2008年01月31日

飛ぶ教室 ケストナー

児童文学というものを特に注目して読んでみようと思ったことはなかった。というのも、この本のまえがきで著者が「子供のころはまるで極上の粉で焼いたお菓子みたいだ、とでもいうような書きぶり」の児童書を読んで腹を立てるところがあるのだが、まさに、そんな感じをすべての児童書に抱いていたのである。
だが、何事も属性だけで決め付けてはいけないな。
「飛ぶ教室」では葛藤もあるし、苦悩もある。なにも人生は大人になってから苦労するものではないという当たり前のことがここには書かれているのだ。
しかし、だからといって非常に重たくて読むのがつらいという本ではない。
他校とのトラブルで焼かれてしまった書き取り帳に「骨壷」を用意するなどと大真面目にいってみたり、勇気をあるところを示すためこうもり傘を使ってパラシュート降下をするといったように、深刻な中に可笑しみが表現されてる。
また徒党を組んでる少年たちがそれぞれ違った人間であるのも素敵だ。
詩人に正義漢に変わり者、腕っ節は強いが勉強はからきしダメな者と、気の弱い者。
柄にもなく「人っていうのはいいじゃないか」と誰かに言いたくなるような楽しい心境になった。
飛ぶ教室 (講談社文庫)
エーリッヒ ケストナー 山口 四郎 桜井 誠
講談社 (2003/12)
売り上げランキング: 64132
おすすめ度の平均: 4.5
5 大人にもおすすめです
5 貴方が大人なら、この本を読むと思い出が甦ります。
3 映画でも見たので
タグ:児童文学
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2008年01月29日

村田エフェンディ滞土録 梨木香歩

明治に異国の地で歴史考古学の研究をする村田。土耳古とはその場所柄東と西の文化が交じり合ってる。村田はいわば東西の接点と今昔の接点に立っているようなものだ。そんな環境では知らず知らず自らを律することが習い性になってくるのかもしれない。緊張感はあるが文化の違いを超えた付き合いの有意義な面が作品からにじみ出てくる。
まるですべてが坩堝の中に投げ込まれたかのような環境では何もかもが境界をあいまいなものにするのであろうか。
村田の部屋で起こる神様同士での騒ぎや、霊媒師の話などに村田は大いに怪しみつつもそれを無理にこじつけた解釈をしようなどとはしない。それはまた異文化とともに過すための知恵でもあるのだろうと思う。
とはいえ、より大きな共同体はときに自らの存続と称して異なるものを排除せしめんとし、個人は往々にしてその力に飲み込まれてしまう。
不可抗力の中で、自分たちができることとはなんだろうか?
ムハンマドが拾ってきた鸚鵡がその時々にしていた人真似声が印象深い。
村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
梨木 香歩
角川書店 (2007/05)
売り上げランキング: 12829
おすすめ度の平均: 5.0
5 見事な梨木香歩さんの世界
5 百年と少し前の土耳古の街のざわめきが聞こえる
5 東と西の交流
タグ:異文化
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2008年01月27日

阿Q正伝・狂人日記他十二篇(吶喊) 魯迅

「薬」という題名の小品がある。
ある日こっそりお金をもって主人が出かけたのは真っ赤な饅頭を買うためであった。真っ赤な饅頭とは何か。それは人血が入った饅頭のことなのだ。昔中国では人血を食べると肺病が治るという言い伝えがあった。主人の子供は肺病だったのである。そのとき手に入れた人血はある囚人のものであった。時は移り、主人の妻が墓参りに訪れる。それは子供の墓であった。側にある別の墓に老女がおり、しきりに泣いている。彼女はもう帰りましょうといって老女を慰めようとする。老女は墓の前で無実の罪を着せられて悔しかっただろう、私のいうことが分かったらあの鴉を飛ばしておくれ、とつぶやく。しばらく待つが、鴉は飛ばない。あきらめて帰ろうと少し歩き出したところで不意に鴉の鳴き声が聞こえ、みると鴉がさっと矢のように飛び立っていった。
という話だ。
処刑された人物の血を子供には黙って与えるが子供は助からない。一方で、老女が墓参りしていた人物は彼女の話からして無実の罪を着せられて処刑された人物だと推測される。ここで実は子供が口にしたものはその人物のものではないのかと読み手は思うのだが、主人の妻も老女もここにつながりがあるなどとは思いも寄らないであろう。
その中に古い慣習の闇を描き出そうとした著者の思いをみるようだ。
本のタイトルになってる、「阿Q正伝」や「狂人日記」も清時代の古い慣習を常人から離れた人間の視点で描くことによって批判しているように思える。
阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)
魯 迅 竹内 好
岩波書店 (1981/01)
売り上げランキング: 15655
おすすめ度の平均: 4.0
3 はじめての中国文学
5 誰の中にも存在する阿Q
5 毛沢東が唯一認めた文人魯迅。
タグ:叫び
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2008年01月26日

風の果て(上)(下) 藤沢周平

藩の家老である桑山又左衛門に果たし状が届く。相手は野瀬市之丞というかつて同門で親しくしていた人物だった。
又左衛門は事態を収拾するため動き出すが、それと同時にそもそもこのような成り行きになった始まり、市之丞をはじめとする仲間と知り合った時分のことを思い出すのであった。
話の展開が2重構造になっている。一つは果たし状を受け取ってからの又左衛門の行動と、又左衛門がどのような道を経て今の地位についたか、そのことが彼の思い出という形で提示されている。
その2つの時間を一緒に読むことで又左衛門の戸惑いと出来事の背景が見えてくる。
かつてはともに研鑽し合った仲間といえども、同じ道をずっと歩んでゆくわけにはいかない。当たり前のことではあるがやはり読んでいくとなんとかならないものだろうか、などと思ってしまう。
だが、それは甘い考えなのかもしれない。すべてが終わったとき、かつての仲間が又左衛門に放つ言葉が厳しい。しかし、それは言われて然るべきことでもあったのだ。
風の果て〈上〉 (文春文庫)
藤沢 周平
文藝春秋 (1988/01)
売り上げランキング: 12547
おすすめ度の平均: 4.5
5 ここに描かれているのは現代の我々だ
5 仲間の良さと維持することの難しさ
5 秀逸

風の果て〈下〉 (文春文庫)
藤沢 周平
文藝春秋 (1988/01)
売り上げランキング: 10129
おすすめ度の平均: 5.0
5 いつの時代も生きにくいもの
5 人生を知ること・・
5 最終章
タグ:時代物
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2008年01月25日

アドエアの使い心地

去年アドエアを処方されたので、そのうち使い心地について記事を書こうと思っていたのをすっかり忘れていた。
で、本題。
アドエアは去年の12月初頭から2週間使ったのだが、効き目は流石に抜群だ。シングレアも併用しているので、最初はそのせいもあるのかと思ったが、その後パルミコートとセレベントに戻ってからは若干ピークフローが落ちたので、やっぱりあれはかなり効き目があると考えてよいだろう。
ただし、ちょっと気になったのが口の中。どうもパルミコートと比べて口渇感が強いのだ。使ってる期間は舌が切れたように痛くて、よく水分を取っていた。今はまた元に戻ったのでそういうこともなくなったが、あれはフルタイドもそうなのかな?それともアドエアだけなのだろうか?フルタイドを使ったことがないのでそのあたりは良くわからない。
と、いうことで悪化してるときには良い薬ではあるな。でも普段はパルミコートのほうがそんなに違和感がなくて良いと思った。
タグ:喘息
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2008年01月24日

最勝王 服部真澄

真魚は幼い頃より聖徳太子が四天王に祈願した話を好んでいた。
長じて叔父の呼び出しにより伊予親王に仕えることになる。かの親王もまた四天王の話を好んでいた。
時は移り、真魚はおおよその学問を修め、親王に教えることになるが、王のありかたについて書かれてる「金光明最勝王経」の王法正論品について親王が仏法の真理とはどこにあるのか疑問をもっていることを知り、どう答えたらよいのか真魚も悩む。
そんな折、秘密宗の経典の話を聞く。それを読めば今までの仏法のすべてがわかるという、その経を叔父の元へ行くときに知り合った元写経師の赤麻呂と探すことになる。
親王は人を治めることについて悩み、真魚は仏教の奥深さを知りそれを極めたいと願う。
新しい教えを説いた「大毘盧遮那成仏神変加持経」に真魚が惹かれていく様子がありありと描かれている。
時の帝が仏教を遠ざけた時代に真理を求めて奔走する主人公たちと折に触れて出てくる密教のことについての記述に読み応えがある。
やや強引な進め方になってるな、と感じた部分もあったのだが人の心の不思議さを考えるならばそういう進め方でもいいのかもしれないと思った。
最勝王
最勝王
posted with amazlet on 08.01.24
服部 真澄
中央公論新社 (2006/07)
売り上げランキング: 322702
おすすめ度の平均: 3.0
3 サスペンス的な要素もある歴史小説
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2008年01月21日

一茶 藤沢周平

一茶というと
“やれ打つな蠅が手を摺り足をする”
とか
“雀の子そこのけそこのけ お馬が通る”
といった素朴な句を思い浮かべるのでその人柄も朴訥でやさしい人なのだろうと想像していたのだが、この小説を読みそれは覆った。
あまり暖かい環境ではないところで育ったせいかどこか心のゆがんだところがあり、利用できるものは利用してやろうというおよそ朴訥とは程遠い性格であった。
義母との折り合いが悪く奉公へ出されたのが15のとき。史実ではここから俳諧師として世に出てくるまでの足取りは不明なのらしいが、著者は奉公先を転々とし三笠付けという句をつけて遊ぶ賭け事で凌いでいる姿を描いている。
俳諧師とは一種今の芸能人みたいなところがあり、有力者の庇護を得るためにさまざまな場所へ足を運んだらしい。しかし、それは彼の生まれである百姓からみれば働かないでぶらぶらしているように見えたのではないかと彼自身そのことを気にかけていた。
藤沢周平は悪ともいえるほどのずるさをときに持ち合わせる一茶に人の業ともいいたくなるようなものを見出している。
エッセイではこのようなことを書いていたそうだ。
「一茶はあるときは欲望をむき出しにして恥じない俗物だった。貧しくあわれな暮らしもしたが、その貧しさを句の中で誇張してみせ、また自分のみにくさをかばう自己弁護も忘れない、したたかな人間でもあった。
だが、その彼はまたまぎれもない詩人だったのである。」
一茶 (文春文庫 ふ 1-2)
一茶 (文春文庫 ふ 1-2)
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藤沢 周平
文藝春秋 (1981/01)
売り上げランキング: 13803
おすすめ度の平均: 3.5
5 負けるな一茶
3 俳人一茶の生き様
2 やっぱり暗い
タグ:陰影
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2008年01月19日

未来への扉(千年医師物語3) ノア・ゴードン

千年医師物語シリーズ最終作。現代アメリカでコール一族の末裔RJが信念を持って地域医療に取り組む。
この作品ではアメリカ医療のさまざまな問題が提起されている。地域医療もその一つであるが、他に医療保険制度がないために受けられる医療に格差が生じていることや、中絶反対運動の過激さなどが描かれている。
医療保険制度がないということは想像以上に手間がかかるものらしい。小説で保険会社それぞれの書式に基づいて請求書を作成しなくてはならないのでそれだけで事務の手間が膨大なものになってること、医療保険料が払えず、ましてや治療費も払えないため医者にかからないで悪化させる人がいることなどを読むと日本の医療保険制度を崩壊させてはならないな、と感じた。
また中絶反対運動の過激さは以前ニュースなどで聞いたことはあったが、焼き討ちしたり中絶を行なってる医師を殺したりという描写があるので相当過激なのだとも思った。
RJはそれにも果敢に立ち向かい、自らの信念を貫き通そうとする。
コール一族に流れる医師としての良心が彼女の中にも息づいている。
未来への扉―千年医師物語〈3〉
ノア ゴードン Noah Gordon 竹内 さなみ
角川書店 (2002/04)
売り上げランキング: 338964
おすすめ度の平均: 3.0
3 心に燃える使命
タグ:医療問題
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2008年01月17日

