2009年01月29日

吾輩は猫である 夏目漱石

実は漱石の本をあまり読んでない。最初に読んだ「こころ」がどうしてもなじめず、文豪と言われてるが、その実こんなセンチメンタルな内容の文章なんだろうか、と危ぶんで読まなかったせいだ。
その後、新聞で「坊ちゃん」を連載してるのを読む。「こころ」よりは面白かった。だからといってじゃあ他のも読みましょうか、という気持ちにならなくて、また年月がたつ。
今回「吾輩は猫である」を読もう、と思い立ったのは立ち寄った本屋で見つけた角川文庫がその厚さの割りに値段が安かったからだ、ということにつきる。
ワンコイン(500円)以下でこんな分厚い本(2センチ)を買えるなんてお得お得、それに「坊ちゃん」はまずまず面白かったからそのくらい面白ければ儲け物、という気分で「ガラスの仮面43巻」とともに購入したのであった。
さて、前置きが長くなったが、感想はというと「坊ちゃん」よりは面白かった。
猫が語るからこそ嫌味な感じがせずに社会批判を楽しめる、ということと、苦沙弥先生の偏屈、その癖人の言うことがいちいち気になる、という性格描写のおかしさ、これを猫がこき下ろすという仕立てになってるため、先生の毒舌でも嫌味を感じず、笑いながら読むということが可能なのである。
そして、凄いなと思ったのは、西洋から影響された“個人”とか“自我”という概念に対しての問題点を描写しているところだ。
その意味でこの作品の内容は古いと感じさせない。100年後の現在ですらこの問題はまだまだ改善されていないのだ。
厭世観もこういうかたちだと読みやすいのだが、後年の作品はどうも暗そうな感じらしいので、読めないかもしれない。
でも、気が向いたらまた別の作品を読むかも。
吾輩は猫である (角川文庫)
吾輩は猫である (角川文庫)夏目 漱石

角川書店 1962-09
売り上げランキング : 15175

おすすめ平均 star
starおもしろい
star二度目がおもしろい

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:風刺 文豪
posted by てけすた at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 明治 | 更新情報をチェックする

2009年01月28日

ガラスの仮面 43巻

4年ぶりに出ましたね。1月26日発売ですが、私は昨日やっと読みました。
自分でも書いたことを覚えてない42巻の記事を読み返してみると新巻が出るのに6年かかってるということだったので、今回はそれより早いですね(笑)
さて、前の巻では話が進まなくてイライラさせられましたが、43巻は2人の紅天女に対する考え方がまた改めて描写されてて、進んだといえば、進んでるし、前々からの話からちっとも進んでない、といえば進んでない。
個人的にはこの展開でまた紫織さんは病気になってしまうのでしょうか?それとも、婚約者という強みに立ってるのでそうはならずに違う態度をとるのか、興味はつきませぬ。
月影先生もお元気そうでなにより。
しかし、次の巻は今度いつ?
もうね、今後のあらすじとラストだけ知りたい、という心境ですな。
ガラスの仮面 43 (43) (花とゆめCOMICS)
ガラスの仮面 43 (43) (花とゆめCOMICS)美内 すずえ

白泉社 2009-01
売り上げランキング :

おすすめ平均 star
starああ!
star永遠に出ないんじゃないかと思った(笑)
starネームをくれ!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:漫画
posted by てけすた at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (漫画絵本など) | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

