2008年05月16日

市塵(上)(下) 藤沢周平

新井白石は儒者で、家宣に仕え、綱吉時代に乱れた政治を立て直そうと奔走する。
譜代大名に代表される抵抗勢力と格闘しつつ通貨改革や外交についてなど家宣の信頼を受け、断行する。
背後には政治に対する野心と自分の学識に自負がある。
市井の儒者から政治の中枢にまで上り詰めた白石は、その博識さを聖人という世間から遠ざかったようなあり方ではなく、現実に役立てようとしていた。それが野心として現れてるのかもしれない。林信篤との微妙な対立、朝鮮使節に自分と言う知識人がいるのだということを示そうとする場面や、シドッチという潜入してきたイタリア人への好奇心、などにそういった心持が描写されてる。
後世に名を残した白石といえども、家宣の死後はその境遇に変化が訪れる。
最後まで読んでみて、市塵というタイトルはなるほど、白石の心中を描写するのにぴったりとした言葉であるなあ、と思った。
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タグ:歴史小説
posted by てけすた at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする