないといえるのだろうか?そもそも主観というものがなくなれば外界も自分にとっては存在しなくなる。
さらにホフマンの小説はこれを凌駕するくらいに外界が内界に添って話が進むので、気味が悪いが面白いくらいに内外の境界が曖昧になる。
ああ、でも確かにこの境地というのは子供の世界ではあるな。
クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)E.T.A. Hoffmann 上田 真而子

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タグ:児童書
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2009年03月05日

戦国武将とか歴史上人物とか

なに、単に読んだ本の覚書。図書館で借りたのでまたしても重版未定本であります。

【実説武侠伝】海音寺潮五郎
歴史上の人物や物についての著者のうんちく本。
正宗や村正についての文章は面白かった。結局妖刀村正とかいうけど、徳川の領地近くで作られてたのが村正なので、当然その刀をもつ三河武士も多いだろうから、確率の問題だっていうことらしい(岩崎航介氏が著者に説明して曰く)
迷信というのはそんなところから始まるのだね。
個人的なことだが、この本にアイヒマンと沢野忠庵について語った文章がある。山風の『外道忍法帖』を読んだのちだったために、沢野忠庵という名前を見ると妙に笑いそうになってしまう。山風酷いといえば酷いな。
実説武侠伝 (文春文庫)
実説武侠伝 (文春文庫)海音寺 潮五郎

文藝春秋 1992-04
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おすすめ平均 star
star海音寺歴史随筆集。以上。

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【戦国武将のひとこと】鳴瀬速夫
リーマンあるいは経営者向けに特化したライフハック本みたいな内容です。
戦国武将が残した言葉に著者がその背景を説明し、会社組織にあるいは当てはめてみるというありがちな体裁。
俗っぽい啓発がたまらない。例えば鼻毛を伸ばして周りを油断させる前田利常とか侮れませんよ。
ところで、この著者の著書リストに『となりの信長とつきあう法』というタイトルが気になる本があるんだけど、古い本なので検索しても内容がわからん。ちょっと気になるぅ。
戦国武将のひとこと (丸善ライブラリー)
戦国武将のひとこと (丸善ライブラリー)鳴瀬 速夫

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タグ:歴史
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2009年03月03日

地の果ての獄(山田風太郎明治小説全集五、六)

明治19年秋、一人の若者が北海道の監獄へ看守として赴いた。
後年「愛の天獄」と呼ばれるようになる有馬四郎助を主人公として、凶悪犯が送られる監獄のことを描いた作品。
実を言えば、この作品を読みながらしきりに浮かび上がってくることがあった。
それは村上春樹がエルサレム賞を受賞したときにスピーチしたシステムとしての壁と一人ひとり弱い人間としての卵の比喩のことである。
耶蘇教の教誨師である原胤昭が四郎助に、罰は与えてもいいがその前に彼らの話に耳を傾けてほしい、と頼むところがある。
システムとしての監獄は彼らを容赦しないが、システム側にいる人間が凶悪犯といえども一人の人間として見えてきたとき、その関係はどうなるだろう?
それが、この小説の中身であり、おかしなことだが、村上春樹のいう「(作家として)どんなに間違っていようともたまごの側に立つ」という言葉がふっと浮かんできたのだ。
システム側の権力をおおいに利用してのさばる輩には痛快な仕置きが描かれているのが楽しい。
もちろん、虐げられてるほうも酷い目にあうのだが、そのあたりは山田風太郎らしい。

下巻には他に短篇5つ掲載。
『斬奸状は馬車に乗って』『東京南町奉行』『首の座』『切腹禁止令』『おれは不知火』
地の果ての獄〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈5〉 (ちくま文庫)
地の果ての獄〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈5〉 (ちくま文庫)山田 風太郎

筑摩書房 1997-07
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おすすめ平均 star
star波乱万丈監獄悲喜劇
star英雄とは何ぞや

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地の果ての獄〈下〉―山田風太郎明治小説全集〈6〉 (ちくま文庫)
地の果ての獄〈下〉―山田風太郎明治小説全集〈6〉 (ちくま文庫)山田 風太郎

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ああ。やってしまった。
村上春樹のスピーチに踊ってしまった(笑)
参考リンク
http://s02.megalodon.jp/2009-0303-1415-08/www.47news.jp/47topics/e/93925.php
タグ:明治
posted by てけすた at 13:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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