戦争と平和 レフ・トルストイ

19世紀初頭、ナポレオン率いるフランス軍がロシアに攻め入らんとしていた時代の、ロシア貴族社会と露仏戦争を細密に描いた一大巨編。当時誰もが注目せずにはいられなかったナポレオンの印象をいろんな登場人物のもつ感想によって、ロシアの人々が彼をどう見たのかということや、ロシア社交界の人間模様、戦争体験の描写など、舐めるように描写されていて、深読みなどということをしなくても、あの人物はこんな風に考えていてこんな行動をとる、ということがすんなり理解できる点で、著者の表現力は凄いものだなどと思っていたところ、最後にある付録での『あとがき「戦争と平和」についての数言』というところでこの作品は長篇小説でも叙事詩でも歴史的記録でもなく、ただ、著者がそう表現されてるような形式に表現することをのぞんで、表現したものだ、と表明してしまっている。
では、これは一体なんなのか?露仏戦争に舞台を借りた作者の内的独白なのか?
そう考えると、登場人物の細かな心理描写は人間観察の結果ではなく、トルストイ自身のやむにやまれぬ内的必要性から生じたものかもしれない、などと思ってしまう。
アンドレイ公爵とピエールは現実における幻滅感をどこかで感じているという点で共通しているが、前者はむしろより厳しい環境、戦争へ行くことでそれを払いのけようとし、後者は幻滅を感じながらも真理を夢想しながら、その日その日に流されていくように生活している。
この2人の登場人物とトルストイの生涯を少し比較しても、その思いはますます強くなる。
作者と作品を同じだと考えることは間違う元だし、作者が演技者として小説を書いてる場合もあるので、一般には分けて考えたほうが無難ではあるけれども。

著者は権力の本質や、自由と必然の関係について言及している。
権力については彼の命令が多数に影響をすればするほど、彼は真の意味で他人に従属することになる、というのは以前読んだガルシア=マルケスの『族長の秋』で私も漠然と感じていたことであり、ああ、言葉にすればそういうことなのだ、と腑に落ちた。
河出世界文学全集 (13)
河出世界文学全集 (13)中村 白葉

河出書房新社 1989-09
売り上げランキング : 1317068


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

河出世界文学全集 (14)
河出世界文学全集 (14)中村 白葉

河出書房新社 1989-09
売り上げランキング : 1285318


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:古典
posted by てけすた at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2009年01月22日

死言状 山田風太郎

私の好みとしてエッセイ随筆関係は女性のほうが面白いのだが、男性でも面白いなあ、と思う文を書く人は幾人かいる。
山田風太郎さんもその一人。
今回読んだ『死言状』では作者不明の傑作俳句の紹介をしていた。思い出すと著者も笑わずにはいられないというこの句、一目見て私も笑ってしまった。
“病人の氷枕やヒヤシンス”
どうしてこういう面白すぎるのを見つけてくるのか、尊敬してしまう。
死言状〔文庫版〕 (小学館文庫)
死言状〔文庫版〕 (小学館文庫)山田 風太郎

小学館 2005-11-05
売り上げランキング : 33038

おすすめ平均 star
star現代でいうブログです

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:エッセイ
posted by てけすた at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎 | 更新情報をチェックする

2009年01月19日

テオフィリン系を考える。

以前テオフィリンで副作用が出たことの記事を書いた。(副作用でどっきり
あれから少し考えてみたのだが、専門医で診てもらって喘息だと診断される前に呼吸が苦しくなってゼイゼイしたとき、近所の病院でテオフィリン系の薬を処方されてたんだよな。で、そのときは特になんともなくて楽になったという記憶がある。
しかるに、去年だされたテオフィリン系で激しく副作用が出てしまったのはなぜか?
ひとつには薬の種類が違うということもあるだろうが、喫煙で血中濃度が左右されることを検索してて知った。
喫煙してると濃度が上がりにくくなるのだそうである。
となると、喘息と診断される前は苦しくても喫煙してたが、診断されたあとはきっぱり禁煙している。あとは加齢ということを除けば条件はほとんど変わってない。
どうもタバコが以前と去年の違いの鍵を握ってそうだ、っていうか、自分の中ではほぼそうに違いないと思い込みにまで発展してる。
喘息の治療にはいろいろあるが、テオフィリン服用で喫煙者はうかつに禁煙すると副作用がでるな。
自分の経験からすれば、禁煙することに越したことはないが、身体のバランスが変わるので他の薬にしても、服用者は注意したほうがいいかも。
タグ:喘息
posted by てけすた at 13:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 病弱日記(喘息とか) | 更新情報をチェックする