シャーマンの教え(上)(下)(千年医師物語2) ノア・ゴードン

手を握れば患者の死期がわかるという才能を代々受け継ぐコール家3部作の第2部。
スコットランドから政治的亡命のようにアメリカへ渡ってきたロバート・ジャドソン・コールと息子シャーマンの2代が19世紀アメリカを舞台に当時の情勢に翻弄されながらも過してゆく物語。
当時のアメリカは後から移民してきたカトリック教徒やドイツ、アイルランド系を差別し、また先住民族であるインディアンを追い出して植民していくという状況であった。また黒人をアフリカから連れてきて奴隷にしたりと、人種、民族の違いによる否定的な感情が渦巻く時代でもあった。
父ロブ・Jは先住民族と親しくなったり、逃亡奴隷を匿うことに関わるなど、かなり人道主義的な面を持つ。
そんな彼の目を通してみるアメリカが描かれていて、自由の国アメリカの苦悩をそこに見ることができる。
また、その苦悩は個人の生活にもおよび、友人であったマクワ・イクワの死にも暗い影がつきまとう。
なぜ人は人を差別するのか?
そんなことを考えずにはいられない、歴史社会派小説だ。

シャーマンの教え〈上〉―千年医師物語2
ノア ゴードン Noah Gordon 竹内 さなみ
角川書店 (2001/11)
売り上げランキング: 375086
おすすめ度の平均: 4.0
4 受け継がれる物とは

シャーマンの教え〈下〉―千年医師物語2
ノア ゴードン Noah Gordon 竹内 さなみ
角川書店 (2001/11)
売り上げランキング: 343478
おすすめ度の平均: 4.0
4 受け継がれる物とは
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2008年01月16日

“コバエ”をブログ内検索(楽天ブログ)

この間楽天ブログの検索機能に不満を抱いて各種検索ボックスを取り付けたという記事を書いた。
http://tekesuta.seesaa.net/article/74817375.html
このときつけたのはご存知google、yahoo、gooの3種類。
別々とはいえ、機能にはそんなに遜色はないんだろうと思って作りそのままだった。
今日、楽天のほうを更新する前に過去の記事を調べたくなったので、それぞれ使ってみたのだが、結構ばらつきがあるものだな。
過去記事で多く使われてる語句であれば気が付かなかったであろうことが、あまり使われてない語句であったために目立った。
一応結果はこうなってる。

google

yahoo

goo

別の語句でも検索実験(シノブで検索)してみたが、同じような傾向で、googleが一番たくさんはじき出し、次がgoo、yahooが一番ヒットしない。
yahooは条件を厳しくしているのか、どうなのか?
普通の検索ならばその条件であまり役に立たない情報がヒットしないことはいいが、どこに書いてあったかすべてを調べたいという場合、ちょっとこれは物足りないのではないだろうか。

ところで、私楽天ブログなのにinfoseekの検索ボックスをつけてませんね?
いや、実を言うとどこにおいてあるか探せなかったのだ。
もしかして、もうサービス終了してる?
それとも見つけられないだけか?
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2008年01月13日

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? フィリップ・K・ディック

核戦争で生き物の数が激減し、人も放射能の恐怖がない他の惑星へと移住していった。地球に残ってるのは愛着があってなにがあっても移動しないものや「特殊者」と言われる移住を拒否されたものたちくらいであった。生命への渇望が激しく、残り少なくなった生き物たちをペットとして買うことがこの時代の趨勢となっている。
アンドロイドは飛躍的な進化を遂げ、いまや人々の生活に欠かせないものになってるが、逃走アンドロイドは否応なく狩られる。主人公のリックはそうしたアンドロイドを狩る仕事をしている。本物の羊を貰ったのだがまもなく亡くしてしまい、今はその羊そっくりの電気羊を飼っていた。
この小説ではアンドロイドが他の生き物に共感できない欠点を持つという設定になっている一方で、人間たちはある老人の姿をテレビで見ながらその苦痛や愉悦を他の人々と分かちあうという宗教にのめりこんでいるという対比が鮮やかだ。
人の価値を生産能力や処理能力などで推し量ろうとすればそれはやがて機械と同じことになってしまうだろう。
では人間であることとは一体なんであろうか、と考えたときにこの共感能力のことに言及したことは答えの一つではないか。
そのあたりに関連してリックの葛藤なども描かれていて興味深い。
アシモフのロボットならばきっと夢を見るんじゃないかと思うのだが、ディックのアンドロイドはどうなのだろう?
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック 浅倉 久志
早川書房 (1977/03)
売り上げランキング: 2326
おすすめ度の平均: 4.5
3 新訳を望む
5 せめて人間らしく。
4 継ぐのは誰か
タグ:SF
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2008年01月12日

