2008年02月29日

意識と本質 井筒俊彦

事物の誤りない認識のために「定義」の絶対的必要性をソクラテスが強調していらい、思惟対象あるいは認識対象の「本質」をきわめるということが西洋哲学伝統の主流の一部となってる。それが「本質」論として主題的に取り上げられるかどうかは別として、「本質」の問題性は西洋哲学だけではなく、東洋哲学でも「本質」またはそれに類する概念が言語の意味機能と人間意識の階層的構造と聯関して著しく重要な役割を果たしている、と著者は言う。人間意識の様々に異なるありかたが「本質」というものをどのようなものとして捉えてるのか。
本居宣長の「もののあはれ」から禅、易、密教、イスラーム哲学、カッバーラなどなど、幅広い分野にわたり、その「本質」のとらえかたを分類し、論じている。
紹介されてる東洋思想そのものにあまり明るくない私でもそのエッセンスというものがわかりやすく書かれていて、面白い。
事物が分節されずに1つと認識される「ゼロ・ポイント」と著者が呼んでいる状態についての記述にビッグバン理論などたわいのない連想をしてしまったが、読む人が読めばいろんな着想が得られるのは想像に難くない。
この本は図書館から借りてきたのだが、1度だけでは読み込めないのであらたに本屋に注文を出して、購入する予定。
来るのが楽しみだな。
意識と本質―精神的東洋を索めて (岩波文庫)
意識と本質―精神的東洋を索めて (岩波文庫)井筒 俊彦

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star「神とは『宇宙のありかた』である」
starこれが形而上学の書です。
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2008年02月27日

クスリに関する雑感



「軽度・中度のうつ病患者に抗うつ剤は不要、英研究結果」というタイトルのニュースを見かける。
人間の精神状態というのも脳内物質に左右されてる以上、すべてを気合でコントロールすることなど叶わないだろうと思う。だから精神状態が芳しくなくて苦しければ薬を使うことに特に異論はない。
では、この記事に書かれてることに対しての反論なのか、というとそういうわけではない。
この間、睡眠薬や精神安定剤について検索してざっと閲覧していたのだが、気になったのは、その中に薬をやめた人のブログに、これは薬の離脱症状である、という書き込みを見かけたことである。その方はその苦しい症状を専門家の助けを借りて乗り切り、薬を止めることができたのであるが、これを読んで考え込んでしまった。
世間では、この種の薬を安易に止めると症状が再発するといわれてる。だが、実際は薬の離脱症状である人もいるのではないか、という疑念である。
もし、そういう場合も見受けられるのであれば、少々のことでは薬を処方してもらわないほうが却って良心的なのだろうか、とも思ったのである。
しかしなあ、引用記事にも書いてあったが、カウンセリングを使う治療方法は時間も手間もかかりすぎる。その点、薬は便利だ。

で、結論はでないのだが、いえることは医者は専門家ではあるが、万能ではないから患者のことがすべてわかるわけではない、という当たり前のことを認識しておく必要があるなあ。
もちろん、自分が絶対正しいわけでもないということも認識しておかなくてはならないが、まさかのときのセカンドオピニオン、大事かもしれん。
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2008年02月25日

三屋清左衛門残日録 藤沢周平

テレビドラマの超有名ご隠居は全国行脚で事件を解決していったが、こちらのご隠居さんは元用人で身近な人間の頼みごとなどを引き受けてるうちにいつの間にか藩の重大事に関わってしまうことになる。身近な事件一つ一つが短篇となっているが、その中に大きな事件の展開を描きこんでいく手法はこの著者の作品によくみられる。
藩の重大事に関わることになるとはいえ、若い主人公のように華々しい活躍をするものでもなく、むしろ1つ1つの短篇に描かれてる出来事から清左衛門が老いるということはどんなことなのか、そして昔気にかかっていたことに対しての清算したいといった感情、そういったことが丁寧に描かれていた。
超有名ご隠居さんの全国誅悪行脚もいいけれど、この作品の、老境に至り残された日々を過す、というイメージ、これもまた捨てがたい味わいである。
三屋清左衛門残日録 (文春文庫)
三屋清左衛門残日録 (文春文庫)藤沢 周平

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star老境を赤裸々に描いて新境地を開いた秀作
star30代で読んでみました
star『人生後半に読むべき本』の推薦本

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タグ:隠居 時代物
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2008年02月23日

ちょっとした疑問

喘息やアレルギー性鼻炎治療にはいろんなパターンの薬の使い方があるだろうが、今一般的なのはおそらく、抗アレルギー剤の飲み薬と吸入(点鼻)ステロイド剤といった感じではなかろうか。あと喘息では気管支拡張剤を使う、そんなところだろう。
いや、一般的といったがこりゃ私が処方されてる薬だということだけでそうでもないのかもしれない。
ところで、この抗アレルギー剤と局所ステロイド剤を組み合わせて治療を行い、ある程度改善されて薬を減らす場合、鼻炎と喘息では減らし方が異なるようなのだ。ようなのだ、と書いたのは鼻炎については私が実際減らされたわけではなくてネットでみた情報なんだけど、喘息の場合、良くなれば飲み薬である抗アレルギー剤が削られて、局所ステロイドでの治療となる。ところが、鼻炎ではステロイドが削られ抗アレルギー剤のほうが残されるとのことなのだ。
そうそう、逆から考えた場合なんだが、喘息ではまず吸入ステロイドが処方され、補助薬として抗アレルギー剤が処方されるが、鼻炎ではまず抗アレルギー剤、効かなければ補助薬としてステロイドという形になるとのこと。
同じアレルギー疾患でもどうして違うのかな、と不思議に思う。
いつか医者に聞いてみたいところだが、別に自分の症状に関してのことでもないので改まって聞くのもなんだし、第一、診察受けてるときはそんなこと忘れてるからな。
ま、些細なことなのかもしれないが。
タグ:鼻炎 喘息
posted by てけすた at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 喘息・禁煙日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月21日

声の網 星新一

通称メロンマンションは1Fが店舗になっており、2F〜12Fは居住区となってる。そのマンションに起こった奇妙な電話に関する12の短篇集。またこれはその短篇の一つ一つが「声の網」という小説の章のような構成にもなってる。
星新一はショートショートに代表される寓話的なSFを次々と生み出してきた作家である。この「声の網」も30年以上前にも書かれた作品でありながら、やはり現在でも通用するような社会の姿を鋭くついている。この作品でいえば個人のいろんな情報が集まり、また個人へ流れていくという形が今のインターネットを彷彿させる。そのことだけでも予言的だなあ、と思うのだが、さらに著者はその先に本領を発揮するような結末を用意している。全くのディストピアではないけれども、ユートピアといえるのか、これは?といった感じだ。
声の網 (角川文庫)
声の網 (角川文庫)星 新一

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starぜひ読んでみてください
star30年以上前の作品が復刊。
star12人の人に対する短編集

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タグ:SF
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2008年02月19日

密謀(上)(下) 藤沢周平

東国の雄、上杉に仕える直江兼続は智謀の将として聞こえる人物である。世は秀吉が全国統一を為しつつある時代であった。上杉は謙信以来の誇りを持って領地を治めようとはしていたのだが、秀吉は景勝に上洛を求めてくる。
戦国大名として国を治める視点ではなく、より大きな権力が生まれつつあるときに、その権力といかに渡り合って自分の国を守ってゆくか、ということに主眼が置かれている。それは同時に、第三者から見た秀吉、家康という権力者の姿を映し出すことになった。この視点は藤沢周平の時代物によく出てくる武士の立場とだぶる。
ここに描かれていた秀吉の成り上がり精神からくる権力顕示欲や家康の狡猾な面は他のテレビドラマや前に読んだことのある歴史小説などでもおなじみであるのだが、石田三成については兼続との交流が描かれていたせいか、政治的な興味が大きすぎるゆえ自らを飾ることを知らず、誤解されて孤立する人物という風に描かれており、今まで持っていた冷たいイメージとはまた違った印象をもった。このあたりは藤沢周平らしい描き方だと思う。
密謀 (上巻) (新潮文庫)
密謀 (上巻) (新潮文庫)藤沢 周平