2009年01月16日

イーリアス ホメーロス

オデュッセイア』を読んだからには『イーリアス』も、ということで今回は筑摩世界文学大系(1971年)の『ホメーロス』を借りてきた。ちなみにこの本は両方とも収録されている。
筑摩世界文学大系 (2)
筑摩世界文学大系 (2)呉 茂一 高津 春繁

筑摩書房 1971-05
売り上げランキング : 651910


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

さて、『イーリアス』。
トロイア戦争において、アカイア(ギリシア)方の頭領アガメムノーンとアキレス腱の命名の元となるアキレウスの不和のためアカイア方が窮地に陥る。
延々と合戦場面の描写が続き、やれ頸をついただの、黒い血が流れ出しただの、そういうのが実況のように続く。神の血を引く英雄が次々と倒れてゆくのに圧倒され、神々もまたそれぞれの思惑からそれぞれの陣営に味方する。
かなり血腥い叙事詩ではあるが、この詩の主人公はアキレウスで、その頑なさと彼の母親の盲愛ぶりがアカイアピンチの原因なのだ。
神の血を引くとはいえ、やがて死ぬ身であるアキレウス。しかも彼は自分の死期をおぼろげながらも知っているせいなのか、かなり残忍な面も見せる。
こういう叙事詩を読んでると運命と自分の意思の兼ね合いというのはどこらへんにあるんだろうなあ、などと思う。
『オデュッセイア』とはまた違う、乾いた残酷性になぜか目を離すことができない。
血気盛んな人間ならば血湧き肉踊るような殺戮叙事詩。しかし、それだけではない、人生の主導権にすら人間は限界があることを同時に描いている。
それにしても、戦さにおいてトロイア方につく神々がアプロディーデーだのアポローンだのは、アカイア方のアテーネーやヘーレーに比べるとなんだか頼りない。これは負けてもしょうがないかも。

(平凡社ライブラリーが同じ訳者なので貼っておく)
イーリアス (上) (平凡社ライブラリー)
イーリアス (上) (平凡社ライブラリー)呉 茂一

平凡社 2003-07-10
売り上げランキング : 299849

おすすめ平均 star
star呉訳、最高!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

イーリアス〈下〉 (平凡社ライブラリー)
イーリアス〈下〉 (平凡社ライブラリー)Homeros 呉 茂一

平凡社 2003-08
売り上げランキング : 298264


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


posted by てけすた at 13:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2009年01月13日

室町少年倶楽部 山田風太郎

中世、室町時代とは実はとても摩訶不思議な時代なのではないだろうかと思う。
江戸時代に書かれた伝奇的物語にはその時代が舞台になってることが多いし、網野善彦氏の著書などを読んでいてもその多様性には興味を引く事柄が多い。
さて、『室町少年倶楽部』である。
この本は足利義教のことを書いた「室町の大予言」と義政や日野富子らの子供時代から大人へなってからのことを書いた表題「室町少年倶楽部」の2篇が載っている。
「室町の大予言」はちょっと『柳生十兵衛死す』と着想が似ていて、後年有名になる事件と同じようなことが義教に起こる、という話。これは嘘か真か判然としないけど、歴史に残ってる事実ではあるので、相変わらずの奇想に感心する。
「室町少年倶楽部」はなんとも苦い思いになるなあ。子供時代はまさに黄金時代なのである。そして後年の義政のいうことは共感できないわけでもないけど、いや、浮世は憂世、こういう人がトップだと確かに亡国ではあるな。
室町少年倶楽部 (文春文庫)
室町少年倶楽部 (文春文庫)山田 風太郎

文藝春秋 1998-08
売り上げランキング : 362944

おすすめ平均 star
star小説の神様の手になる傑作!
star未だ覚めやらぬ鈍い衝撃の中で

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by てけすた at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎 | 更新情報をチェックする