家守綺譚 梨木香歩

精神労働者であるところの物書き綿貫征四郎が亡き友人の実家を家守することになった。庭にあるさまざまな草木との交流、亡き友人高堂との交歓を綴った小説である。
綿貫さんの霞を食べて生きてるような生活と、まるで白昼夢のような世界がよく合っていて、書かれた文をゆっくり噛み締めながら読んだ。
人は日々忙しくて、人間以外のものと交歓しようなどとは思いも寄らない。だが、物の違いはあれ人々は「趣味」と称してその対象物と親しく交流していることを考えるとき、綿貫さんの世界がそんなにとっぴなものとも思えなくなる。
それにしても面白いのは綿貫さん以外の人々が通常の目で見れば不思議な竜や河童の話などに通じていて、涼しい顔で「常識ですよ」ということ。
やっぱり綿貫さん異世界に踏み込んでるのかなあ???
家守綺譚 (新潮文庫)
家守綺譚 (新潮文庫)
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梨木 香歩
新潮社 (2006/09)
売り上げランキング: 7099
おすすめ度の平均: 4.5
5 心に染みる一冊
5 異界との接点
5 心に根付く
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2008年01月11日

おのれに背くもの(上)(下) カール・A・メニンジャー

フロイトは元来われわれには自己破壊に向かう強い傾向があり、それが実際に自殺が行なわれたときに実を結ぶ、という。だが、一方、どんな艱難辛苦にも耐えて生きていこうとする。そこでフロイトはさらに仮説をたてて、生きたいという本能と死にたいという本能とは間断なく相争っており、また相互に影響しあってる、とした。それは相反する力の相克が物理や化学の世界で行なわれているのと同じことだ、と述べているのだ。
本書はその自己破壊に向かう本能について自殺や殉教、そして本人が意図してるとは思えない偶発的な事故や臓器疾患に至るまでさまざまな例を挙げて検証している。
本来破壊の衝動は性本能と同じく外界へ向けられるものであるが、成熟したパーソナリティを持てないため誰かに向けられたおおっぴらにできない憎しみのために攻撃欲が自分に跳ね返ってくるものや、罪悪感に駆られて自己懲罰的になる。精神分析とはその隠された憎しみを認識させたり、罪悪感のもとになる子供時代に形成された良心を知性によって修正することで治療を施す。
関係性を語るとき性的なものを第一義なものとするフロイトの説はどうもいまひとつピンとこなくて、私などはどちらかというと権力闘争の面で説明するアドラーのほうがわかりやすいのだが、愛と憎しみがしばしば同じエネルギーであるということは経験上よくわかるので、自己保存の本能と対立する自己破壊の本能があると思うと考えやすかった。著者はこの破壊に駆り立てられる傾向を社会的なものにまで広げて考えている。個人の破壊的傾向を根気よく修正していくことで、やがて全人類に及ぶのではないだろうか、と主張する一方、この責任を個人だけに押し付けることについても疑問を投げかけている。自己破壊が起こるのはその社会に自分を順応させていくのが不可能になったときに起こる。そういう意味では社会を変更させることでそこに追い込まれてしまう人を少なくすることができるという期待も述べている。
人は社会を作って生活する生き物であるから、どちらが欠けてもうまくいかないのだろうと思う。
おりしもこの本が出た1938年とは2回目の世界大戦の前であり、かなり社会が不穏な雰囲気であったであろうことは想像に難くない。
よく知りもしなかったせいもあって以前精神分析には少し懐疑的なのであったが、この本で改めて人間観察の鋭さに感服した。
おのれに背くもの〈上〉 (1963年)
草野 栄三良
日本教文社 (1963/00)
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おのれに背くもの〈下〉 (1963年)
草野 栄三良
日本教文社 (1963/00)
タグ:精神分析
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2008年01月08日