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star関ヶ原 敗者の視点
star藤沢の描く戦国時代
star上巻の主人公

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密謀 (下) (新潮文庫 (ふ-11-13))
密謀 (下) (新潮文庫 (ふ-11-13))藤沢 周平

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star時代とは。

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タグ:歴史小説
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2008年02月18日

文章読本さん江 斎藤美奈子

文章読本と分類される本はあまりというか全然読んだことがない。別に物書きを目ざしてるわけでもなかったので興味がなかったのだ。
しかし、単なる文章指南書だと思ってた文章読本が実は文筆業界において「ワシの説」開示場であるという「はじめに」での指摘にその後展開される批評の中身を想像してわくわくしながら読みはじめた。
果たして、期待は裏切られず、文章読本の御三家と新御三家を選びその内容について吟味、また多種多数の本を読み込んで分析したところでは文章というものにヒエラルキーが存在してること、それが権威主義(商品としての文章と素人の文章)を軸にしてること、そういったバイアスが書き手の中に多く存在してることなどを鋭く批評している。
そして、そうなった原因はどの辺にあるのか、答えを求めて明治からの作文教育の歴史にまで言及する。
その歴史を書いた部分が実に面白い。文章はどう書くべきなのかということは時代によって変わり、書かれた文章読本もその時代に影響されずにはいられなかったのだ。従って、話をまた主な文章読本に戻し、なぜこのような主張を著者はしたのかという推測にまで話は及ぶ。
まあ、最後は尻つぼみな結論といえなくもないが、それよりも膨大な資料をこなしてそこから得られた考察が面白すぎなのでそのあたりを堪能するのがいいと思う。
文章読本さん江 (ちくま文庫 さ 13-4)
文章読本さん江 (ちくま文庫 さ 13-4)斎藤 美奈子

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star斎藤美奈子さん江。自ら文章読本を書いてみる気はありませんか?
star快著は快著だが:竜頭蛇尾プラス蛇尾

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タグ:評論
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2008年02月16日

ダンシング・ヴァニティと夢の木坂分岐点

この間、「ダンシング・ヴァニティ」の感想文を書いたのだが、その後拾い読みしながらどこかで見たような気がずっとしてたのだ。その「どこかで見たような」という中身が漠然としていてこれはどういうことなんだろうと、考えていた。
そして、はっと気が付いたのは
「これは『夢の木坂分岐点』の進化形態なんじゃないだろうか」ということだった。
『夢の木坂分岐点』は筒井康隆が1987年に出した作品である。これは一人のサラリーマンの夢と現実を交互に描写しているのだが、話が進むにつれて同じような場面に名前が少しづつ変わった主人公が登場し、やがてその境界が薄れてきて、読み手は主人公のすべてを含めた内世界そのものへと誘われてゆく小説である。
従って読み進めていくうちにだんだんと深い場所へ沈んでいくような感じになる、いわば意識の底への探求的な話だったのに対して、20年後に書かれた『ダンシング・ヴァニティ』では同じように反復する場面を描きながらも、それは意識へ浮かんでくるものを徹底的に捕捉しようとする、逆方向から追求した話なのだ。それゆえ、意識の流れをつかむことにおいてより明るく軽やかな表現となっている。
そのようなことに思い至ったときに、改めて20年という月日を越えて新しく描かれたものに懐かしいものを発見した心地になったのであった。