2009年01月12日

網野さんの歴史観と百合若大臣

『日本の歴史をよみなおす』網野善彦著 ちくま学芸文庫
以前、『日本社会の歴史』(岩波新書)
を読んで、なかなか面白かったので、書店でちくま文庫のこの本を見つけたときに購入。
日本社会が農民ばかりだという一般的な考えを覆すような話がわかりやすく説明されていて、とても読みやすいな、と思っていたら、あとがきで、この本は若い人向けに筑摩書房の社員を前に話した内容をまとめたものであるというようなことが書かれていて、なるほど、と納得した。
今まで知ってる歴史とはだいぶ違って、本来百姓とは農民を意味する言葉ではなかったことや、土地をもたない百姓が必ずしも貧しい農民ではなく、廻船で生計を立ててたりや職人などであった場合が多い、など、いろいろ盛りだくさんである。中でも飢饉の捉え方、実は食物の値段が高くなって手に入れることができなくなった非農民たちが苦しんだ、という部分には、はっとさせられた。本文の中でも例が引き出されてるが、太平洋戦争後の食糧難のときに闇米を買いにいったのは都市の人間ではなかったか?
必ずしも網野さんの説が正しいとは限らないが、公儀の農本主義という建前に惑わされてきた従来の歴史学者への批判もちらっとあり、思い込みというのは研究する上で気をつけなくてはならないものだな、と思った。
日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)網野 善彦

筑摩書房 2005-07-06
売り上げランキング : 4994

おすすめ平均 star
star目から鱗の歴史講義
star面白く思索の糧になるが、批判的に読むことも必要
star日本の、特に中世の歴史への見方が深まる一冊

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


『百合若大臣』たかしよいち・文/太田大八・絵 ポプラ社
先日『オデュッセイア』
を読んだのだが、その本の解説に百合若大臣という話が日本にもあってそれはホメーロスのこの話が伝播したという説もある、ということが書いてあった。浅学にしてその百合若大臣なるものの話を知らないため検索してみたところ九州地方の民話でもあり、幸若舞の題材にもなっていて、歌舞伎でも演じられることがあるとかで大変有名らしい。
ちょっと読みたいなと思ったのだが、幸若舞の解説本だと話の筋がよくわからんな、と思い、絵本を借りてきた。
身分が高いこと、蒙古軍との闘いに出ること、孤島へ置き去りにされること、彼以外の人は引けないような強弓をもっていること、北の方に言い寄るような人間がいるが、最後に主人公は故郷へ帰ってきてみごと復讐を果たすこと、など、テレマコスこそいないが、ほんとによく似ている。
偶然の一致である、という説もあるが、網野さんの本を読んだ後だと、日本社会は思った以上に大陸との交流が盛んであったことから、伝播説を支持したくなるね。
百合若大臣 (日本の物語絵本)
百合若大臣 (日本の物語絵本)たかし よいち

ポプラ社 2004-08
売り上げランキング : 680834


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by てけすた at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説以外の著書 | 更新情報をチェックする

2009年01月11日

ある医療関係者の思い

いろいろ検索していると、 北海道大学保健管理センターの会報のようなものに出くわした。そこの理事・事務局長さんが「喘息と花粉症」というタイトルで文章を載せている。
http://www.hokudai.ac.jp/hokekan/hokekandayori/h-d55.htm
この文章の中で出てくる、シドニー・ブレナー博士によれば、病気の治療研究というものは死に至る病が優先され、とりあえず症状が抑えられるような喘息の根治研究は後回しになるのだといっているのにはがっかりした。
製薬会社の思惑が働いて、根治への動機付けがないためというのにはため息がでるなあ。
これはアメリカの話だが、日本もそう変わらないのだろうな。
製薬会社に関してはいろいろ批判本もたくさん出ているが、薬で楽になるという事実を身をもって体験している自分としてはそういう本はたくさんある事例の一部として見ていたのだが、こういう話を医療関係者が書くと、なんとなく同調して批判したくなって来る心地がする。
まあ、責められるのは製薬会社ばかりではないのだろうけど、儲かるものはそのまま、という資本主義の欠点をみたよう。
この文章はもう4年も前のものだが、今でも現状は同じなのだろうか?
ほんとに、早いところ根治する方法見つけて欲しいところだね。
タグ:喘息
posted by てけすた at 13:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 病弱日記(喘息とか) | 更新情報をチェックする