懐かしや、Spandau Ballet

Spandau Ballet、昔彼らの音楽が好きだったんだよね。でも動画を探し出せなかった。というのは、小生
“スパンダーバレエ”
と、カタカナで検索していた阿呆だったからなのでした。
で、遅ればせながらちゃんと英語で検索していくつか動画を見つけました。
好きだといってもアルバムは3枚しか持ってない。
その中で一番好きだったのは“PARADE”というアルバム。その中では特にこの曲が好きだった。

I'll Fly For You

さらにTony HadleyがSave A Prayerを歌ってるのがあった。これはこれは。埋め込み無効の動画なのでリンクだけ。
Tony Hadley "Save A Prayer" cover Duran Duran


ところで、動画をいろいろ見ているうちにそのトニーの近影を見ることができたが…
いやいや歳月というのは恐ろしい。まるでファンファンみたいに太っちゃってるよ。ここに埋め込むのも忍びないので、これもリンクだけ
Tony Hadley Speaks to Ryan Dunlop

Gold: The Best of Spandau Ballet
Spandau Ballet
EMI (2001/01/23)
売り上げランキング: 77226
おすすめ度の平均: 4.5
5 チークタイムには欠かせないゼ!
4 「かけたとたん、きゃあ〜!!!」でした。
4 アダルト雰囲気の U.K.バンド
タグ:ロック
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2008年01月07日

ペルシアの彼方へ(上)(下)(千年医師物語1) ノア・ゴードン

一つの才能をもつ少年の壮大な半生記を描いた小説。
上巻は11世紀、ロンドンで相手の手に触れるとその人の死期が判るという能力を持った少年が運命の力なのか医者の道へと進むことになる。そしてさらに当時の医学先進国であるペルシアへと向かう。
下巻ではペルシアで悪戦苦闘の末医師になることができ、その地で忙しく働くことになる。さらに知識に磨きをかけたいと思うものの、宗教や慣習に阻まれることも多かった。そんな時人体解剖という神秘に魅せられるようになる。
宗教がまだ力を持っていた時代、医学はどういう位置を占めていたのか、異なる宗教との相克、そういったものがふんだんに描かれていてすっかりその世界にのめりこんで読み終えた。
主人公ロブがもっと医を極めたいため宗教的に禁忌となってるものへ挑戦したりするくだりは今の医学と、宗教あるいは世論の関係を見ているようだ。
死期がわかるという才能をロブは悪魔のものとして苦悩するが外科医の床屋さんのもとで修行していくうちにそれが贈り物であるということに気が付く。しかし、治療はあとから努力して身につけた技術なのである。
才能とは生まれ持ったものではあるが、どう生かすのかは自分の努力にかかっている。
ペルシアの彼方へ〈上〉―千年医師物語1 (角川文庫)
ノア ゴードン Noah Gordon 竹内 さなみ
角川書店 (2001/06)
売り上げランキング: 182745
おすすめ度の平均: 5.0
4 夢はかなえるもの
5 死ぬまで手元におきたい物語
5 世界で一番偉大な内科医


ペルシアの彼方へ〈下〉―千年医師物語1 (角川文庫)
ノア ゴードン Noah Gordon 竹内 さなみ
角川書店 (2001/06)
売り上げランキング: 190950
おすすめ度の平均: 5.0
4 夢はかなえるもの
5 死ぬまで手元におきたい物語
5 世界で一番偉大な内科医
タグ:壮大
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2008年01月05日