夢の木坂分岐点 (新潮文庫)
夢の木坂分岐点 (新潮文庫)筒井 康隆

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starもう終わりか
star書かれた時点での筒井文学の集大成
star饒筆体

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タグ:意識の流れ
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2008年02月14日

霧の果て―神谷玄次郎捕物控 藤沢周平

北の定町回り同心神谷玄次郎は町回りも3度に1度は休んだり、奉行所にも顔を出したり出さなかったりするので怠け同心と思われている。それでも仕事からはずされないのは事件に対しては鮮やかな手腕で解決させるからだ。
そんな神谷の手がけた捕物の連作短篇。これらの連作の中でさらに神谷の過去にあった許しがたい出来事についても筆は進められていく。
きちんと規則を守って勤めないために上役からも怒鳴られたりするけれども、事件を見事に解決する鮮やかな手腕に痛快さを覚える。
型にはまらないのはわけあってのことだと後々に説明がなされてくる。その理由を知ったとき、また神谷玄次郎という人物の影に触れ一層興味深くこの捕物話を読むことになった。
霧の果て―神谷玄次郎捕物控
霧の果て―神谷玄次郎捕物控藤沢 周平

文芸春秋 1985-06
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star藤沢周平の人間を見る目が真面目で好きだから

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タグ:捕物 時代物
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2008年02月13日

りかさん 梨木香歩

おばあちゃんからもらった「りかさん」という人形が架け橋となって家にある雛人形や、お友達の家にあるさまざまなお人形の声を聞くようこちゃんのお話。
お人形のほんとうの使命は生きている人間の強すぎる気持ちをとことん整理してあげることだという。いいお人形は感情の濁りの部分だけを吸い取ってくれるけれども、修練をつんでないものは持ち主の生気を吸い取りすぎてしまったり、濁りの部分だけ残して根性悪にしてしまったりする。
りかさんは正しく大事に扱われてきたので気立てが良いのだ、とは「りかさん」をくれたおばあちゃんの言葉。
人形であれ、他のものであれ、頼りすぎると失敗するけれども、大人もこうやって他の人間以外に話し相手になってくれるものについて関心をもつことは面白いんじゃないかと思った。
理屈抜きで読むと気持ちが落ち着いてくる。
りかさん
りかさん梨木 香歩

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starアクはいつだって少し悲しい。
starこの美しい物語を、児童文学などという枠でくくるなどとはなんと無意味なことであろう
starミステリー?

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タグ:人形
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2008年02月12日

暗殺の年輪 藤沢周平

藤沢周平の初期作品5編。いずれの作品も主人公になんらかの陰影があり、またその陰影が周りの出来事にも影響を与えて、少々重たい雰囲気がある。
しかしその中では「ただ一撃」という作品だけは結末はともかく話の内容は剣豪小説のような高揚感を楽しめる。
北斎の晩年を描いた「溟い海」は若い才能に嫉妬する姿と、自分の作品がもはや世間ではあまり評価されなくなったという孤独感が胸に迫る。この作品は著者がその当時の鬱々とした自分自身の心境を投影したということをエッセイで読んだ。
どういう事情で鬱々としていたのかは書かれていないが、作品から推察するに充実した仕事ができていないという思いがあったのであろうか。
表題にもなってる「暗殺の年輪」はかなり重い作品であった。自らの生い立ちが自分の知らないところで冷笑や蔑みの対象となってたという主人公のどうにもならない運命のようなものが描かれてる。
武士はつらいものだな、と感じた。
暗殺の年輪 (文春文庫 ふ 1-1)
暗殺の年輪 (文春文庫 ふ 1-1)藤沢 周平

文藝春秋 1978-01
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star渋い作品勢揃い
star感情移入できない
star絵はやっぱり怖いものだった

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タグ:時代物
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2008年02月11日