2009年01月10日

オデュッセイア ホメーロス

ギリシアの叙事詩、というとなんとなくとっつきにくそうな感があるのだが、以前「ユリシーズ」を読んだので、思い切って読んでみたところ、案に相違して非常に娯楽的要素の強い内容だった。
なんといっても、悪い奴らがいて、それに苦しんでる人がいて、一方、その苦しんでる人の世帯主は苦難に苦難の放浪を余儀なくされるが、最後はまるで典型的時代劇のようなカタルシスの得られる結末、とくれば読んでて楽しい。
悪は本当に悪なのか、などというややこやしい文学にこころを煩わせることなく、善悪や宿業はオリュンポスの神々が決めることで人はその運命を受け入れて耐えて生きること、という人生観を読むのは意外にもそんなに嫌なことでないという自分を見つけて、へえ、なんて一人で感心していた。
結局、なにがとっつきにくいかというと、ギリシア神話の基本的知識がないと名前が出てきても誰が誰だかさっぱり、というところ。一応主だった人物、神の紹介はあるけど、私も子供の頃読んだ星座の話の知識がなかったら、もっと読みにくかったに違いない。
ところで、「魚類のたくさんいる海」などという表現がところどころに出てくるのを私は不思議に思っていた。海には魚がたくさんいるのは常識だろう、と。おそらく日本人であればそう考えると想像するが、この叙事詩を読んでるときに、新聞のエッセイにその謎を解くような話が載った。そのエッセイは中近東を旅した人がその周辺の習俗など、体験したことを書いているのだが、その中で地中海は魚の少ない海であること、一方、トルコやモロッコでは海産物を他の周辺諸国よりは食べること、などから、「魚類のたくさんいる海」イコール、故郷からは遠い海、ということなのだな、と了解した。
ちなみに、トロイアは今のトルコあたりにあった。
私が読んだ本は集英社の世界文学全集のものだが、
世界文学全集〈1〉ホメーロス (1979年) オデュッセイア
世界文学全集〈1〉ホメーロス (1979年) オデュッセイア
集英社 1979-04
売り上げランキング : 1096369


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


岩波文庫から上下巻が出ている。
ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)
ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)松平 千秋

岩波書店 1994-09
売り上げランキング : 12331

おすすめ平均 star
starなぜペネロペイアの求婚者たちはオデュッセイアの家産にたかるのか?
star「ユリシーズ」の下敷き
star文庫版で読めるのは幸せ。単なる読み物としても面白い。さすが3000年の重み。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫)
ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫)松平 千秋

岩波書店 1994-09
売り上げランキング : 12492

おすすめ平均 star
starなぜペネロペイアの求婚者たちはオデュッセイアの家産にたかるのか?
star「ユリシーズ」の下敷き
star文庫版で読めるのは幸せ。単なる読み物としても面白い。さすが3000年の重み。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


posted by てけすた at 13:31| Comment(0) | TrackBack(2) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする

2009年01月08日

山田風太郎&宮部みゆき

いや、コラボではない。面白かったが、長い感想が浮かばず、2冊時代物ということで、読書メモ。

『忍法関ヶ原』山田風太郎著
表題他3篇。
伊賀と甲賀の忍法合戦。ちょっとギャグみたいなエロスが入ってるのになぜか下品にならないという、山田風太郎の作風は実に摩訶不思議。
一番最後にある「忍法小塚ッ原」では人は頭(きっと精神のことだろう)が主体か身体が主体か、という永遠の謎をテーマにしている。
話の流れがなかなか哲学的で面白かった。
忍法関ヶ原 (文春文庫)
忍法関ヶ原 (文春文庫)山田 風太郎

文藝春秋 1989-09
売り上げランキング : 1135558


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


『幻色江戸ごよみ』宮部みゆき著
12の短篇集。12ヶ月という季節にそった題材が選ばれている。
一見怪異のような出来事の裏にある事実は人間の心理状態によってだまされてしまう。
本当はどうなのか作中人物たちは見えてないが、読者には明かされている部分もあり、真実がどうこうというより、どういう解決が一番丸くおさまるのか、ということを考えさせられる。
宮部みゆきの著作はどこか人との信頼というものに希望をあたえてくれる。
幻色江戸ごよみ (新潮文庫)
幻色江戸ごよみ (新潮文庫)宮部 みゆき

