小説はこの斎藤杢之助と莫逆の友中野求馬を中心とした佐賀藩の物語である。杢之助はずっと佐賀浪人で求馬はひたすら出世をせんがために働く。その出世したい理由というのが、また凄い。殿に箴言して死を賜るのが武士の本分なのだ、という父の言葉があり、それに反発しつつもやがてその言葉をいったときの父の笑い声がよみがえり、自分は今のままではあんな風に笑えないな、と感じ始めたのがきっかけなのである。
うーん、武士道というのは凄い思考回路であるなあ。クレイジーと叫びたくなるものわかるような気がする。
しかし、この鍋島武士たちが実に面白いのである。著者は「葉隠」をたいそう面白く読んだ、と最初の章で書いているが、なるほど、思想としてではなく人間像として捉えたとき、この命を惜しまない態度というのは実に痛快なのだ。
思想として他人にこの考えを強制するのはどうなんだ?と思うけど、この考えで行動している人間を描くという試みはその本質をよく見せてくれるのではないかと思う。
面白かった。これも未完であるのが残念。あとちょっとで完結だったのになあ。
でも、考えてみれば人生もそんなものかもしれない。
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「葉隠」の真骨頂を見せてくれます。
うらやましい