河合隼雄 3冊

河合先生の書き物ではよく現在社会の問題点は昔の制度や慣習に戻して解決するものではないということを強調している文章が出てくる。では、どのような解決策があるのかという段になるとアウトラインのような案は提示するものの、ずばっと解決策を御信託のように示さない。それを煮え切らないと思った時期もあったが、今ではそうやって読者にどうすればよいのだろう、と考えてもらおうと本の中で簡単なカウンセリングをやってるのではないかと思うようになった。
カウンセリングではカウンセラーは答えを出さない。答えを考えるのはクライエントなのだ。
もちろん、いつもいつも結論を出さないわけではない。自分がこうだと思うことについてはきっちりと基準を持っていて、それをきちんと書いている。
そんなことを考えつつ読んだ3冊は含蓄に富んだ文章ばかりであった。
「出会い」の不思議
「出会い」の不思議河合 隼雄

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star氏の総括版

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より道・わき道・散歩道
より道・わき道・散歩道河合 隼雄

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starお散歩、お散歩

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こころと人生
こころと人生河合 隼雄

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star楽しい講演
star内容の深い一冊

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タグ:こころ
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2008年02月09日

人より鯨

捕鯨問題では、なぜあんなにヒステリックに反対するのだろう、と一応日本人であるわたしはいつもそう思う。
鯨は絶滅の危機にある、ということは聞いたことがあるけれども、反対に捕鯨が抑制されてからは増加して海洋資源が食われているという話も聞くし、これは理由の一つとしてはちょっと弱い。
かと思えば、鯨は頭がいい、そんな鯨を殺すのは残酷だともいう。それはその反対する人の価値観であって、そんなものを押し付けられても困るのだ。
ということで、結局、これは差し迫った地球環境に付随する問題ではなくて、捕鯨反対活動はそれをやる人間の感情的な問題なんじゃないかと、いまさらのように推測してるのであるが、ヒステリックになって捕鯨船襲撃までしてしまうような人間はきっとそのことを自覚していないに違いない。
一転して、物事に敵を作り、攻撃するような人は自分の感情の問題を外部の問題に摩り替えてしまうことが多いのではないだろうかと思う。
ま、人のことはいえない。感情の一番の急所、つまりあらゆるコンプレックスはそこを刺激されると地雷を踏んだように爆発するからなあ。
敵を作って攻撃するのはその地雷を踏ませないよう自衛してるのだともいえる。
そういう意味では生きてる人間誰しも過激な運動家を心に住まわしているのかもしれない。
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2008年02月07日

麦屋町昼下がり 藤沢周平

助けを求められたからとはいえ上士を斬ってしまった、表題「麦屋町昼下がり」のほか、酒ばかり飲んで鍛錬をしていなかったため護衛役をしくじってしまった「三の丸広場下城どき」、親友の自死で藩に不穏な動きがあったことを知る「山姥橋夜五ツ」、小太刀の名手である妻が活躍する「榎屋敷宵の春月」の計4編。いずれも味わい深い内容を堪能できる。
どの作品もすっぱりと割り切った勧善懲悪でなく、個人の思惑がからんだ複雑な人間模様を描きながらも、不条理なままで終わらないのがよい。
現実の社会では不条理に思えるようなこともあるけれども、このような小説を読むと、すぐに決め付けて嘆くより、粘り強く事を進めていくことで希望も見えてくるのかもしれないと力づけられるのである。
麦屋町昼下がり (文春文庫)
藤沢 周平
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おすすめ度の平均: 5.0
5 珠玉の4作。特に「榎屋敷宵・・」のお内儀剣士は最高!
5 堪能の一冊
5 一挙に読ませる面白さと、読後の爽快感を持った本です
タグ:時代物
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2008年02月05日