新潮社 1998-08
売り上げランキング : 44026

おすすめ平均 star
star期待通り☆☆☆☆☆
star優れた短編集でした。
star江戸の人たちのやるせない話

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


タグ:時代物
posted by てけすた at 13:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 山田風太郎 | 更新情報をチェックする

2009年01月06日

新美南吉童話集 新美南吉

新美南吉といえば「ごんぎつね」や「手袋を買いに」が有名な童話作家である。
そこはかとない悲しみに包まれた「ごんぎつね」と何かほのぼのとする「手袋を買いに」という2つの傾向は著者のほかの作品にも同じ傾向が見られるものだなあ、と思った。
生きるということに伴う悲しみと人間への懐疑、そして物言わぬ自然界への畏敬の念。
悲しみだけを強調するのではなく、動物たちや善男善女のユーモラスな姿もともに描かれているところに好感が持てる。
が、私が少々肌のあわ立つ想いがしたエッセイ風の話がある。
「花をうめる」というその作品は彼の幼い頃の遊びと初恋の話を掛けてあるのだが、その遊びというのが実にロマンチックなのだなあ。
鬼以外の人が地面に穴を掘ってそこに花を飾り立て、上からガラスをかぶせた後にその上を土で覆い、鬼はそのガラスで覆われた花の飾りを探す、という遊び。
それを当時、ほのかに想いを寄せてた女の子ともう一人男の子との3人で遊んだときのことを描いているのだが、それがもう切なくてなあ。
なんともこの感性には泣かされそうになるが、それが著者の長所なのだろうと思う。
長生きしていたらどんな童話が生まれていたのか、惜しまれる人である。
新美南吉童話集 (ハルキ文庫)
新美南吉童話集 (ハルキ文庫)新美 南吉

角川春樹事務所 2006-11
売り上げランキング : 107828


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ちなみに青空文庫もあるので、そちらもリンク貼っておきます。
作家別作品リスト:No.121:新美南吉
タグ:童話
posted by てけすた at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説 | 更新情報をチェックする

2009年01月02日

聖家族 古川日出男

うーんと、ちょっと微妙な感じです。
東北を舞台にした血縁についてや伝奇的要素のある物語というのはなかなか興味を引くものでありまして、実際家系に関する物語はとても面白く読めたのです。しかし、これはもう好みの問題といってもいいかもしれませんが、兄弟の暴力的彷徨のくだりや兄弟の親が登場するところなどにはちょっと疲れました。今のところ私にとって現代を舞台にした話というものは何か仕掛けがあったりしないと面白く読めないような偏屈な性格になってるのかもしれません。

あと、これは著者の責任ではありませんが、帯にこんな一文、
何か途轍もない―形容しがたい異様な小説を読んでいるとあなたは思うだろう

が書かれていまして、この作品を否定する意図はないですが、実のところ「ユリシーズ」をへとへとになって読み終わったばかりの私としてはそうは思わず、こういう人の気持ちを断言するような宣伝文は下手をすると逆効果になりかねないのでは、などと余計なお世話な心配をするのでありました。

もっと日を改めて読んだほうか良かったかも。正月なので欲張りすぎた。
聖家族
聖家族古川 日出男

集英社 2008-09
売り上げランキング : 9357

おすすめ平均 star
starハイブリッド・メディアミックス・東北クロニクル
star夥しい数の謎を。発見すっぺ?
star圧倒されます

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:読後メモ
posted by てけすた at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 (国内) 小説 | 更新情報をチェックする