重力ピエロ 伊坂幸太郎

ある出来事のためつらい過去をもつことになった家族、その子供たち兄弟は長じてそれぞれの生活を送っている。そんなとき、連続放火事件が発生した。放火事件の謎解きと同時に兄の視点から家族のことが描写され物語は進んでゆく。
存在の根源に関わるような重いテーマが含まれており、エンターテイメントではあるが結構文学的な感じがした。とはいえ重苦しい雰囲気ではなくあえてそれを表に出さない軽さと都会的な表現で描かれている。なにせこの話、いくらでも陰惨に書こうと思えば書ける様な内容なのだ。それをあえてしないのは運命といえるほどの出来事も乗り越えることができる何ががあることををこの小説の中に示しているからである。
この兄弟の物語をよく読んで欲しい。
重力ピエロ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社 (2006/06)
売り上げランキング: 4334
おすすめ度の平均: 4.0
5 兄弟の犯罪
2 軽〜い文学
4 遺伝子との戦い
タグ:兄弟
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2008年01月04日

マリ&フィフィの虐殺ソングブック 中原昌也

短篇集。エロスとタナトスの想像力を遺憾なく発揮して書いたような小説、って自分でもなにをいってるのかわからないが、テンポのいい文章と、取り澄ましたような世間の常識をあざ笑うかのような挑戦的な内容である。
そしてまた世間だけでなくそんな世間をあざ笑う破壊的な人物の馬鹿馬鹿しい姿も同時に描いている。
私は常日頃、自分の中にそんな部分があることを半ば自覚していて、うっかり出してしまったりすることもあるのだが、この本にそんな自分のばかばかしい姿を客観視することとなった。
マリ&フィフィの虐殺ソングブック (河出文庫―文芸コレクション)
中原 昌也
河出書房新社 (2000/10)
売り上げランキング: 39711
おすすめ度の平均: 3.0
1 何だかなぁ…。
1 ん?
5 言葉を超えて迫る衝撃
タグ:破壊
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2008年01月03日

獄医立花登手控えシリーズ4冊 藤沢周平

年末から正月にかけて獄医立花登手控えシリーズを読みふける。医術を学んだ主人公立花登が江戸で開業している叔父を頼って国元から出てきた。飲んだくれの叔父の代わりに牢獄で勤め、そこでさまざまな事件に関わるという連作短篇集である。
こういうのを文武両道といっていいのかどうかわからないけれども立花登はやわらにも通じており、そこらへんの悪漢もひと投げして打ち負かすことも可能。読みすすめていくうちにだんだん頼りがいのある医者になっていくのはなんとも楽しい。
牢獄が舞台ということもありたくさんの囚人が登場するのだが、その描き方は忌避することでもなく肩入れすることでもなく、人がそれぞれ違ってるように、同情されるような人もいれば極悪人もいるということをきっちり示してくれる。
やたら正義感が強かったり、暗黒面が強調されたかのようなきつい刺激がないのがいい。だからといって決して生ぬるい内容ではない。医についてのちょっとした述懐にはっとさせられるものがあったりするのだ。
新装版 春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉 (講談社文庫)
藤沢 周平
講談社 (2002/12)
売り上げランキング: 39274
おすすめ度の平均: 4.5
5 命の輝きのまぶしさ
4 目の付け所が鋭い
5 時代小説の素人探偵

新装版 風雪の檻―獄医立花登手控え〈2〉 (講談社文庫)
藤沢 周平
講談社 (2002/12)
売り上げランキング: 90669
おすすめ度の平均: 5.0
4 作者のアイデアと観察眼が光る傑作
5 立花登の生き様
5 ますます気になる!

新装版 愛憎の檻―獄医立花登手控え〈3〉 (講談社文庫)
藤沢 周平
講談社 (2002/12)
売り上げランキング: 94192
おすすめ度の平均: 5.0
5 ますます相手が悪くて強い奴になってきている
5 今後の展開が気になる本

新装版 人間の檻―獄医立花登手控え〈4〉 (講談社文庫)
藤沢 周平
講談社 (2002/12)
売り上げランキング: 93464
おすすめ度の平均: 5.0
5 藤沢周平の描く女たちに惹かれているのだと気がつく
5 サスペンス的要素に加え、市井物としても楽しめる人気シリーズです
5 相変わらず女子の描写が良い
タグ:時代物
posted by てけすた at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする