著者は仏門の家に生まれ自らも仏教を大学で教えた作家。
ということでどちらかというとお堅い感じの仕上がりになっているのであるが、空海の生きた時代の歴史がきちんと書き込まれており、この時代何があったのかということがなんとなく見えてきた。
当時、僧は勝手に得度して名乗ることを禁じられていたのだが、それは役小角や行基のように官を外れたものがまとまって行動するのを嫌ったということがあるらしい。
なるほど、ちょっと考えればそうかなあとわかりそうなものだが、ここに書かれているのを読むまであたくしはちっともそのことに思い当たらなかった。
それだけに、そこまでしてでも僧にこだわった空海の情熱、というものを感じられ、また衆生済度のためにあちらこちらを歩き回る様子などが小説に織り込まれ、私が今まで読んできた空海ものの小説とはまた違った空海の側面に魅力を感じた。
まあ、そもそも、私が今まで読んできたのはエンターテイメント的であり、空海の超人的な能力ばかり強調されてたから、本来は、こういうしごく真面目な小説から読むほうがよかったのかもしれない。
とはいえ、こういう文献から教科書的に立ち上げてきた小説にすら、空海の超人的な話が織り込まれるのだから、それだけ際立った活躍をしたのであろうなあとも想像してしまう。
いや、自信がないのでそのまま積読にしてある「空海コレクション」もそろそろ読めそうかな、と考える今日この頃。
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