海国記(上)(下) 服部真澄

平家は何ゆえに権力を持つようになったのか、この小説ではそれを西国の海の道を押さえ、宋にまで貿易を広げ経済を動かしたという観点で平家の時代を描いている。
第一章で名もなき楫師と彼にかかわる女人たちの話があり、その楫師が平正盛と出会う。平家が海の道に目覚めるきっかけである。その後子の忠盛がさらに財をなし、清盛へと続く。
経済というものはいつの世もおろそかにできないもので、制度がある程度疲弊してくると、制度内では低い地位のものがしばしば金の力でのし上がってくるものだが、平家はまさにその例の現われだったのだなと思う。
下巻清盛の時代になって頂点を極めたかに見える平家であったが、信西の死後、清盛の心中には徐々に陰りが出てくる。その不安がやがて専横的な振る舞いへとなっていったかのようだ。清盛は確かに独善的ではあったけれども、それはひとえに朝家に尽くしているがゆえのことであると、彼は信じて疑わなかったのである。
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タグ:歴史
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2008年02月02日

闇の傀儡師(上)(下) 藤沢周平

これは今まで読んだ藤沢周平の作品で一番面白いと思った。
元御家人で家庭内で難あり今は筆耕で生計を立ててる浪人の鶴見源次郎が斬り合いの場所に遭遇。駆け寄って襲われてる人物を助太刀するものの、その人物は源次郎に密書を託して息絶える。それは老中への密書であり、八嶽党が田沼意次と接触しているという内容だった。八嶽党とは幕府を怨み暗躍を続ける謎の徒党であり、源次郎はその出来事に関わることとなる、という内容だ。
八嶽党は将軍の世子を暗殺せんと画策している。それを阻止しようと公儀隠密とともに動く源次郎。ちなみに彼も他の藤沢作品に出てくる主人公と同様に一流の剣使いでもあって、その戦いも楽しめる。
さらに、この話は敵を倒すだけの話ではなく、裏に謎の人物が絡んでいて、事を一層複雑にしている。上巻と下巻で成り行きが変わり、どうなるのかと息をつめながらページをめくっていった。
著者のあとがきによれば子供の頃読んだ「譚海」という雑誌に載ってたその名も思い出せないけれども面白かった小説の遠い記憶がこの作品につながってるという。
その小説も読んでみたいものである。
闇の傀儡師(カイライシ) (上) (文春文庫 (192‐8))
藤沢 周平
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闇の傀儡師(カイライシ) (下) (文春文庫 (192‐9))
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2008年02月01日

ダンシング・ヴァニティ 筒井康隆

他人のことは知らないが、ある一つの状況において幾つかの微妙に異なる想定というものをすることがある。それは期待だったり最悪のケースだったり、いろいろなのだがその中で一つの選択をするであろう。そしてそういったものの積み重ねで今の自分があるのだと思う。
またはある出来事がどうしても頭を離れずに何度も何度も形を変えて自分の心に浮かんでくることがある。
そういった考えというのは単なる考えであり、現実世界に現れてないから空虚なものなのであろうか?
この作品ではそのことをさらに推し進めて眠るとき見る夢まで含め人が認識する世界とはなんであろうか問うてるように思う。
それは自分の外側に現れた現実世界だけが自分にとっての事実ではないかもしれないと示唆しているようだ。
そういった虚実を曖昧にしてずっと狂躁的な調子で描かれているので、だんだん頭の中がハイになっていく。
ところでタイトルから連想したのかもしれないが読みながら頭に浮かんできたのは「ツァラトゥストラ」のこの言葉だった。
“私は踊ることのできる神だけを信じるだろう”
さらに本で確認したらこう続いていた。
(私は踊ることのできる神だけを信じるだろう)
私が私の悪魔を見たとき、悪魔はきまじめで、徹底的で、深く、荘重であった。それは重力の魔であった。―かれによって一切のものは落ちる。
怒っても殺せないときは、笑えば殺すことができる。さあ、この重力の魔を笑殺しようではないか!

ダンシング・ヴァニティ
筒井 康隆
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タグ:傑作
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