2009年01月01日

ユリシーズ(1~4) ジェイムス・ジョイス

1904年6月16日の朝から翌日の早朝までおよそ20時間の出来事を
ダブリンと言う街、レオポルド・ブルームという主人公、及びスティーブンという若き青年を中心に描いた作品、というのはあまりにも有名。
解説は後から読む主義なので、まずは本文を読んだ。
読んだのは1980年出版の河出世界文学大系という全集に載ってたもの。
翻訳者は丸谷才一、永川怜治、高松雄一の3氏。
いやいや、ジョイスという作家は言葉の異能者だな。
注釈がたくさんついてるのだが、洒落、地口、古典からの引用、当時の社会情勢、聖書、ヨーロッパ文化に関してのものなど、わからなければその意味や面白さがわからないものが多い。
いつもは訳注などあまり読んでないのだが、この作品についてはかなり参考にさせてもらった。
英語ができて原書が読めたならどんなにか面白いだろう、ついでにそれら訳注の知識も持ち合わせていればもういうことはない、
と思った海外文学はこれが初めてである。
読者より翻訳者泣かせだろうなあ。
もっとも、言葉遊びが面白いといって内容が素晴らしいものとは限らないが、ユリシーズはその膨大な素養を駆使して、珍妙な論を展開したり、世間で言われる“下品”とされること、日本語でいうところの“穢れ”に属するような言葉をなんの衒いもなく、登場人物の内的独白やら、酒場の酔っ払いやら、幻想シーンに使う凄さを持ち合わせている。
喜劇的であるのだ。
文学には著者の思想やメッセージが込められていることも多いが、もし、ユリシーズにそれを見出そうとするならば、それは言葉という名の生き物、(それは以前筒井康隆氏が言葉狩りのことに言及していたのを思い出しての連想なんだが)、その表現を試みたかったのではあるまいかと想像したのだ。
これはまた再読したいものだと思い、現在は文庫本があったので、そちらを購入して、借りてきた全集の解説と、文庫本の解説とを一気に読んだが、これが「オデッセイア」のパロディということ、各挿話はいろんな文体のパスティーシュやパロディ、であること、影響された作家にエリオットやフォークナー、あの『百年の孤独』もユリシーズの影響を受けていることなど、いろいろ参考になった。
ヴァージニア・ウルフはこの作品に敵意を抱いたそうであるが、おそらく彼女の作品は上品だから?と邪推してみた(笑)
丸谷才一氏が担当した14挿話『太陽神の牛』の翻訳はなかなか秀逸。
学者で作家でなければできない翻訳だろうと感じた。
原書では英語文体史の模倣とパロディで古代から現代話し言葉へと流れてゆくように書かれているそうなのであるが、丸谷氏はこれを『古事記』から谷崎潤一郎の模倣までという、日本文体史のパスティーシュへと置き換えた。

文庫本では、各挿話の始めに簡単な解説が載せてあって親切である。
文体が読みにくくて、というときにはここを読めばおおよそのあらすじをつかめるのでよいかもしれない。
ユリシーズ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ユリシーズ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)James Augustine Aloysius Joyce 丸谷 才一 高松 雄一

集英社 2003-09
売り上げランキング : 28846

おすすめ平均 star
stara day in the life
star20世紀の金字塔文学のカラクリ
starジョイスのおもしろさは日本人にはわからなくて普通

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ユリシーズ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ユリシーズ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)James Augustine Aloysius Joyce 丸谷 才一 高松 雄一

集英社 2003-09
売り上げランキング : 38867

おすすめ平均 star
stara day in the life
star20世紀の金字塔文学のカラクリ
starジョイスのおもしろさは日本人にはわからなくて普通

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ユリシーズ〈3〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ユリシーズ〈3〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)James Augustine Aloysius Joyce 丸谷 才一 高松 雄一

集英社 2003-12
売り上げランキング : 39881

おすすめ平均 star
star日本語がわからない第三巻
starかなりの難関。だけど、攻略し甲斐がある。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ユリシーズ〈4〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ユリシーズ〈4〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)James Augustine Aloysius Joyce 丸谷 才一 高松 雄一

集英社 2003-12
売り上げランキング : 40049

おすすめ平均 star
star最終章は女の独白にて終わる
star男性によって描かれた女の性欲

Amazonで詳しく見る
by G-Tools




タグ:文学
posted by てけすた at 14:05| Comment(0) | TrackBack(1) | 本 (翻訳もの) | 更新情報をチェックする